表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/93

第56話 誘導される標的

──夜明け前。空はまだ暗く、風は乾いていた。


「……ここか。夜刀の旧研究所跡ってのは」


仮面の男が口を開く。


優たちは、郊外にある廃工場群の一角に到着していた。

地図にも載らない場所──夜刀財閥がかつて“開発の実験場”として使っていた、いわくつきの施設だった。


「アクセスログの残滓と、魔力痕跡。おそらく、三日前まで“何か”が使っていた形跡あり」


クロノスが淡々と報告する。


「……廃墟っていうより、まだ生きてるってことか」


美月が呟いた。


「罠の可能性もある。慎重に行こう」


優の声は冷静だった。


死霊たちが影の中に潜み、戦闘への備えを固めている。


(……ここに来たのは、“情報”を取りに来たはずだった)


だが、優の胸の奥には、言葉にできない違和感があった。


まるで、誰かに“ここへ誘導された”ような──そんな感覚。



──その頃。別の都市、橘重工・極東支部。


「ターゲットは旧第八開発区に到達」


報告を受け、橘隼斗は淡く笑った。


「ふむ。予想より半日早い。やはり“動かしがい”があるね、彼は」


背後のホログラムには、夜刀財閥の拠点リストが映し出されていた。


その中のひとつに、“追跡印”が付けられている。


「“夜刀の生き残り”たちをそこに集めておけば、勝手にぶつかってくれる。あとは観測するだけ」


部下が問う。


「夜刀を潰してしまってよろしいのですか?」


「問題ない。“器”としての役目はもう終わった。次は“刃”が必要だ──そして彼は、その素材になる」


隼斗は微笑む。


「戦わせて、殺し合わせて、削った先に残った“本質”。それが我々の求める最終兵器だ」



──旧施設・地下区画。


「……来る。複数の足音。敵だ」


クロノスが即座に警告を発する。


「包囲されてる。全方向、夜刀の残党だ」


「……なるほどね。やっぱり、罠だったか」


優が短く呟く。


「でも──こっちにも“準備”はある」


彼の影から、ザグエル=ドラウスが立ち上がる。


さらに、クロノスも前に出る。優の号令一つで、戦端はすぐにも開かれる。


「美月、援護。仮面、左を頼む」


「了解。こっちから突っ込む」


「っ、了解……!」


夜刀財閥との直接対決──その火蓋が切って落とされた。


だがその背後で、第三の財閥が静かに笑っていたことを、まだ誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ