第62話 終焉を拒む者
「ここからが本番だ」
優の声とともに、ザグエル=ドラウスが大地を砕く咆哮を放つ。
それは空間に染み込んだ支配の波動を切り裂き、分断されていた領域を貫いた。
「死霊再構成、確認。空間維持率──低下」
管理者が呟いた瞬間、幾何学陣がひとつ、煙のように消える。
「おまえの構築理論、読み終えたよ。影と死霊の構成を“解読”されたのは初めてだろ?」
「進化因子、危険水準に到達。即時排除、優先度を引き上げる」
管理者の周囲に、金属質の柱が次々と浮かび上がる。
柱の中に収められた光球が一斉に輝き、収束ビームが空間を縦断した。
「散開!」
優の指示とともに、クロノスが影の中から射出され、斜線をずらす。
ザグエルはビームを弾き飛ばし、優は前方へと突き進んだ。
「お前の“調和”ってやつは、結局、都合のいい秩序の押しつけだろうが!」
「調和の維持こそが、世界の継続条件。例外存在は排除されるべきだ」
「そんなもん、知ったことか!」
影が炸裂し、優の足元に展開される死霊の紋章が一瞬、輝いた。
──瞬間、優の姿が消える。
「影渡り──!」
管理者の目が反応する間もなく、優の拳がその胸部を打ち抜いた。
「損傷──重大。構成安定率、臨界値へ到達」
そのままクロノスとザグエルが挟撃するように斬撃を叩き込み、
管理者の外殻が砕け、光の粒子が吹き出した。
だが──
「……最終構成体、起動」
それは──神の姿だった。
巨大な光の輪とともに、管理者の身体が天上へと浮かび、全域への神性放射を開始する。
「くっ……!」
優の視界が一瞬、白く染まる。
その光は、“拒絶”の力。存在そのものを否定する高密度の情報干渉。
「──この力は……!」
仮面の男が、美月を抱えながら呻く。
「下がって! それに当たったら──!」
「ダメ……! 優!」
光が収束する。




