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第九十五話 妖怪 雨女 其の一

時は、遡る。


京都、大政映画村。

「瀧吉っさん、次はAスタジオで、吉原花魁道中の撮影に行こうよ。」

「そーだね、じゃ、この羽織はやめとこうかね。」

「吉原に、その黒羽織はね、。」

「じゃ、着物も明るいのにしとこうかいな。」


ろくろっ首と、雨女は、楽しそうに話す。


「姉さん、目の辺りもお願い。」

「お岩は、相変わらず化粧が下手だね。」

「姉さんみたいに色っぽくできないよ。」

お岩は、甘える様に言う。


「ああ、あたい達も、二口女と、つくばの時代劇村にいってみれば良かったかね。」

「まぁ、二口女が、様子、見て来てくれるさ、」

「牛久の辺りじゃ、暇な時、何もやることないしね。やっぱり、京都は楽しいよ。」

「そうだね、筑波、牛久じゃ、河童ぐらいしか、見るものないね。」

「あんた、河童に会いに行ったって、胡瓜ぐらいしか楽しみないよ。」

「そりゃそうだ。」

「はははっ」


「お岩、偉い色っぽいじゃないか?」

ろくろっ首が言う。

「姉さん、お化粧うまいから、」

「お岩みたいに真面目な子が化粧すると、化けるのさ。」

「色気ってそういうもんだね。」

「お岩、今日は、男騙せるよ。」

「一人ぐらい、頂こうかね?ヒヒヒッ」


「一服したら行こうかね。」

「姉さんの頂戴?」

「はいよ、」

「はぁ、おいしい、」

「あんたも、吸いな。」

「ありがとう、」

「はぁ、やっぱり、昔の多葉粉の葉は、美味しい」

「姉さん、今日は、晴れ女だね。」

「からっと気持ちがいいよ。」


「じゃ、いこうかいね。」


バードウォッチング好きな、○○氏は、カメラを買おうとしていたお金で、大好きな奥さんと初春の京都に来ていた。

「桜の咲く頃に、来たかったのだが、」

「あら、そんな贅沢を言って、来れただけでも幸せでは、ありませんか?」

我ながら、できた女房だと思う。

嵐山の高い旅館の料理に舌鼓を打ち、天龍寺で、庭を見て心を打ち、少し遊ぶつもりで大政映画村に寄ってみた。

「確か、吉原花魁道中の撮影をしているそうだが、」

「見れたら運がいいって、タクシーの運転手さんが言ってましたね。」

「お寺とか、歴史の重みもいいが、こういう観光地も気軽でいいな。」

「そうね、気楽でいいわ、。あなた、ありがとう。」

実は、嫁が、吉原花魁道中というドラマの主役の、漸五郎のファンなのを知っているのだ。

別に、妬いているのでは、ない。

が、ドラマを見ている時の雰囲気がそれを伝えている。

「ほら、人だかりができてる、。」

「凄い人。」

「見にいこう。きっと撮影だ。」

「ほら、あの椅子に座っているのは、漸五郎だ、」

「ああ、」

「良かったな、主役を見れるなんて。」


もう、私の声は、聞こえてない様だ。

良かった。

いい思い出になるだろう。

しかし、吉原を舞台にしたドラマだ。

何処を見ても、美人ばかり。

妻に悪いが、まぁお互い様という事で。

まぁ、だけど、夜の街を描いてる割には、若いと言うか、。

しっとりとした、大人の女性がもっといてもいいのにな。

んっ?

あそこの三人は、いいじゃないか?

何ともいえない落ち着きがあるな。

それでいて、なんか雰囲気が違って色気なのかな?

うん、いいな。

真ん中の人は、べっぴん過ぎる。

左の子は、美人といえば、美人。

右の子は、普通にいそうだけど、遊郭風の化粧で変に色っぽいな。

うん、いいな、


「んっ?お岩、見られてるよ。」

「ほんとだ、お岩、あの人、あたい達の事、見てるよ。」

「姉さん達、私だって見られることもあるよ。」

「違うよ、気を保つんだよ、化けの皮がはがれない様にね、」

「ばれっこないよ。試してみるかい?」

「やめなよ、」

お岩は、右目の辺りを元々のむくみ、ただれた顔に一瞬戻す。


「んっ」

あれ、なんか顔が変になった様な。


「お岩、やめなよ。ややこしい事になるよ。」

「姉さん、あの人、じっと見つめて来てるよ。」

「見えてる人だね。」

「しっ近づいてくる。」


「撮影はじまるよ。」


「シーン32、よ~い、アクション。」


ドラマの女主役の花魁が、道を練り歩き、客である大商人を迎えに行くシーン。

それを、男主役の漸五郎が、道裏から、見守るという設定。

行列の後方に、雨女、ろくろっ首、お岩も下っ端遊女として混ざっていた。

大政映画村では、カメラの本撮影が終わっても、そのまま観客がいる所まで、ほんの少しだけ撮影をして楽しませるサービスをして、人々を集めていた。

ファンも喜ぶし、人気があった。


「ちょいとお岩、見たかい?」

「みたよ、ろくろっ首。あの、漸五郎の顔。」

「姉さんに首ったけだったね。」

「あの、見とれた顔、」

「姉さん、やるね。」

「たまたまだよ。」

「いや、あの顔は、探しに来るね。ほれてたよ。姉さんに。」

「まぁ可愛がってやってもいいけどね。」

「あ~ん、姉さん、いけずやなあ。」

「もう、焼いちまうよ。いい男じゃないかい?」

「夜、逢いに行ってやろうかしら。」

「あ~ん、見に行ってもいいかい?」

「姉さん、減るもんじゃないし、見に行きたいよ。」

「しょうがないね、見てるだけだよ。」

「あ~ん、いけず~。」

「姉さん、いけず~。」


「ほら、やっぱり、探してるよ。」

「ひひひっ、姉さんに首ったけ。」

「姿を消すよ。ほらっ早く。」

スゥと消える三人。


見事だな。

撮影は、こんなに人がいるもんなんだな。

「来てよかったな?」

「来れて良かった。こんな派手な撮影見れるなんて。」

「そうだな。」

良かった。

それに、私も眼福だった。

芸能人は、良く知らないけど、あの三人は、他のドラマにも出てるんだろうか?

売れるといいな。

「まだ、時間がある、まぁプラプラするか?」

「はい、あ、トイレにいってきます。」

「ああ、ゆっくりな。私もブラブラしてるよ。」


家と家の間の裏路地

「もてもての姉さん、ちょいとお日さんが少し眩しいね、」

「明るすぎても困っちまう。」

「もう、わがままだね。」

雨女が、天を見上げるとうっすらと雲が出来てくる。

「ありがとう。」

「姉さん、ありがとう。」

「いいのさ、今日は、もう撮影ないからね。」


「しっかし、あの漸五郎の目。」

「あんないい男に、あんな目で見られたら濡れちまうよ。」

首を長くするろくろっ首。

「そうかい?」

「もう、火照っちまったよ。畜生。」

「ろくろっ首、あんた、好みだったのかい?あの男。」

「お岩、聞いたかい?」

「姉さん、それは、いけずやわ~。」

「しっ、」

「?」


「おお、あそこにいるのは、先程の三人だな。」

家と家の間の裏路地に談笑している三人を見かけた。

「サイン貰えるかな?」

もう、すっかりファンになったようだ。


「お岩、結界は、張った筈だったね。」

「うん、しっかり張ったよ。」

「じゃあ、仕方ないね。見えてるのさ。」

「姉さん、どうする?」

「今日は、妖怪日和だね。」

「そうかい?姉さん、いいのかい?ひひひっ、」

「ひひひっ、」

読んで頂きありがとうございます。

いいねや、評価いただけると嬉しいです。

宜しくお願いします。

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