表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/93

第48話 死霊継承《ネクサス・グレイズ》

時間は戻って、優がマガツカミと死闘を繰り広げている。


「ぐっ──がっ……!」


焼けるような痛み。避けきれなかった爪が、肩を裂いた。


マガツカミの咆哮が、空気を震わせる。


──こいつ、強すぎる。


「……っ、くそ……!」


天城優は、血を滲ませながら後退した。


相手は変異型のノウマ級。動きの鋭さも、魔力の質も、これまでの個体とは段違い。


加えてこちらは、死霊の主力をいくつか《暗部の使役》に割いていた。未完成の《ザグエル=ドラウス》に魂を注いだとはいえ、まだ不完全だ。


──負ける。いや、殺される。


そんな言葉が脳裏をよぎった瞬間──


(……やめろ)


優は、自分自身を叱咤した。


「俺は……こんなところで……!」


その叫びに、周囲の気配が微かに揺れた。


視界の端に、あのときの“異界”が映る。


──これは、試練。


オモイカネが言っていた。己の限界を超えたとき、真に“力”は芽吹くと。


そのときだった。


優の内に、何かが“開いた”。


《霊力変換回路──解放条件達成》


──意識に、名前が刻まれる。


死霊継承ネクサス・グレイズ


「……これは──」


直感的に理解した。


“自分と契約した死霊の魂を、霊力として他の死霊に引き渡すことができる”。

まるで魂の遺産を紡ぐように──


(……なら、使うしかない)


優は手を掲げた。


そこに浮かぶのは、死霊と化した暗部の魂たち。


「すまない。でも──おまえたちの力、無駄にはしない」


死霊たちは、静かに光へと還っていった。


変換された霊力が、未完成だった竜型の核へと注がれる。


「目を覚ませ……《ザグエル=ドラウス》!」


──咆哮。


闇と森を纏った巨大な影が、優の背後で翼を広げた。


完成──ザグエル=ドラウス、完全起動。


マガツカミが、警戒するように身を引く。


「……いける」


優の目が光を取り戻した。


「叩き潰せ、ザグエル!」


次の瞬間、竜が咆哮と共に突撃する。


マガツカミの防御をいとも容易く破壊し、圧倒的な力で大地を抉る。


一方的な蹂躙。


未完成では成し得なかった、一撃の質と速度──


優はその様子を見下ろしながら、呟いた。


「……これが、俺の選んだ力だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ