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04.

 総勢十五人。男子も女子もみんなで。集団下校の後、こっそり私についてくる十五人。レインとすみちゃんは同じ方角だけれど。それでも、十五人でぞろぞろ歩くと、向かいからやってきた自転車のおじさんも「そうか、例の事件の後だもんな」とかぶつぶつ言っていた。ほんとは、みんなまっすぐ帰らないといけないんだけど!


「ってか、みんな考え直さない? 私の家は大丈夫だけど、お隣のお姉さんは最近引っ越してきだばかりで忙しいと思うし。近所をこの人数でうろついてたらビックリしちゃうよ」


「レイン君が許可してくれたんで」と、リーダー格の女の子。学級委員会とか務めちゃうぐらいには真面目なのに、こういうクラスの半数がこぞって集まるイベントには顔を出さずにはいられない感じかな?


「え、レインが?」


「ロエリの家の裏山の事件現場も近いからな。だったらいっそ犯人に俺たちの存在感をアピールしてやることにした」


 どういう風の吹き回しよ。


「レインの考え一理あると思うねん」


「すみちゃんまで」


「犯人は犯行現場に戻る言うやんか。うちら大勢の味方がおるって見せることで、この中の誰かがやられても、すぐに通報することができるっていうのをアピールするねん」


 と、いきなりすみちゃんは防犯ブザーを鳴らした。頭まで響く大きな音が長閑(のどか)な田園に響き渡る。慌ててすみちゃんはスイッチをオフにする。


「思ったより大きかったわ」


「そ、そだね。まだ頭にガンガン響いてるみたい」


 で、私の家の近所にみんなで集まったんだけど。骨が埋まってるからみんなで逃げるんだっけ?


「ロエリちゃんの家大きいね」


「違うで! そっちの白い家は! 口裂け女の家や!」


 すみちゃんがうっかり口を滑らせて、寒い空気に包まれた。十五人の冷めた視線が集まっている。


「は、馬鹿じゃない? 口裂け女が家に住むかっての」


「そ、そうやんな」


 すみちゃんは赤面して俯いた。


「そんなもん信じてるの?」と、別の男子も。


「ねえ、喧嘩しないで。てかさ。女子トイレだって出るって言うでしょ花子さんぐらい」


「でも、見たことねぇ」と、一人の男子。


「き、きっとみんなが寝た夜に出るんだよ。問題は口裂け女。もしかしたらお化けですらない不審者かもしれないんだよ。だから、すみちゃんは私を心配してくれてる」


 すると、すみちゃんは今度は私に反論する。


「いや、ロエリちゃんを守りたいんやけどな。ちゃうねんそこは。口裂け女なんは間違いないんやって」


 どっと噴き出す生徒たち、突然私たちに手のひらを反すように「じゃ、帰るわ」と、みんなして踵を返した。


「え、ここまで来て? 骨探さないの?」


「いや、どんなお化け屋敷か見たかっただけだから。この辺、田んぼがきれいすぎてお化けなんか出ねえよ」と、別の男子も口をそろえていく。集団の圧力ってすごいなー。


 胸騒ぎがする。誰かがこっちを見ている気がする!


 俯き加減のすみちゃん。だらんと下げた腕が物悲しい。


「あんたら酷いわ。あんたらやろ、先に声かけてきたんわ。ロエリちゃん、ごめんな。こんな人数で押しかけたのに……」


 あんまりすみちゃんの言葉は耳に入らない。だって、隣の白い家の二階の窓から女の人が。あの、曽音田そねだ美杏みあんって人が、黒い眼玉でこちらを無表情に見下ろしていたから……!


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