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第22話 影へと堕ちて

「……全部、話すよ。もう、隠しても意味なんて……ないんだろうな」


黒嶺 一真くろみね・かずまは地に膝をついたまま、虚ろな目で俺を見上げていた。


その瞳からは、もはや闘志も、誇りも消えていた。


「妹のこと……紗羅のことも……」


「……!」


俺の喉がかすかに震えた。


「なぜ彼女が死んだのか……俺たちは、“知ってた”……」


その瞬間だった。


 


「っ……ぐ、あああ……っ!!」


黒嶺の身体が痙攣する。

喉を押さえ、激しく咳き込む――血が、口元から噴き出した。


「一真っ!? ちょ、ちょっと!? 何が――!」


理央が駆け寄ろうとするが、黒嶺は手を伸ばしてそれを制した。


「……しゃべらせ……て、くれ……ない……のか……っ」


その言葉を最後に、黒嶺の身体は前のめりに崩れ落ち、動かなくなった。


 


「一真……うそ、でしょ……?」


剛志が呆然と呟く。


理央も、何が起きたのか理解できずにいた。


だが、そのとき――


 


「がっ……は……!」


次は、剛志だった。

何かに引きずられるように首を押さえ、苦しみだす。


「な、なに……これ……っ、体が……焼ける……っ!」


「やめてっ、やめてよ……っ!」


理央の叫びも虚しく、剛志の瞳から光が消え、彼もその場に崩れ落ちた。


理央は恐怖でその場に尻もちをついた。


「ま、待って……私、何も……!」


震える手で首元を押さえた瞬間、彼女の体も痙攣し始めた。


「やだ……やだっ……私、死にたく……っ」


そのまま、理央の身体も静かに、地面に沈んでいった。


 


沈黙。

森に、風の音だけが吹き抜ける。


俺は、その場に立ち尽くしていた。


「……呪い、か。あるいは、情報封鎖のための……自動的な処理」


頭の中で冷静にオモイカネの声が響く。


《対象は、何者かによって“発言不能”の魔術的制限を受けていた可能性が高い》


「……知ることすら、許されなかった……」


俺の胸の奥で、怒りがゆっくりと煮えたぎる。


 


《魂反応、未浄化状態。対象:3体》


《死霊使役、可能です》


「使役……?」


《記憶の断片、感情記録の一部を引き出すことができます。

死霊として、一定の自律行動・質問応答が可能》


「……じゃあ、こいつらの“記憶”を通して、真実に近づけるってことか」


《その通りです。試みますか?》


俺は目を閉じ、深く息を吸った。


「……ああ。俺は、もう戻れない。だから前に進むしかない」


 


「――出てこい、“影の証人”たちよ」


 


影が広がり、3人の死霊がそこから立ち上がった。

その目は、ただ黙って俺を見つめていた。


「……俺は、お前らの記憶を辿る。全部、明らかにする。お前らが関わっていたことも、その裏にいる奴も――すべて、暴いてやる」

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