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第九十一話 流転

「いや、なんというか、味がないの。」

「うむ。豆の葉を干しただけだと、のう。」

「まぁ、オフトンさんが、チャーの種か、苗を買って来てくれるよ。」

「小豆洗いさん、それなんじゃが、オフトンさんとアグルさんは、悪い人じゃないと思うが、」

「ログさん、まぁのう。」

「任せる事は、いい事じゃが、ダイだけで大丈夫かの。」

「うむ。」

「小豆洗いさん、わしも長生きしとるが、商人は、解らんものよ。それに、せめて、護衛を増やした方がいいと思うよ。襲われるかもしれん。」

「ログさん、ありがとう。その通りじゃよ。」


「長、今、戻った。」

「お帰り、ルーリ。」

「ヘリンの父、フラット・シルヴァーバーチが、娘達が世話になったとこれを持たせてくれた。」

紐でくくられた、木々を下ろすルーリ。

「おお、そうか、お疲れさん、ルーリ、ゆっくり休んでくれ。」


「この木は、白樺かの?」

「白樺じゃな。」

「うん。」

「たしか、白樺の木を先祖代々家名とするエルフ一族だったの、ヘリンとポリーは?」

「そうじゃの、」

「じゃとしたら、その白樺の木を切り送ったという事は、よっぽどの礼じゃな。」

「そういう事じゃ。」

「でも、この白樺の木は、どうしたもんかの?焚き木にくべたら怒るかの?」

「折角じゃから、細い木は、挿し木にしてみればいいじゃろ。」

「うんうん。そうしよう、太い方は、ケンタウロス達の母屋の目立つ所に使うかの?」

「それがいい。ああ、その前に、魂水神像に奉納しなさせれ。小豆洗いさん。」

「そうじゃ、その通りじゃ、ログさん、今後は、先にわしの所に持ってこないように皆に、伝えよう。」


「ようやくのんびりできそうじゃの。」

「うむ、小豆洗いさん、ゆっくりしたらいいよ。」

「この村にいると、楽しくてのぅ、ついつい、動いてしまうのじゃよ。」

「見ているだけで、楽しい村じゃからの。小豆洗いさん、わしも分かるよ。」

「そうじゃろ、この豆に、ガリコ芋、どんどん育っていくよ、ログさん。」

「丸太もふえて、家も燻製小屋も作るんじゃろ?」

「そうじゃ、わしゃ、家はいらんから燻製小屋じゃよ。」

「忙しいのぅ、小豆洗いさん、」

「燻製は美味いんじゃよ、ログさん。食べたらびっくりじゃよ。もつようになるしのぅ。」


「小豆洗いさん、」

「ん、なんじゃ、百舌鳥カマキリ。」

「あの、水の神様が来ましたよ。」

「はぁ、何じゃ今度は、」

向こうのほうを見てみると、確かに来た様だ。

「な、なんと、小豆洗いさん、水の神様じゃよ。水の神様。」

「本当に来るんじゃな、本当に、この村に、。早く、いこ、小豆洗いさん、」

浮かびながら進むログ爺さん。

百舌鳥カマキリを肩に乗せ歩き出す小豆洗い。


小さな岩に腰を下ろす水の神様。

相変わらず綺麗な青い髪の女神。

皆、静かに、ひれ伏している。


「元気そうですね。小豆洗い、百舌鳥カマキリ、ゼンマイ。」

「はあ。」

「はい。」

(はい。)

「皆の者、表を上げて下さい。」


「小豆洗い、あなた方の世界から来てしまったと思われる方を見つけたのです。」


「そ、それは、」

「きっと、あなた方と同じ力を持つ方だと、しかも、お二方と言いますか、。」

「な、なんと、」

「ひとかたは、とても落ち着いておられるのですが、もうひとかたは、荒れてると言いますか、泣いてると言いますか、怯えてると言いますか、その、女性の方です。」

「それで、お願いがあります、その女性の方が問題でして。」

「光の神が事実を伝え、取り敢えずあなた方のいるこの地に行く様に、説得を試みたのですが、逆に怒り荒れてしまいまして、」


「荒れるとは、どういう事ですじゃ?」

「その方がいる辺りだけ、大荒れの天気で、私達の力をもってしても抑えられないのです。」

「大荒れの天気?」

「はい、雷雨が続いてめちゃくちゃです。かなり怒られている様です。」

「はて?」

女で大荒れの雷雨?

だれじゃろ?天気を?

「もう片方は?」

「そちらの方は、それはもう美しい白い花を咲かせる木の精です。」

「木の精のう。」

河童では、ないか。

「そちらの方は、ゆっくりされてますが、兎に角、女性の方をお願いできないでしょうか?」

「んで、どこにおられるんですじゃ?」


「では、送りますね。」

水の神様は、両手を向けると淡い水色の光が小豆洗い達を包む。

消えた。



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