第九十二話 ほのぼの、水の神 其の一
「はぁ、疲れました。」
皆、キョトンと見ている。
「ルーインと、スライダーは、いますか?」
立ち上がるルーインとスライダー。
「申し訳ないのですが、私の肩の辺りに穢れ無き水をかけて貰えますか?」
「は、はい。喜んで、」
「は、。」
スライダーとルーインが手を肩の辺りに掲げ、穢れ無き水をあふれ出すと、水は、水の神に吸い取られて行く。
美しいと言える光景だった。
「助かります。ありがとう。続けて下さい。」
「水の神よ、教えてくれぬか、、」
「はい、何でしょうか?ルーイン。」
「我が長は、どこに?」
「はい、キラ王国の辺りです。サッカー領と言われている所。」
「我も長を追って行きたいのだが、」
「ルーイン、駄目だ、先陣の約束は、わしのはずだ。」
ルーンが立ち上がる。
「大丈夫ですよ、小豆洗い達だけで、。、。落ち着いて下さい。」
「水の神様、お聞きしていいでしょうか?サッカー領に、行かれたのですか?」
「あら、あなた方は、、、うん、。そうでした。辛い事がありましたね。」
「我が名は、サッカー ブラックと申します。今、この時、夢の様です。」
「はい。いつも私に祈りを捧げてくれてありがとう。」
「皆さんも、いつも祈りを捧げてくれてありがとう。皆さんのお陰で私は、元気です。」
にっこりと笑う水の神。
「サッカー領の悲劇は、悲しい事でした。とても平和なのに、なぜ、あんな事をするのでしょうか?人間の欲には、うんざりします。」
「小豆洗い達が会いにいった方も、大人しくゆっくりしていた様ですが、多大な虐殺をみて恐れ怒られた事だと思います。」
「教えて頂けないですか?なぜ、サッカー領ばかり、事が起こるのですか?」
「たまたまです。」
「しかしながら、あなた方が、小豆洗いと出会った事は、奇跡と言えます。」
「はい、小豆洗い殿のお陰で、今があり、感謝に堪えません。」
「小豆洗いの為に励むのです。私も、あなた方を見守っています。」
「は、ははぁー」
「お聞きしたいのだが、わしの力は渡せんのですかのぅ?これでも、氷の使徒なんですが、コーストと儂は。」
「ふふふ、ありがとう。多堕のログ。ですが、氷の力は、受け取れないのです。」
「そうでしたか。残念じゃわい。多堕のログとは、懐かしい。ご存じでしたか?お役に立ちたかったのですが、」
「お気持ちだけでも、嬉しいです。勿論、存じてます。あなたのお盛んな頃は、凄かったですから。」
「あの、そのぅ、氷の神様は、お元気ですか?わし、子供の頃に夢で、お会いしまして、力を授かりましたのですが、お会いできるのかと思い、生きて来てるのですが、中々、」
「氷の神は、もちろん元気ですよ。きちんとお祈りしてますか?きっと伝わってます。でも、あの方は、なかなか、その、なんと言いますか、冷たいですから。」
「ああ、そうですか。ああ、そうですか。」
落ち込む様に見えるログ爺さん。
「ああ、皆さん、なにかお願いとかないですか?」
「なんでも言って下さい。」
皆、どうしていいのか分からないようで、顔を見合わせる。
「ふふふ、皆さん欲がないですね。」
「それでは、一つ、魂水神像の辺りに氷の神の像をお願いできないでしょうか?」
ログ爺さんは、懇願するように言う。
「私が創る訳には、いきませんね。ごめんなさい。」
ずーんと、落ち込むログ爺さん。
「ルーイン、スライダーありがとう。」
疲れたのか、スライダーは、座り込んでしまった。
「スライダー、あなたは、まだまだ成長します。多堕のログが近くに居るのです。教わりなさい。」
「はいぃ。」
スライダーは、ボーっとしている。
「皆さん、楽にして下さい。私は、少しここに居たいのです。」
「いつも通りにしてもらっていいですから。」
水の神は、機嫌がいい様だ。
「さぁ、皆さん、いつも通りに。」
「ルーイン、案内してくれますか?」
「は、」
ルーインは、乗せようとひざまつく。
「ありがとう、キャッ、」
ルーインが立ち上がる時に、ぐらついて可愛い声を出す水の神。
皆、ハラハラしながら見守っている。
結局、皆、ついて回る。
ゆっくりと村を回る。
「豆を焙じたチャーでも、飲まれますか?」
「あら、頂きます。」
「では、準備いたします。コースト手伝っておくれ。」
「はい。」
慌てて、走ってテントの方に行くコースト。
ログ爺さんもフワフワと後を追う。
「父上、神は、おられるのですね。」
「そうだ、スピン。こんな事があるのだな。」
「ここにいると、世界観がおかしくなりそうです。」
「イミン。私は、もうおかしくなっている。」
「スピン様、イミン様、このデコイも、皆、同じ気持ちですよ。」
「あら、サッカーの奥方と娘さんですね、お元気ですか?」
「はい、ありがとうございます。」
「神様、なぜ、助けてくれ無かったのです?サッカー領の皆、殺されたそうです。」
「スピン、そのような、」
「いいのです。」
「私達が逃げる時も、東門の兵達や、死んだ人達が一杯でました。」
「はい。」
「助ける事は、出来なかったのですか?神様。」
「はい、出来ません。私、水の神として出来る事と出来ない事があります。」
「それに、神といえ、未来を見る事は、出来ません。世の中の不幸を知り、止める事は出来ません。」
「でも、私を崇拝し、信仰してくれているのであれば、心通じ合う事が出来ます。応援できます。」
「本当は、こんなに、色んな方と関わってしまっては、いけないのです。不公平ですから。」
「今回は、特別ですから、スピンさん。なんでも聞いて下さい。」
「はい、わたし、この先どうすれば、」
「スピン、」
「スピンさん、あなたには、父、母、兄がいますね。」
「はい、」
「頼り、助け合い、一緒に生きていきなさい。それは、幸せな事ですよ。ふふふっ。」
「水の神様、チャーの用意が出来ました。」
「ありがとう、では、行きましょう。」
ぞろぞろと歩いて行く、。
「水の神様、我は、ルーン。信仰とは、なんだ?こないだ、長にも教えをもらったが、聞きたい。」
「はい、誇り高きケンタウロス、ルーン。」
「ルーン、あなたは、何を求め生きますか?」
「強さだ、強さただ一つ。長や、ルーインの水の力と違う強さ。この剣を奮う強さだ。」
「生きる事、即ち剣の道ですか?」
「そうだ。」
「古来から、剣術の道を磨き生きる者達がいます。」
「剣術、そうだ。我が求める事は、剣術の道だ。」
「では、全てを捨て剣術の道を求めなさい。」
「でも、悩む事もあるでしょう。後悔もするでしょう。今、この時の様な時、偽りなく信じ、仰ぎ見る存在は、私では、いけませんか?」
「うむ、仰ぎ見る事にしよう。水の神、これから更に剣の道を歩む事にする。」
「はい、頑張って下さい。」
「また、頼む。」
走り去るルーン。
「ふふふ、無骨な求道者は、可愛いですね。」
「水の神様、こちらにどうぞ。」
「はい、ありがとう。」
「まさか、水の神様とお茶をする事が出来るとは、」
「はぁ~落ち着きます。あら、香ばしくて美味しい。」
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