第6話 覚醒の兆し
シュルガトの巨大な影が、優の視界を覆い尽くしていた。全身の痛みと疲労が彼を襲い、膝が地面に沈む。意識が遠のきかけたその瞬間、頭の奥底から冷静で機械的な声が響いた。
「試練を開始します。第一段階:生存本能の覚醒。立ち上がり、敵の攻撃を回避してください。」
驚きと混乱の中、優は声の主を探すが、周囲にはシュルガト以外の存在は見当たらない。しかし、今は考えている暇はない。目の前の脅威に立ち向かわなければ、生き残ることはできない。彼は妹・紗羅の笑顔を思い浮かべ、震える足に力を込めて立ち上がった。
シュルガトが咆哮とともに鋭い爪を振り下ろしてくる。優は直感的に右へ跳び、間一髪で攻撃を避けた。その瞬間、再び頭の中の声が響く。
「第一段階クリア。報酬として、スキル『迅速』を付与します。」
スキル:迅速
•効果:身体能力が向上し、特に敏捷性と反射神経が飛躍的に高まる。これにより、敵の攻撃を素早く察知し、回避する能力が向上する。
途端に、優の全身が軽くなり、視界が鮮明になるのを感じた。まるで自分の体が別物になったかのような感覚に、一瞬戸惑う。しかし、シュルガトは容赦なく次の攻撃を繰り出してくる。優はその変化を信じ、素早く後方に跳躍して距離を取った。
「第二段階:敵の攻撃パターンを分析し、回避行動を継続してください。」
優は深呼吸し、シュルガトの動きを凝視する。巨大な体躯に似合わず、素早い動き。しかし、攻撃の前にわずかな溜めがあることに気づいた。そのタイミングを見計らい、優はシュルガトの攻撃を次々と回避していく。
数分間の回避行動を続けた後、頭の中の声が再び響く。
「第二段階クリア。報酬として、スキル『剛力』を付与します。」
スキル:剛力
•効果:筋力が大幅に増強され、攻撃力が飛躍的に向上する。これにより、通常では与えられないほどのダメージを敵に与えることが可能となる。
優は拳に漲る力を感じた。これなら、戦える。彼は自信を取り戻し、シュルガトに向かって構えを取る。
シュルガトが怒りの咆哮を上げ、猛然と突進してくる。優は『迅速』の効果でその動きを見切り、側面へと回り込む。そして、『剛力』を込めた拳をシュルガトの脇腹に叩き込んだ。巨体がぐらつく。優はその隙を逃さず、連続して拳と蹴りを繰り出し、最終的に、シュルガトは黒い霧となって姿を消した。どうやら撤退したようだった。
なんとか戦闘が終わり、優はその場に膝をついた。全身が鉛のように重く、息が荒い。しかし、頭の中の声は続ける。
「試練完了。最終報酬として、スキル『戦神』を付与します。」
スキル:戦神
•効果:戦闘に関する全ての能力が総合的に向上する。具体的には、攻撃速度、防御力、戦術的思考、持久力などが飛躍的に強化され、戦場での適応力が格段に増す。
優は新たな力が自分の中に宿るのを感じた。しかし、同時に疑問が湧き上がる。この声の正体は何なのか。なぜ自分に試練を与え、力を授けるのか。答えはまだ見えない。しかし、今は生き延びたことに感謝し、次なる一歩を踏み出すしかない。