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【完結済】最強無敵の守護竜に転生したけど世話焼きお姫様(32歳未亡人)がウザすぎる!  作者: 川平直
第5章

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45話 ファンタジーどこ行っちゃったんだよ

 船から見えた島へと辿り着くまでに日は沈み初め、俺達が上陸する頃には空の色が変わり始めたころだった。


 船を埠頭に止めて港へ降りると、何か視線を感じてそっちを見てみれば少し離れた場所に何やら人だかりがあった。


「なんだありゃ?」


「あれはこの国の国民です。多分皆さんが訪れる事を聞きつけて集まってきたんでしょう。この国に外からお客様が来ることは希ですから」


「ほーん」


 物珍しそうに視線を向けてくやじ馬たち意識を向けてみると、話し声が風に乗って聞こえてくる。


「肌白ーい、やっぱり大陸の人達ってわたし達とは違うのね」


「おい見てみろよ、あのメイドネネイル人じゃね?」


「いんや、ありゃ大陸エルフって奴だろ俺達とは髪の色が違う」


「女王様のお付きだなんて、小さいのに立派ねぇ」


「あれが余所の国の守護竜様か? うちの竜様とは大分違うんだなぁ」


「ちょっと猫ちゃんみたいで可愛くありません? 抱っこしてみたかも~」


 まったく、俺達は来日したパンダじゃなぇんだぞ。


「あまりそう怖い顔をされてはいけませんよ。守護竜様」


 野次馬どもをにらみつけていた俺を抱きながら姫さんがそう声を掛ける。


「私達はフィロール王国の代表としてここに来ているのですから」


 そう軽く俺を窘め、俺達を物珍しそうに眺めていた群衆に向かって微笑みながら姫さんが小さく手を振ってみせるときゃーと野次馬達が湧いた。


 そうはいっても野次馬から向けられる好奇の視線は面白いもんじゃない。ただ初めて見るネネイル人達の俺達に対する反応はなんつうか思ってたものと違った。


 正直、石くらい投げらるんじゃねぇかと覚悟していたんだが、今のところ人々から敵意の様なものはまるで感じない。


 ルリルの奴を見てみれば、拍子抜けしているような困惑しているような、複雑な表情を浮かべていた、多分いま俺も似たような顔をしているんだろう。


「なんつうか、思ったよりも随分好意的だな、もっと敵意を向けられるもんだと思ってたんだが」


 思わずライレイにそう訪ねて見ると、少し困ったよう顔して。


「いやぁ、お恥ずかしいですがこの国は好奇心が旺盛な者が多いいので。あ、迎えが来たようですよ」


 答えになってるんだかなってないんだか分からない事を言いながらライレイが指を指した方に視線を向けると、そこで俺はまたギョッとする。


 リムジンが三台こっちに向かって走ってきていた。


 何かの見間違えなんじゃないかと思わず目をこするが、黒塗りの長い車体輝かせながら走るその姿はどっからどう見てもリムジンそのもの、ただよくよく見ればタイヤがない、もしかしたら車と言うよりもホバークラフトの様なもんなのかもしれない。


 そんな謎の自動車が、三台もこっちに向かって走ってきて目の前で停車すると俺達を迎え入れるように扉が勝手に開く、社内には運転手らしい人間の姿はない。


 いやいやファンタジーどこ行っちゃったんだよ。


 あんまりに未知の光景にさすがの姫さん達も面食らったのか驚きを隠せていないようで、ぽかんとした様子で目の前のリムジンを眺めている。


「さぁ、どうぞお乗り下さい。皆さんが乗車されしだい目的地へ連れていってくれますので」


 驚く俺達にそう言って乗車を勧めるライレイに促されるがまま三台ある内の一つに俺と姫さん、セリスとルリルの四人で乗りこむ。


 姫さんとルリルの二人が初めて見るリムジンにおっかなびっくりといった様子でリムジンに乗る中、さすがと言うべきかセリスだけは顔色一つ変えずに粛々と乗り込んでいた。


 俺達を乗せるとライレイが言っていた通りリムジンは何処かへ向かってひとりでに走り出し、残りの二台が前後に挟むようにしてついてくる。


「前後の二台は何してるんだ?」


「皆さんをお守りするために警護の者が乗り合わせて居ます。それと万が一の事があったとき敵を攪乱するためのダミーもかねて」


「敵ってまた随分と物々しい言い方すんじゃねぇか、そんなに治安が悪いのかこの国は?」


「えっ、あっ、いえいえいえいえ! そんなことはございません。ただ皆様は国賓でございますから万が一のこともあってはなりませんので、それに……」


 そこでふと、ライレイ表情がシリアスな者へと変わる。


「先程はああ言いましたが、大陸人である皆様を良く思わない者がいないとは限りませんので、念のための警護です」


 どうもネネイル人の皆が皆、港で見た連中の様に好意的ではないらしい、それは別に驚くような事じゃない。


 ただそれにしてもこの警備は物々しい気がしないでもない。


 それに、これは勘だがさっきのライレイはなんだか何かを誤魔化した様な気がした。


 不信に思って俺はそれとなく姫さんに視線を送るが、いつものように朗らかな笑みが帰ってくるだけだった。


 まったく、分かっているのかいないのか。


 まぁ何にしてもここまで来て今更引き返す訳にも行かないだろう、もしもの事があったその時は俺も体を張るまでだ。


 そうして俺達を乗せたリムジンはネネイルの首都へと到着するがそこでまた一同驚愕で目を丸くすることになった。

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