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第59話 神格、始動

──咆哮が、空間を裂いた。


ザグエル=ドラウスが駆ける。地を割るごとき勢いでその爪が迫るが、届く直前、何かに弾かれたように逸れた。


「……干渉、無効化」


銀白の装束をまとう男──管理者は、静かに呟く。


その声と同時に、空間そのものが彼を守るかのように揺れた。

ザグエルが本能で察知する。“概念”に近い存在だと。


「異常存在、確認済み。排除処理、開始する」


「異常……ね」


優が静かに前へ出る。その目に、怯えはない。


「おまえが何者でも関係ない。俺は……守るべきものを守るだけだ」


クロノスが影から浮上し、ザグエルと並ぶ。死霊たちもそれに呼応するように布陣を整えた。


「死霊構造、複数。制御型の逸脱確認。統制因子、排除対象へ再指定」


「なら──やってみろよ」


優の言葉とともに、闇が蠢く。ザグエルが再び踏み込み、今度はその爪が管理者の肩を裂いた。


白銀の衣が破れ、その下に光を帯びた金属質の外殻が露わになる。


「損傷、確認。評価更新──対象、変異因子に進化兆候あり」


その言葉に、優はむしろ笑みすら浮かべた。


「進化? それでいい。俺は進むよ。“人間”としてな」


ザグエル、クロノス、死霊たちが連携し、一斉に攻撃を仕掛ける。


だが、管理者は静かに右手を掲げた。


その周囲に、幾何学陣が浮かび上がる。


「全体制御、解放。格納制限──解除」


空間が震える。


一瞬のうちに、周囲の景色が“折れた”。


世界が曲がり、光と影が渦巻き、空間の構造そのものが変質する。


「っ……くそ、これは!」


仮面の男が美月をかばい、即座に動く。


「空間ごとの……分割!? こっちを分断してくる気か!」


「──来るぞ!」


優の叫びと同時に、戦いは“次元ごと”に引き裂かれていく。

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