表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/93

第69話 都市が敵となるとき

ザグエル=ドラウスの咆哮が、街の霧を裂いた。


爆風のような圧力に、一体、また一体と実験体が薙ぎ払われていく。


だが──


「おかしい。こいつら……倒しても、すぐに数が補充されてくる」


美月の魔力弾が、迫る異形の頭を吹き飛ばしながら叫ぶ。


「自律増殖か。いや……街そのものが、供給源になってる」


隼人が低く唸る。


実験体たちはどこからともなく現れ、まるで都市そのものが“敵”として意志を持っているかのように動いていた。


「管理者は、街をひとつの“肉体”として構築している。

だから街の構造が生体ネットワークの代わりになってる」


優は影の中から複数の死霊を呼び出し、広範囲に展開。


「ただ倒すだけじゃ終わらない。“中枢”を断ち切らないと、際限なく湧く」


「その“中枢”ってのは?」


「──この都市の心臓部。中央塔。おそらく、あそこに管理者がいる」


優が視線を向けた先、霧を切り裂くようにそびえる巨大な塔があった。


「一気に突破するには、分が悪いな。数で削り潰される」


隼人の冷静な判断に、優も同意するように頷く。


「ならば──」


優の指先が影を指す。


「“霊力移送ソウルフロウ”発動」


彼の影から、使役中の複数死霊の力がザグエルへと流れ込む。


“死霊間で霊力を転送する”この能力──《死霊統合者ネクロ・コンダクター》として進化した彼が得た新たな力だ。


「ザグエル、最大出力で突破口を作れ!」


「■■■■■■■ッ!!」


竜の咆哮とともに、黒炎が一帯を飲み込む。


辺り一面が焼け落ち、街の壁にすらひびが走るほどの衝撃波。


「今のうちに抜ける!」


優が叫び、隼人と美月もその後を追う。


瓦礫を踏み越え、焼けた通路を駆ける3人。


「……敵が、人間じゃないだけに躊躇がなくて怖いな」


「むしろ、管理者に意志がある方が厄介だ。都市そのものが“動く”なら、まだ序の口だ」


「まさか、この都市自体が……」


美月の声がかすれる。


「……そう。あの塔自体が、管理者の“器”なんだ」


優の言葉に、背筋が凍る。


まるで神話の中にでも入り込んだような、現実離れした構造。


「都市が敵で、塔が器で、管理者が神──か」


隼人が皮肉気に言う。


だが、冗談では終わらなかった。


塔の奥、霧の中から確かに──“目”がこちらを見ていた。


「来るぞ。次は、本体の“意志”だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ