第八十三話 喫茶去
「はぁ、」
溜息をつくヘリン。
「仕方ない、ポリー帰るか、」
「はい、帰ると言ってもう、七日経ちましたし。」
「よし、小豆洗いに言いに行こう。」
「あ、ルーイン、小豆洗いは?」
「長なら、百舌鳥カマキリ殿と豆の畑辺りに居たぞ、」
「ルーイン、今から帰る事にしたのだ。」
「おお、そうか、我らの要請に答えてくれた事、必ず忘れない。一緒に長の所に行こう。」
「こちらこそ、ゆっくりさせてもらった。感謝する。」
歩いて行くヘリンとポリ―とルーイン。
「芽が出てきたら、豆の苗が育っていくのが楽しみになってな、ズルズルゆっくりしてしまった。」
「ヘリンの気持ちわかるぞ、私も自分がまいた豆の芽が出た時は、嬉しくてな、何度も見てしまったぞ。」
「少し豆をもらって帰って植えようかな。」
「それがいい、ガリコ芋も上手くいったら、届けよう。」
「有り難い。我らエルフとケンタウロスが、まさか、豆と芋の話をする事になるとは、わからないものだな。」
「はっはっは、そうだな。」
スライダーと小豆洗いが、畑で話している。
「長、ヘリン達が帰るようだ。」
「そうか、帰るか、」
「ええ~いっちゃうのですか?」
「スライダーも付いてったらどうじゃ?」
「どうしょう。」
「スライダー、エルフの里は、楽しそうじゃな。」
「ああ、小豆洗いさん、私達もエルフの里、いってみたいな。」
百舌鳥カマキリが小豆洗いの肩に乗り甘える。
「そうじゃのぅ。」
考えるスライダー。
「いえ、私は、ここにいる民や、豆や、芋を見守らなくてはいけません。」
手を広げるスライダー。
「スライダー、感が鋭いな、エルフの里よりこちらの方が楽しい。」
「姉さん。」
「長、ヘリン達は、我らケンタウロスの援助要請に応じて来てくれた。礼を持って送りたいが?」
「そうじゃな、たしかルーリが行ったんじゃったの?」」
「そうだ、」
「じゃ、何かお礼の品を持たせようのう。と言っても、キラ王国の武具と兵糧しかないのぅ。」
「そ、それでも十分に助かるが、頂けるのか?」
「いいぞい、。のう、ルーイン?」
「では、長、豆の兵糧と、武具を持てる限りルーリに持たせよう。」
「有り難い。」
「有難うございます。」
ヘリンとポリーは、頭を下げる。
「昼飯食べてから行ったらどうじゃ?」
「うん、ありがとう。」
昼飯を皆と食べた後、ヘリンとポリーは、帰って行った。
「寂しくなったの、スライダー?」
「はい、」
「お主もそろそろ、ウィグラー王国に行かんとの?」
「はい。あ~あ、」
「まぁ、そう、しょげるなスライダー。」
「わしも、一緒にウィグラー王国に行こうかの?」
「はい、行きましょう。」
「行くのは、いいとして手持ちのお金がないからの、」
「はあ、そうなんですよね。」
「なんか考えといてくれ、スライダー?」
「アイスに相談してみます。」
「頼むで、。」
「デコイ達は、上手くなじめそうか?スライダー。」
「はい、サッカーさんがいれば、大丈夫ですよ。」
「そ、そうかの。」
「ここは、ご飯は食べれるし、なにせケンタウロスが守ってくれますし。」
「うむ。でも、怖いんじゃろ?ケンタウロス。」
「はい、そうですけど、サッカーさん達が仲良くなってますし、なんせログ爺さんがいますから。」
「なれてくれたらええけども、いくか、ウィグラー王国に、」
「は、はい。一緒に行って下さい。」
アキノ達元気かの~。
「小豆洗いさんや~茶にしよ~」
遠くからログ爺さんが、手を振る。
「スライダーも飲むか、豆茶?」
「はい、」
歩いて行く。
サッカーと、デコイが、ダイと剣の稽古をしている。
「ダイ、良かったの~稽古つけてもらえるなんて、」
「はい、」
「小豆洗い殿、お疲れ様です。」
礼をとるサッカーとデコイ。
「あ、小豆洗い殿、お疲れ様です。」
真似をして礼をとるダイ。
「はっはっ」
指をさして笑うスライダー。
「こりゃ、スライダー。」
「頑張るんじゃよ、ダイ。」
「はい、」
「サッカー、デコイ、グルス達にも少しずつ剣を教えてやってくれ。」
「分かりました。小豆洗い殿、ガリコ芋も根付いた様です。」
デコイが嬉しそうに言う。
「ドンドン増やそうや。のう。」
「はっ楽しみです。肥沃な土地が広がっていますし、シャローラビット達が、良く見てくれてます。」
「そうなんじゃよ、有難いの~」
「小豆洗いさん、豆茶いれたよ~」
ログ爺さんがテントの横から手を振る。
「はいよ~」
「待たせたの。ログさん。」
「い~や、」
「コースト、そこでなにやっとるんじゃ?」
「はい、実は、魔法の事でお聞きしたい事が数多くありまして、」
「コーストさんは、魔法の事が知りたいみたいじゃ。」
「コーストも茶、飲も、飲も、」
「小豆洗いさん、わしゃ、豆茶、好きになってもうたよ。」
「ログさん、わしもじゃよ。」
「あっログさん、豆の葉を揉んで干すと旨いかもしれん。」
「揉んで干す?」
「うむ、わし等の国、日本は、茶というと茶の葉を揉んで干した物を呑むんじゃよ。」
「まぁそんで、出来たのを焙じてもいいけどなぁ。」
「ログさんは、何茶が好きなんじゃ?」
「わしは、チャーの実を燻して飲むチャーじゃよ。」
「ほほう、それも飲んでみたいな。チャーの実は、植えたら芽は出るのかの?」
「出るよ、でっかいチャーの木の実が、美味いんじゃ。」
「植えようや、手に入れて。」
「うん、うん。」
「日の本とは、違うもんじゃのぅ。」
「でな、喫茶去といっての、まぁ、茶を飲めじゃ。」
「喫茶去?」
「ふふふ、喫茶は、茶を飲め、去は、去れ、去る、。」
「まぁ、茶を飲めじゃ、」
「うむむ、喫茶去、喫茶去、」
考え込むログ爺さん。
「喫茶去ですか?」
コーストも考える。
ポカーンとするスライダー。
「そんでの、こういう木の椀ではなくての、粘土や泥を練って干したのを、良く焼いた碗で飲むんじゃ。」
「ほほぅ、やってみたいの~」
「ログ様、土の魔法使いがいれば、いいですね。」
「ああ、そうか、土の魔法使いと、焼くなら火の魔法使いか、」
スライダーが話に乗っかる。
「焼くのが大変じゃが、火の魔法使いは、そんなに高温で、焼けるのかの?」
「ドワーフの国で、火を使う魔法使いなら、やれるな。」
ログ爺さんが言う。
「この世界は、魔法があるから楽しいが、ちとずるいの。」
「ふぉふぉふぉ、そうじゃの。コースト我らで、作ってみるか?」
「はい。」
「ああ、そうじゃ、干物じゃ、干物を作ればいいんじゃ。」
「魚が美味いじゃろ、海も近い、干物にすればええ。」
「小豆洗いさん、取り敢えず、喫茶去じゃ。」
「こりゃ一つとられたな。喫茶去、喫茶去、。」
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