第八十九話 信仰と商売は、難しいのぅ 其の二
「アグル、暁盗賊団がいないとなると商売が変わるぞ。」
「オフトン、これは、大変な事が起きたな。」
「ん?大変?ええ事じゃろ?」
「長様、皆様にとって確かにその通りですが、身の危険を顧みずに、商品を運ぶ事によって金額があるのです。」
「盗賊の類がいないのであれば、村人達が、村と村を行き来し物を売り買いしやすくなります。」
「我らの様な行商人から、買わなくてもよくなります。」
「そうか、でも、まぁ、全ての盗賊が居なくなった訳ではないから、安心し過ぎないようにのう。」
「はい、我らの様な行商人仲間に教えてあげないと。」
「もし、キラ王国から、アキノ村まで、馬車で運ぶ事が出来るのであれば、商品の流れが加速します。」
「まぁ、皆が喜ぶ事なら良いじゃろ。」
「はい。」
「小豆洗い殿、ケンタウロス達にお願いしている木の伐採の場所をもっと川沿いにお願いしますか?」
「そうじゃの、アイス、」
「流石に、アキノ村まで、道を造るとすると時間がかかりますね。」
「まぁ、ボチボチやろうや。のう?」
「はい。」
「じゃ、ちと、わし行くで、」
「あ、はい。」
歩いて行く小豆洗い。
ああ、疲れる、。頭がぐるぐる回るの。
やっぱし、わしらの様なもんは、世の中に関わらん方がええんじゃ。
河童は、どこにいるのかの?
はぁ。
ああっそうじゃ。
「ルール、どうじゃ、ナイフは、手に馴染むかの?」
「ああ、長、ありがとうございます。」
「お腹も大きくなってきたの~。」
「おかげさまで、 」
「ルール、ちと、手伝ってくれるかの?」
「はい。なんでしょう?」
「皆で、ありったけの鍋持ってきてくれるか?」
「はぁ?」
「今日の夜に、皆で食べようと思っての。じゃ、あっちの河の辺りで待ってるで。」
もう、今日の今日は、ええじゃろ。
「小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「は~小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「小豆洗おか、人取って喰おか~ああ~」
ショキショキ。
ショキショキ。
よしよし、相変わらずいい水じゃ。
あ~気持ちええ。
あぁ~気持ちええ。
「小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「は~小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「小豆洗おか、人取って喰おか~ああ~ん~ん~」
ショキショキ。
ショキショキ。
「ルール、鍋並べてくれるか?」
「ドンドン小豆入れるで、」
皆、訳が分からないが、鍋を並べる。
「まだまだ、鍋の数が足らんけど、少しは食べれるじゃろ。」
「小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「は~小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「小豆洗おか、人取って喰おか~」
ショキショキ。
ショキショキ。
はぁ、気持ちええ。
まぁこんなもんか?
後ろを見てみると、皆が見ていた。
「皆、夜、食べようのぅ。」
元気に手を振る小豆洗い。
「あら、皆さん良かったじゃない。甘いわよ~」
百舌鳥カマキリも、嬉しそうに手を振って小豆洗いに答える。
「百舌鳥カマキリ殿、あれは、どういう?」
デコイが尋ねる。
「し~らない。ふふふ、」
小豆洗いがルール達とゆっくり歩いて来る。
「長、これは綺麗な豆ですね。」
「うむ。小豆というんじゃよ。」
「アズキ、あのどうすれば?」
「今からゆっくり煮て食べると旨いぞ。わしも手伝うで。」
「はい。」
「鍋が増えたからの~、皆、少しだけかもしれんが食べれれるじゃろ。」
「鍋が増えるのが、牝のケンタウロス達が一番喜んでます。」
「そうじゃの、オフトン達に買って来てもらうとするか?」
「はい。助かります。長は、なぜ、奪わないのですか?」
「奪う?」
「はい、この村に元々ある鉄鍋などは、昔、ルー族に戦いを挑んで死んだ人間の残していった物です。」
「私達は、鉄鍋を造る事は、出来ません。ドワーフが来た時に売ってくれた事もあるらしいですが。」
「ドワーフ?」
ドワーフ?ドワーフ?
「簡単なのは、人間から奪う事です。」
「ですが、雄のケンタウロス達は、戦いばかりで、落ちてる物を拾ったりしません。」
「そう言うところが好きじゃよ。」
「ですが、ナイフを頂いて常々思いました。楽です。剣や指の爪で魚をさばく事を考えたら、」
「ナイフも、もっと買って来てもらうかの?」
「はい、ありがとうございます。でも、私は、思うのです。」
「ん?」
「こないだのキラ王国東門の戦いでは、夫達は、見事だったとの事です。」
「そうじゃよ、凄かったぞい。」
「ならば、少しでも、鉄鍋やら拾って来てくれたら、良かったのに、と。」
「ルーラは、矢を使い切ったようですが、新しい矢を奪ってくれば良かったのに。」
「うむむ、戦いの中では、敵の武器を奪う事もあろうが、物までは、奪ってはならん。」
「なぜです。ここを攻めた時のキラ王国の物は、頂いてるでは、ありませんか?」
「それは、攻めて来た時は、攻めて来た奴らが悪いからの、頂いてもいい。」
「同じ物でも、攻めた時は、略奪しては、いけなくて、攻められた時は、略奪してもいいと。」
「ルール、そうじゃよ。そうじゃなくちゃ弱いものいじめになってまうよ。」
「ああ、長、すっきりしました。」
手を合わせるルール。
手を合わせる事が、根付いていたのう。
「世の中には、強い者と弱い者がおるじゃろ、強い者は、弱い者を助けるのじゃ。」
「決して弱い者からは、奪っては、いかん。例え敵だとしても、」
「はい。」
「だが、強欲な者から、無欲な者が、奪われそうな時は、奪い返してもいい。」
「生活を支えてるのは、そなた達、牝のケンタウロス達じゃ、すまんの。」
「徐々に生活が楽になる様にするで。」
「長、ルーンの話を聞いてましたが、私は、水の神より、長に祈りを捧げたいです。」
「そんな、恐れ多い事を、言うて、。水の神は、優しいお方じゃよ。わしは、全然。」
照れる小豆洗い。
「さぁ、アズキを煮ようかの?」
「はい。」
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