第1話 突然の出会い
7/29 追記 登場人物を載せておきます。
橘 蓮
この物語の主人公。東川高校2年とある理由でいろいろな親戚の家を転々としている。イケメンでクラスの女子からの人気が高い。転校初日に運命的な出会いをした詩織が新たにお世話になる家にいて彼女とその母親と一緒に住むことになり以来彼女が無意識に気になっている。
若月 詩織
東川高校2年生。 吹奏楽部に入っており気の強さとルックスからミスクールビューティーと一部の男子から呼ばれているが実際のところ弱いところがある。才色兼備、眉目秀麗な美少女で普段は穏やかだが一緒に暮らすことになった蓮に対してはなぜだか素直になれずたまに衝突することがある。
中山 翔太
東川高校2年生。蓮が転校初日に仲良くなる友達。クラス一の情報通でクラスや学年の生徒達のことにいろいろ詳しい。ちゃらんぽらんしてるように見えるがとてもいい奴。
高橋 菜穂
東川高校2年生で詩織と同じ吹奏楽部に入っており彼女とは中学からの友達。温厚な性格で面倒見がよい
ある日の朝、一人の男子高校生が電車で東京の駅に降りてきた。
「ようやく着いた」
彼の名前は、橘 蓮。高校2年生。この物語の主人公だ。性格は、ちょっとちゃらめだがイケメンでスポーツ万能。訳があって中学は何回も転校を繰り返しておりあまり友達は少なかった。
彼は新しい制服を見に纏いスクールバッグを片手に新しい学校である都立東川高校に向かう。
同じ頃、1人の女子高生がカバンを片手に大急ぎで学校に向かう。
「あ〜! やばい遅刻しちゃう、目覚ましなんで肝心な時に壊れてるの‼︎」
彼女の名前は、若月詩織。都立高校の2年生だ。
彼女が学校に向かう途中にある曲がり角を通ろうとしていた時だった。
((わっ…⁉︎ ))
偶然同じ曲がり角で蓮と鉢合わせになりぶつかりそうになった反動で道路に飛び出してしまった。そこにトラックが通りかかる…。
(もう駄目だ…)
そう思い詩織は、目をつぶった。だが蓮が自分の身体を後ろから抱えてくれて間一髪、事故にならずに済んだ。
「大丈夫か?…」
そう蓮が言い詩織が振り向き二人の顔が息のかかるくらいの距離になる。
「うん…」
詩織のその言葉に蓮は、ホッとしたが自分の手の中に柔らかい感触があるのに気づいた。自分の手元を見ると詩織の胸に触れてしまっていた。
「あっ‼︎ ごめん‼︎ 」
蓮は、すぐさま腕を詩織の身体から離す。詩織は、敵を見るような目つきで蓮を見る。
「あの…今のはとっさに触っただけでワザと触ったわけじゃないから‼︎ だから、その…」
蓮が弁解する前に、詩織は蓮の方に身体をくるっと向きを変えて体勢を整えストレートキックを食らわせた。
(バシィッ‼︎ )
「だぁっ⁉︎ 」
蹴りを喰らった反動で蓮は、思いっきり尻もちを着いた。
「この変態‼︎ 」
「ってー…。なんなんだよ‼︎ 助けたのに、いきなり蹴ることないだろ‼︎ 」
蓮を蹴り飛ばした詩織は、そう言う蓮を後にして急いで走って学校に向かっていった。
(最悪‼︎ あんな奴に身体触られるなんて‼︎ あれ? アイツ、同じ学校の制服着てたな…だとしてもムカつく‼︎ アイツ)
そんなことを思いながら詩織は、走ってなんとか学校に着いた。
「詩織、おはよう」
教室に入ると詩織の友達である菜穂が声をかけてきた。
「…おはよう」
やや不機嫌そうな感じで詩織は、菜穂に挨拶を返した。
「どうした? なんかあった? 」
「…なんでもない」
それから朝のHRが始まり担任の先生が教室に入って来た。
「え〜今日からこのクラスに新しい仲間が増えます」
「どうぞ! 」
「失礼します! 」
蓮は、扉を開けて教室の中に入るとクラスメートの女子からの「超イケメンじゃん‼︎」等の声が聞こえてくる。先生の隣に立ち黒板に自分の名前を書く。
『橘 蓮』
「えーとはじめまして。今日からこのクラスでお世話になります、橘 蓮です。細かい自己紹介は、置いといて、まぁみんなよろしく!」
と教室にいるクラスメート全員を見ながら挨拶し教室をしばらく見ていると今朝会った詩織が教室の真ん中の列の後ろから2番目の席に座っているのを見かけて蓮は、思わず
「あっ‼︎ 今朝の暴力女‼︎ 」
と声を出してしまい詩織は、そっぽを向いた。
「橘、私語は慎め」
「すみません」
それから蓮は、担任の指示で窓際の黒板から少し離れたとこの席に座った。
HRを終えた後、蓮は詩織の元に向かった。今朝のアクシデントを許してもらうためだ。
「なぁ、その…今朝のことだけどさ…」
「なんのことでしょうか? 人違いじゃないですか? 」
蓮が喋ろうとしたが詩織は、邪見になりながらそう言い蓮の元をさった。
「あっちゃ〜。ウチのミスクールビューティーを怒らせるとは、橘君も初日から大変だね〜」
二人の様子を教室の遠くから見ていたちょいちゃらめな一人の男子が蓮に話しかけてきた。
「ミスクールビューティー? 」
「そう、若月詩織。吹奏楽部に入っていてウチのクラスのミスクールビューティー。あの子に告白してきた男子は今までで何人かいるけど全員撃沈。他校に本命がいるっていう噂もあるけど実際は、不明。まぁ詩織はやめた方がいいよ」
「へぇ〜」
「あ、俺は中山 翔太な。よろしく」
「あぁよろしく」
それから転校した初日の学校生活が終わり詩織は、自宅へと帰っていった。
「はぁ…。まさか橘と同じクラスなんて…」
モヤモヤした気持ちを抱えながら詩織は、自宅の玄関のドアを開ける。ドアを開けると2から3個くらいのダンボールが玄関に置いてあった。
「え⁈ 何、これ? 」
「何って…詩織。今日から親戚の子が家に来て一緒に住むことになるって言ったじゃない」
詩織が驚いた様子で声を出すと丁度玄関の近くにいた詩織の母親がそう言った。
詩織は、完全に忘れていて玄関でフリーズしてると玄関の扉が開き
「こんばんは〜」
と聞き覚えのある声が聞こえて誰かが入ってきた。まさか…と思い後ろを振り返るとそこには、同じクラスメートの蓮がいてお互い思わず
「「なんであんたが(お前が)ここに⁈ 」」
と同時に声を上げた。
それから夕食になり、詩織の母親が蓮のことを紹介した。
「えっと、蓮君は私のおばさんの従兄弟のとこの息子さんで今日から一緒に暮らすことになりました。詩織、よろしくね」
「よろしくね。えっと、し…若月さん」
「…よろしく」
詩織は、不機嫌そうに蓮に挨拶をした。
夕飯を終えた後の夜だった。詩織は、母親と二人暮らしで父親は、詩織が小学生の頃に癌で亡くなっている。蓮は、詩織の父親が昔使っていた部屋で今日から寝泊まりすることになった。詩織の母親曰く、空いてるから好きに使っていいとのことだ。
夜、寝る準備をしていた時のことだった。
「「あっ…」」
蓮は、洗面所で詩織とばったり出会った。
「えっと…今朝あんなことあったけどさ、一緒に住むことになったんだし仲良くやろうぜ」
「あのさお母さんは、アンタのことあぁ言ってるけど私は認めてないから」
「へぇ、そっか…」
そう言い蓮は、ゆっくり詩織に近づく。
「な、なんですか? 」
詩織の頬がほんのりと紅く染まり気づけば2人の顔は、息がかかるくらい近づいていた。
「よく見るとすごい美人だなぁ」
「は? いきなりナンパですか? 」
「けどそのクールビューティー気取ってるせいで誰にもとりあってもらえないんでしょ? …そうだ‼︎ なんなら俺と…」
続きを蓮が喋ろうとした時だった。
(ボカッ…‼︎ )
「うっ…!? 」
蓮のお腹に詩織の正拳突きが飛び蓮は、しゃがみ込んだ。
「痛った…あぁ…」
「お言葉ですが‼︎ 私他校に彼氏いるんで‼︎ フンッ‼︎」
詩織は、そういうとその場を立ち去り自分の部屋に戻った。
(ガチャン‼︎)
(なんなの、アイツ‼︎ やっぱりムカつく‼︎ )
こうして蓮と詩織、2人の生活は幕を開けたのだった。