第九十四話 ほのぼの、水の神 其の三
河のほとりで、ナマズマン達と話す水の神とルーイン。
「我ら、ナマズマンは、太古よりこの川の中流で生きてきました。」
「小豆洗いのお陰もあり、ルー族のいる下流にも、来れる様になったのです。」
「ジッター達が、魚を届けてくれるのだ。」
「そのかわり我ら、ナマズマンは、豆や、兎を食べれるのです。」
「今は、ケンタウロス、一角兎、ナマズマン、人間が、混ざり飯を食らう。」
「長は、ルー族の縄張りを広げ、仲良くする事を大事にされる」
「それは、いい事です。」
「うむ。長が、持ちつ持たれつという事を、教えてくれた。」
「小豆洗いらしいです。」
「我らが、魚を槍でつくと、傷がつくがナマズマンは、上手く大きな口で捕まえる。」
「穴が開いている魚より、綺麗な魚は、美味い。」
「最近は、長とダミーが、干物を作ると張り切っていて、楽しみなのです。私も手伝う様に言われてて。」
「長の家を木で作りたいと言ったら、長は、燻製小屋にすると言っていて、なにやら、木を燃やし煙を焚く小屋と言っていた。分からんが、それも楽しみだ。」
「小豆洗いがいると、ワクワクが一杯ですね。」
「うむ?、ワクワクだ。」
「そういえば、長は、いつ帰って来るのだ?」
「そうです、そうでした。」
目をつむる水の神。
「う~ん、う~ん。あ、いました。」
青く光り輝く水の神。
じっと見守る。
淡い青い光の中から、小豆洗いと、一人の女性が現れる。
「はぁ、いきなりは、びっくりじゃよ。」
「長、」
「小豆洗い。」
喜んだ顔のルーインとジッター。
ジッターとルーインを見て、睨みつける女性。
黒い羽織に、深川鼠袖の着物。
辰巳芸者を思わせる出で立ち。
白塗りに唇の紅が映える。
目の辺りも淡く紅色が見える。
島田髷に、鼈甲の櫛、玉珊瑚の簪が、二本、雑に刺さっている。
帯の辺りにどすといわれる短刀がみえる。
水の神とは、違う。
美しさと色気ともいえる女性。
が、しかし気っ風の良さが滲み出ている。
「まて、安心してくれ、瀧吉。」
「なんだい?この子らは?」
「ルーインと、ジッターじゃ、」
「ふ~ん。」
「まぁ、ここは、ゆっくり出来るで、のう?」
「で、」
水の神の方を見るお瀧。
「あの、この度は、大変申し訳ございませんでした。巻き込んでしまいまして、」
「あたしゃね、この世界に、来た事は、仕方がないと思ってるさ、」
「でもね、あんたの神様の態度は、何なのさ、」
「たいそう、もったいをつけてから、助けてやる、って言うから、一緒にいた、ろくろっ首と、お岩は、どこに居るんだい?って聞いたら分からない?」
「分からないって、あぁ?どの口が助けてやるっだぁ?無責任に上からいうんじゃないよ。こんちくしょうめ。」
「ルーインと、ジッターは、話が終わるまで、向こうでゆっくりしとってええよ。百舌鳥カマキリも、のう?」
頭をかきながら小豆洗いが言う。
百舌鳥カマキリは、ルーインの肩に乗り、顔色を見ながら去っていく。
「まぁ水の神は、話が分かるで、のう?落ち着いたらええ。」
下を向く水の神。
「全知全能の光の神である。だあ?どの口が言うんだよ。情けない神さんだね。」
「あの、光の神は、少しこう、なんですかね?あの、思い違いをしてしまう事が多々、ありまして。」
「ふん、あんたは、尻拭く係かい?」
「大変、申し訳ございません。」
「しっかし、ねぇ。どの時代も、ろくな事がないのは、世の常さぁ、でも、久しぶりに弱いもんいじめも見たし、気分が良くないね。」
「この世界の神が、たるんでるんじゃないのかい?ええ?」
「丁度、サッカー領では、政変が起きたようで、私も悲しいです。」
「悲しいなら、どうにかしなよ。女、子供が大分、死んだよ。」
「もう、その辺でいいじゃろ?雨女?」
「なんだい?偉い肩持つじゃないか?惚れてるのかい?」
「しつこいぞい?」
「図星かい?あんただって、力だけの神や仏は、昔から忌み嫌うじゃないか?」
「いい加減にせい。」
大きな声で小豆洗いが言う。
「なんだい?やるのかい?小豆洗い」
雨女が、妖気を出し始める。
雲が渦を巻くように集まり、あっという間に黒い雲になってくる。
「なんじゃ?」
小豆洗いも、妖力を出す。
「お願いですから、お止めください。」
水の神が言う。
ルーイン達が異変に気がつき走ってくる。
「なんじゃ、これは、小豆洗いさんか?」
「みな、人間は、いくでない。巻き込まれる。」
ログ爺さんが行こうとする皆を止める。
「コースト、皆を魂水神像の祠に、」
「はい。」
「急げ、」
「こんな、気、感じた事ないわい。」
「ログ様は、?」
「わしぁ、小豆洗いさんのとこに行く。」
「頼んだぞ、コースト。」
「長、約束どうり、このルーン先駆けるぞ、」
「ルーンくるな、」
「おおおおお~。」
両手に剣を持ち、走って来るルーン。
「ルーン、待機じゃ、みな、動くな、」
小豆洗いが、叫ぶ。
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