第77話 副管理者、崩壊の兆し
「──システム異常。コア保護、優先制御に切替」
イェルネスの声が、微かに“乱れ”を帯びていた。
先ほどまでの冷徹さに、微弱な“焦り”が混じる。
「崩れてる……!」
美月の魔力視が、それを証明していた。
空間の奥、霊脈と接続されたコアが軋むように震え、
波紋のように不規則な干渉波を放っている。
「あと一撃。コアを破壊できれば、あいつは止まる!」
優の声に、死霊たちが咆哮を上げる。
ザグエル=ドラウスが、空間を切り裂きながら突撃を開始。
「でも、気をつけて……!」
美月が警告する。
「崩壊と同時に、暴走が始まる可能性がある。
ここから先は、理性じゃなく“本能”で動く!」
予言のようなその言葉を追うように──
「解析──不能。主制御からの命令回線──喪失」
副管理者・イェルネスの姿が、激しく明滅する。
その身体から“何か”が漏れ出すように、光と影がせめぎ合い始めた。
「霊脈干渉による逆流現象だ」
隼人が冷静に分析する。
「今のこいつは、制御された管理者じゃない。“暴走体”だ」
「つまり……今まで以上に、何をしてくるか分からないってことか」
優が呟き、前に出る。
「だけどもう、止まらない。止めなきゃいけない」
その目は静かで、鋭い。
死霊統合者として進化した優が、
その“次”に進もうとしている気配があった。
「この世界に生きる存在として、ここで止める」
一歩、踏み出す。
死霊たちが彼の意志に呼応し、背後で構えを取る。
ザグエル、クロノス、そして隼人。
「行くぞ……!」
優の声とともに、戦いは最終局面へと突入する。




