第九十話 信仰と商売は、難しいのぅ 其の三
「どうじゃ、皆、食べてみて?」
小豆洗いご自慢の善哉を振舞う。
流石に、少し恥ずかしそうだ。
「甘い。甘いです。」
「長、もっとないのか?」
「こんな美味しい物は、食べた事ありません。」
皆、舌鼓を打っている様だ。
「鍋がふえたら、もっと作れるようになるで、のう。」
恥ずかしそうに笑う小豆洗い。
「ああ、これは、力がみなぎる。」
「穢れ無き水とは、違う、この力は、。」
「まぁ、皆、聞いてくれるか?わしゃ、ん、ん、ゴホン、大妖怪、小豆洗いである。」
手を挙げる小豆洗い。
「実は、のう。わしは、川や水があれば、桶で、小豆を湧かせて洗う事が出来るんじゃよ。」
「長、私と戦った時も、小豆を使ったでは、ないか?」
「ルーイン、念力を込めて作り出す事も出来るが、ちと、今、食べているのとは違うんじゃ。」
腰の辺りから、小豆をとって見せる小豆洗い。
「それか、あれは、痛かったぞ。長、」
「今、皆が食べてる小豆は、柔らかいじゃろ。」
「この力は、どういう事ですか?」
「うむ、サッカー。」
「わしが小豆を洗うとの、その土地の川の力が、小豆に染みていきよる。この川は、まぁ滋養強壮じゃの。」
「そんな事が。」
「わしが沸かせた小豆に、わしが味付けするのなら、甘くも、辛くも、毒にも薬にもなるぞい。」
「なんというお力ですか。」
「まぁの、まぁ、な。」
照れている小豆洗い。
「長様、この豆は、植えたら芽が出ますか、」
「グルス達は、本当に作物を作るのが好きなんじゃの、いいことじゃ。芽は、でないよ、でない。」
「そうですか。残念です。」
「ああ、でも、この大地なら、解らんの。」
「ええっ、では、植えてみませんか?」
「うむ。ええよ、。これは、端がかけとるで、よし、うん。」
「ぬぬぅ、」
手に、力を籠める小豆洗い。
「ふぅ。」
手のひらをかえすと、一粒の小豆。
「ほれ?グルス頼むぞい。大事にな、。のう?、。大事に。」
「はい、では、お預かりします。」
「小豆洗いさん、美味かったです。」
「スライダーどうじゃ、儂もなかなかじゃろ?」
「はい、なんで今まで、腹減ってる時に小豆、出してくれなかったんですか?」
「はいはい、スライダー、ちょっと黙ってくれる?」
いらつく小豆洗い。
「小豆洗い殿、もっと頻繁に創って頂きたいのですが、」
「うん、アイス、美味しかったか?」
「はい、美味しいですし、多めに小豆を保存しておきたいです。」
「そういうもんじゃないの。」
「だって、売る事も出来ますよ?」
「売るもんちがうの。」
「はぁ。なんでお主らは、そうなんじゃ。」
「よいかの?ルーイン達を見てみい。蓄えようとか、売ろうとか、早く食べさせて欲しかったとか、」
「言わんじゃろ。」
「もっとくれとは、言っているが、素直な欲なんじゃよ。」
「それに比べて、欲まみれというか、強欲というか。」
「はぁ、もう。」
座り込む小豆洗い。
「あの、小豆洗い殿、この善哉という食べ物は、御見それ致しました。」
「うむ、サッカー、小豆の塩煮も美味いんじゃよ。」
「小豆洗いさん、美味しいよ。」
「ログさんありがとう。」
「若いもんの事は、気にせんでいいよ、小豆洗いさん。」
「うん、」
「しかし、甘いの。これには、濃い茶が合いそうじゃな。」
「うん、うん、実はの、抹茶と言ってのログさん、」
「長、長、」
「ん、なんじゃ、皆集まって?ルーイン?」
ケンタウロス達が、ぞろぞろと集まる。
「このみなぎる力は、長の力か?」
「まぁ、この河、この大地の力ともいえるし、わしの力は、少し添えただけじゃよ。」
一斉にひざまつくケンタウロス達。
「長、今、我らは、どこまでも走り、戦う力を得た。」
「長のお陰だ。やはり、長は、我らを導いてくれる。神の力を得た様だ。」
「まぁ気持ちは有難いが、二、三日で、落ち着くでのう。」
「長、二、三日あれば、どこにでも走りゆけるぞ。」
「皆、落ち着いてくれるか?のう?」
「落ち着けと言われましても、小豆洗い殿、この体の効果と気持ちの高鳴りは、抑えろと言われましても、武人として辛いです。」
「サッカーまで、そんな事を言って、」
「やはり、長の力は、凄いぞ、神の力といっていい。」
「おおおおお~。」
「おおおおお~。」
「こりゃ、ルーイン、少し落ち着いて。」
「力みなぎるこの体、どうしたものか?」
「おおおおお~。」
「皆、心穏やかに、力に酔いしれてもならぬ。ましては、神の力でもないぞえ。」
「長、神は、見ているだけだが、長は、力をくれた。長にこそ我が信仰するに値する。」
「ルーン、有難いが、力を与える者にすぐ信仰を変えるぐらい、軽い信仰なら、そんなもんやらんでいい。」
「長、軽くはない。我は、感動したのだ。」
「感動したなら、何じゃ?水の神を信仰する事にしたのなら、死ぬまで、信仰せい。その位せにゃ、解らん事もある。」
「皆、聞いてるれるか?わしも出来る限りの努力は、するが、皆を導いてくれるのは、水の神じゃ。」
「くれぐれも、勘違いせんでくれ、。」
「のう。頼むで。」
「はっ。」
「ははぁ。」
「うん、良し。」
「長、」
「なんじゃ、ルート?」
「ルーリが、帰ってきたら食べさせてやってくれないか?ルーリが可哀想だ。」
「そうじゃの、そうしよかの。」
「ありがとう。」
「うん、うん。」
「オフトンさん、鍋買って来て下さい。」
「アグルさんも、一杯。」
「はい、大きな鍋を買いましょう。」
「お願いします。ねぇ小豆洗いさん。」
「そんなに創る訳じゃないぞ、スライダー。」
「いや、私は、皆が平等に食べれるようにしたいだけなのです。」
すました顔で、答えるスライダー。
「長、確かにナマズマンや、一角兎が、皆食べる事を考えたら、足らないぞ。」
「そうじゃな、ルーイン、」
「皆さんが欲しいと思ってくれるがゆえに、我ら商人のやりがいが生まれます。長様。」
「長様、儲ける事と、皆が満足する事、それらが上手く入り乱れてこその商売です。」
ひざまつくオフトンと、アグル。
「まっそうじゃの。」
「商売の事は、任せるで、」
わしゃ、金勘定はやっぱし得意じゃないわい。
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