第八十八話 信仰と商売は、難しいのぅ 其の一
「寝れたかの?」
「あ、はい。」
「小豆洗いさん、寝れる訳ないでしょ。」
「そうじゃの、スライダーの言う通りじゃ。」
「ふぉふぉふぉ、小豆洗いさんが、そんなに気を使ったら、いかんよ。」
「その通りです、長様。」
「我らごときに気を使わないで下さい。」
「でもの、ナマズマンのジッターは、悪気はないんじゃ。」
「話をきいて分かっております。」
「すまん、食べようとは、してないんじゃ。」
頭をかく小豆洗い。
「いや~昨日、寝ようと思ったら、アイスとデコイが、のう、」
「おはようございます。小豆洗い殿、お話は、その辺で魂水神像に行きましょう。」
「アイス、デコイ、悪かったのぅ。わし、商売は、得意じゃないんじゃよ。」
「おはようございます、小豆洗い殿、行きましょう。行きましょう。」
「売る物の数を見せては、いかんとは、すまんかったのう。」
笑っているオフトンとアグル。。
魂水神像のところにも、一角兎の角が多く置いてあった。
「ああ、そうじゃ、奉納する事にしたんじゃ。」
「こんなに落ちてたんですか?」
「らしいぞ、今までほったらかしじゃったからのぅ。まだ、あるんちゃうかな?」
考え込むアイス。
「美しい。素晴らしいです。水の神様がいる。」
「水の神乗せてるケンタウロスは、ルーインに、そっくりじゃろ?」
「はい、その通りです。」
「あの、我らも水の神様を信仰してもいいでしょうか?アグルどう思う?」
「私も、そう思います。感動しています。」
「心が洗われる気持ちです。」
「そりゃ水の神も喜ぶで、皆に知らせよう。」
「デコイ様、水の神様に誓い、私達も腹を割って商売の致しますから。」
「此方こそ、宜しく頼みます。」
「良かったの、良かった。」
「じゃ早速、水の使徒ルーインから、穢れ無き水を、頂くとしよう。」
「は、はい」
「なっ。」
オフトンの肩を叩く小豆洗い。
「はい。」
「じゃ呼んで来るでの。ゆっくりしとって。」
出て行く小豆洗い。
小さな一角兎が、お祈りをしに来たようだ。
「水の神様、いつもお見守り下さり、ありがとうございます。」
「水の神様、いつもお見守り下さり、ありがとうございます。」
「水の神様、いつもお見守り下さり、ありがとうございます。」
そう言って、帰って行く。
今度は、ナマズマンが二匹。
「皆、大体、起きたら来るのです。」
「必ずではありませんが。」
「わたしは、今、初めて神の存在を見た気になりました。」
「オフトンもそう思ったか?私もだ。こんなに美しくて神聖な祈りを、見た事が無かった。」
「まさか、魔物に教わるとは、」
「私達も、そうでした。皆、心が綺麗です。」
「ここにいると、なんか、自分が変わっちゃいますよね。」
「はい、アイスさん。本当に、来て良かった。」
「では、飲むがいい。」
ルーインが、手から、穢れ無き水を溢れさせる。
「有難うございます。」
「有難うございます。」
「まぁ、良かったの。」
「長、ルーインから、なぜ、穢れ無き水を貰ってるのだ。」
「ルーン、オフトンとアグルが水の神を信仰したいと言っての。」
「まぁ、区切りじゃよ。」
「うむ、人間が好きそうな事だ、わしにも飲ませろ、ルーイン。」
「ヒュン、」
ルーインが水の球を飛ばす。
「ベチャ」
口を開けたルーンの顔に、見事なほどにぶち当たる。
「おお、」
「凄いでは、ないか、ルーイン。飛ばせる様になったのか?」
「ログ爺さんが、教えてくれたのだ。」
「そうか、ログさんがの、」
「そんな事より、長、」
「なんじゃ、ルーン。」
「信仰とは、ルーインから水を貰う事なのか?」
「むむ、」
「わしなんて、いつもルーインから貰ってるぞ。」
「むぅ。そうじゃな、そうじゃ。」
「ルーンのいう通りじゃ。いや、喜ぶかなってのう。思ったんじゃ。」
「わしも、長の言う通りに、水の神を信仰する事にして、思う事がある。」
「祈りとは、なんだろうと、」
「ふむ。」
「我らは、水の神に会い、ルーインは、顔を治してもらった。悪魔に負けないために、ルーインに力をくれた。ルー族は、強くなった。」
「それに、わしは、水の神が嫌いでは、ない。でも、好きかと言われると、分からんのだ。」
「拝んでいて、分からなくなる。拝んでる間に、剣を振っていた方が、良いのでは、とな。。」
「皆も、会ったことも無い水の神を、良く崇拝するな、と」
「それは、ルーンが、真剣に向き合う気持ちで、水の神を、考えているからじゃよ。」
「長、今までは、先祖に戦いを捧げて来た、祈りもだ。これからも捧げていくが、先祖と水の神は、違う。」
「そうじゃのう。じゃ、ルーンは、少し、拝むのやめてみたらいい。」
「長、いいのか?」
「ええんちゃうかな、水の神は、そんなに怒ったりせんと思うし、」
「う~ん。長、それも違うと思う。」
「ルーン、長が困ってるでないか?」
「ルーインは、水の使徒だから、悩まんのだ。」
「いや、信仰とは、そんなもんじゃて、悩む事も大事じゃよ。」
「まぁ、ルーンの話は置いといて、オフトンと、アグルが、同じ水の神を信仰したいというんじゃ、」
「皆、仲良くしようや。のう?」
「はい、」
「うむ。」
「スライダー様は、どうした?」
「いますよ、ここに、」
「なんじゃ、黙りおって。」
「う~ん、まぁ、いいんじゃないかな。」
「そうじゃの、熱心に信仰するのも、ほどほどに信仰するのも、水の神を信仰する事には、変わらんて。」
「でも、魂水神像に拝んでたら、気持ちいいじゃろ。のう。」
「確かに、気持ちがよいな。」
「じゃろ、それで、良いと思うし。水の神と気持ちが通じるじゃろ。」
「まぁ、悩む事も楽しいじゃろ、ひとまず皆、それぞれ今日も頼むぞい。」
皆、それぞれに散っていく。
「さて、では、オフトンさん、商売の話ですな。」
「デコイ、頼むで、」
歩いて行こうとする小豆洗い。
「長殿もお願いします。」
「え~、まぁ、ええけど、百舌鳥カマキリと、丸太でものぅ。」
「一晩考えたんですけど、長殿がいた方がいいし、出来れば、ルーインさんも」
「うむ、アイス、分かったで、。ルーイン、ルーイン、今日は、わしと一緒に居てくれるか?」
「うむ。長が言うのであれば。」
「さてと、まず、この村にある物は、一角兎の角ですな。兎の皮も少し。」
「はい、沢山の角があると、」
「で、売るのは、いいとしてオフトンさん達は、買われた角をどこで、売られますか?」
「そうなんです、皆さんで言うアキノ村から、山をこえていくと、多々、小さな村がありますから、」
「キラ王国に売りにいきませんか?」
「長の許可はとってませんが、我らの最大の売り物は、アキノ村から、ルー族の村、キラ王国の販路です。」
「お見事です。我らも考えましたが、可能ですか?」
「ええんちゃう。ルーインは、?」
「うむ、長がいいのであればいいが、」
「ルーイン、誇り高きルー族の村、縄張りを通るという事じゃぞ。」
「長、うむ、ルーンの事もあるし、皆に聞くか。」
「そうじゃ、わしゃ、心配じゃよ。さっきルーンと話して気が付いたところもあるで、ケンタウロス達の気持ちを考えてやりたいのじゃ。」
「長、ありがとう。皆、喜ぶだろう。」
「まぁ、その件は、明日にして、オフトンさんと、アグルさん、持ってる物全部買うで、のう?」
にこやかに笑う小豆洗い。
「ああ、例えそうだとしても、ああ、」
「デコイ、もう、ええじゃろ。」
「はあ、」
「まず、ナイフとか、鍋とか、生活に仕える物は、全部、牝のケンタウロス達に渡してやれ。アイス。」
「はい。」
「で、この布と紐は、ログさんに。」
「はい。」
「で、一杯ある角を持っていけばよいの、」
「はい、お終い。」
「長、では、皆に聞いて来るか、」
「ルーイン、お願いするで、」
「よし、行ってこよう。」
走り去るルーイン。
「ここから、キラ王国に行けるのは、助かります。」
「そんでの、キラ王国にいったら、馬車を手に入れてくれるか?」
「馬車ですか?」
「ここから、キラ王国までは、平坦な草原じゃ、海岸線も平坦じゃ。じゃから、馬車があれば楽じゃしのぅ。」
「それは、いい。」
「高いかの?デコイ?」
「馬二匹の馬車ならば、かなりしますよ。」
「そうか、馬車で、キラ王国から、アキノ村までを馬車で、いける様にしたいの。」
「アキノ村まで、馬車なんて夢のようです。」
「それであれば、山々に住む村の者達に、多くの物を持っていけます。」
「そうじゃ、アキノ村を、旅人たちが自由に使える様にするかの。」
「なんと、それは、」
「それは、有難いです。」
「じゃ、オフトンさんと、アグルさんが、デコイと話し合って決めてくれるか?」
「長様、オフトンと、アグルでいいです。本当に有難いお話。」
「私ですか?」
「じゃってデコイがいいじゃろ。」
「はい、解りました。務めさせて頂きます。」
「しかし、山の中の村は、盗賊がでるのです。ですからアキノ村は、」
「大丈夫じゃよ、暁盗賊団は、もういないし、ああ、でものう、確かに誰かいてもらいたいのぅ。」
「暁盗賊団が、いないですって?どういう事ですか?」
「わしらが、暁盗賊団は、倒したのじゃよ。まぁ、泥棒、盗賊の類は、いなくならんから、心配はした方がええの。」
「それは、周知の事実なのですか?」
「まぁわしらと、ウィグラー王国斥候部隊は、知っとるよ。」
「アグル、暁盗賊団がいないとなると商売が変わるぞ。」
「オフトン、これは、大変な事が起きたな。」
「ん?大変?ええ事じゃろ?」
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