表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/93

第12話 魂連結(ソウルリンク)、死霊の境界

「ハルパス……テメェ、やっぱりハンパじゃねぇな」


左肩がズキズキとうずく。さっきの一撃で骨にヒビが入ったかもしれない。

息をするたび、肋が痛む。

でも、それでも――立ち止まるわけにはいかない。


妹のために。

真相を掴むために。

ここで――負けられるか。


「デスファング、シャドウリーパー、フォレストドラゴン……まだ、いけるな」


三体の死霊が、傷つきながらも立ち上がる。

その姿に、俺も立ち上がらざるを得なかった。


ハルパスは静かに地を這い、ぐにゃりと曲がる関節を不気味に鳴らす。

その三つの瞳が、俺たちを見下ろしていた。


「……全員で一気に畳みかける!」


デスファングが低く唸りながら地を駆ける。

シャドウリーパーは影の中から姿を消し、斜め後方から刃を振るった。

そのタイミングに合わせて、フォレストドラゴンが咆哮とともに突撃――


ドゴォォォッ!


だが――


「なっ……!」


ハルパスの異様に長い腕が、フォレストドラゴンの巨体を一撃で薙ぎ払った。

その衝撃で地面が割れ、俺まで巻き込まれた。


「っぐあああああっ!」


背中から地面に叩きつけられ、視界が歪む。

肺が潰れそうになり、呼吸ができない。

血が口からこぼれる。


『生命反応、急激に低下。回避行動を推奨――』


「黙ってろ……オモイカネ……!」


必死に起き上がり、拳を握る。


「まだ……終わっちゃいねぇんだよ!!」


ハルパスが、俺の方にゆっくりと歩み寄ってくる。

その三つの目が笑っているように見えた。


だが――


「今だ、シャドウリーパーッ!」


影から現れた死霊の鎌が、ハルパスの右足を切り裂く。

そこへデスファングが飛びかかり、喉元へ噛みついた。


「フォレストドラゴン――正面からぶちかませ!!」


巨体が再び立ち上がり、突進。

渾身の一撃を頭部に叩き込み――


俺の拳が、その胸に突き刺さる!


「これで――終わりだッ!!」


崩れ落ちるハルパス。

瘴気が舞い、黒い霧となって消えていく。


『討伐確認。マガツカミ“ハルパス”、消失』


そのとき、脳内に直接響いたオモイカネの声が告げた。


『特別試練、完了。報酬能力を付与します』


「……今回は、なんだ?」


『名称:“魂連結ソウルリンク”』


その言葉に、全身の血が逆流するような感覚を覚えた。


『あなたは今後、一定の条件下において、死霊同士を融合させることが可能になります。

融合体は双方の力を統合し、新たな形態へと進化します』


「……マジか。進化だけでも反則気味だったのに、今度は融合……!」


浮かび上がる魂の残滓。

それは、さっきまで俺たちを苦しめていたハルパスの残留魂。


「お前も……俺の力になれ」


手をかざすと、黒い光が吸い込まれていく。


『死霊使役“ハルパス”――契約、完了』


膝から崩れ落ちた。

気力も体力も、ほとんど残っていない。


だけど、確かな“手応え”がそこにあった。


「……なんで、あの時……俺は何もできなかったんだ」


紗羅の笑顔が、ふと脳裏に浮かぶ。

優しかった、少し天然で、でも芯の強い――あいつの声が、もう聞こえない。


“事故”と片づけられた紗羅の死に、俺はどうしても納得ができない。

知れば知るほど、不自然なことが多すぎる。


「俺は……本当のことが知りたい。紗羅が、どうして……」


苦しみを堪えながら、俺はゆっくりと立ち上がる。


「まだ……やれる。もっと強くなってやる……!」


拳を握りしめ、夜の森を見据えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ