第七十七話 救出劇 其の十 再開
遠くに居るケンタウロスは、時折、門の前をウロウロするだけで、攻撃をしてこなかった。
つかの間の休息であった。
門兵は、沈む様に寝ている。
門の下では、兵達が、どんどん物を運び、門を開かないようにしていた。
門の松明が、闇夜を照らす。
また、門の前にケンタウロスが様子見に来たと思った。
ところが、今回は、三体に。
「ケ、ケンタロウス達が、増えた」
「ケンタウロス達が増えました。」
「おおおおおお~」
「おおおおおお~」
「おおおおおお~」
「ドォン、ドォン。」
「ドォン、ドォン、」
「もう、無理です。時間の問題です。」
「こ、これは、ケンタロウス達は、交代しながら、攻め続けるという事で、間違いないのでは、」
「兎に角、矢を放て、」
「くそ~ケンタウロスを攻めたりするからだ。」
「喧嘩を売ったのが間違いだ。そっとしてりゃ何もしないのに。」
「殺されるぞ、みんな。」
「梵っ」
「遅くなったの、戻ったぞい?」
「皆、無事の様じゃの。」
「はい、疲れてはいますが、」
「スライダーさんのお陰もあって、皆、元気もあります。」
「スライダー?」
座りこんでいるスライダー。
「腹減りましたし、疲れましたし、眠いです。」
「うむ。生きる事は、そういう事じゃよスライダー。」
「はぁ、」
「が、スライダーに感謝じゃ。ありがとうスライダー。」
「あの、小豆洗い様。」
「へっ」
イミンと、スピンが、話し掛ける。
「アイスから、話は、聞きました。」
「我らを助けて下さり、」
「まぁまて、無事脱出してからじゃ、のう?」
「聞いてくれ、明日、いつになるか分らんが、サッカーが来るで、」
「その時に門の外に出るぞえ。」
「寝てる者にも、後から、伝えてくれればええ。」
「ログ爺さんや、暗いうちに門の外に降りるかの?」
「うむ。」
「大丈夫ですか?」
スライダーが言う。
「なんじゃ、水の~」
「水の~、水の~、、、」
「ふぉふぉふぉ、わしの力は凄いぞ~」
「スライダー、儂も、百舌鳥カマキリと、ゼンマイもケンタウロス達とおるからのぅ。」
「ケンタウロスも、ルーレとルーロが来たし、ルーインが帰ってきたら、えげつないぞ。」
「四体のケンタウロスかぁ。」
「どれ、ログ爺さん行くか、」
「うむ。」
ふわりと浮く、ログ爺さん。
「待て待て、ここから、飛んだら目立つじゃろ。」
「飛べるんだ?」
スライダーがポツリという。
皆も、じっとログ爺さんを見る。
「暗いし、大丈夫じゃろ」
「歩いて、あっち行こうや、のう。」
門から続く塀を指さす。
「歩くのかい?」
「そうじゃよ。」
「もう、腰がの。」
「ゆっくり、行こう。」
「しゃあないか、」
老人二人は、ゆっくり歩いて行く。
「アイス、私達は、老人にすがるしかないのですか?」
スピンが、言う。
「老人といっても、お強いのです。ねえ、?」
アイスは、ヘリンとポリーを見る。
「あのログ爺さん、小豆洗いが、認めてるのなら、化け物か?」
「うん、あり得ますね。」
「あの爺ちゃん、俺が子供の頃から、ずっとコイバ亭の辺りで、寝てるよ。」
ダイが話し掛ける。
「ヘリンさん、ダイ、帰さないと」
アイスが言う。
「アイス、私達エルフは、長生きするし、人間の考えは、解らない事がある。」
「ダイが、言ったのだ。」
「男として誓ったと。」
「私を主人として忠義を尽くすと」
「・・・。」
「私は、こんな誓いを立てたダイに、何も言えなくなってしまったのだ。」
「姉さん。」
「ヘリンさん、」
「いいんじゃないかな?ダイ、間違ってないけどな、」
能天気にスライダーが言う。
朝を迎えるも、ケンタロウス達の怒号と、兵達の戦いは、続いていた。
疲れ切った面々は、家裏で眠り、座り込んでいる。
丁度、家の裏に井戸があり、休む事がしやすかった。
家の持ち主達も、逃げた後で静かだった。
太陽が真上に来た時で、あった。
「また、ケンタロウス増えやがった、」
「四匹だ、四匹。」
「このまま、増えて行くのか?」
四匹のケンタウロスは、門から距離をとる。
その後ろに、爺二人と、人間の男が立っていた。
「アイスエッジ~」
それは、大きい、とても大きい三角の氷であった。
鋭く尖る先は、ゆっくり回りながら、門の方に向く。
「やばい、」
門兵が言う。
「ズッズン」
門に突き刺さる氷の塊。
「あっ」
「ゴブリンメイジなのか?」
「ゴブリンメイジが居るぞ。」
「なんで、ケンタウロスとゴブリンが、」
「あんな魔法見たことないぞ。」
刺さると同時に砕け散る氷の塊。
「おおおおおお~」
「おおおおおお~」
ケンタウロス達が門にできた穴に向かって来る。
「退避、門を捨て、陣までさがれ~」
「退避、総員退避だ~」
「ひぃぃ~」
兵達は、どんどん引いて行く。
陣に居た、兵達は、陣を捨て、兎に角、逃げていく。
門の穴からケンタウロスの姿が見える。
「おおおおおお~」
怒号が聞こえる。
柵に蹴りをかますルーイン。
柵は、一瞬で、割れ壊れる。
続けて三体のケンタウロスも入ってきた。
「入って来たぞ~」
「引け、ひけ、」
「弓矢隊、放て~」
横に跳ねながら、盾で、防ぐルーイン。
そのせつな、ルーラとルーロ、ルーレが、陣の柵に蹴りをかます。
頑丈にできた陣の柵でも、すぐ、壊れてしまった。
「退避、退避、」
「逃げろ、逃げろ、」
そこからは、酷い有様であった。
追い駆けながら、ケンタウロス達は、次々と殺していった。
しんがりをする部隊がいないのだから、皆、逃げる背中から切られていく。
諦め座り込む兵にも容赦なく刃は、刺さっていく。
「い、いきますか。」
阿鼻叫喚のなか、スライダーが、言う。
「行こう。」
ヘリンが手を挙げ、皆、立ち上がる。
家の裏手から、通りに出ていくと、血だらけの遺体が転がっていた。
家と家の隙間に隠れる兵は、ガタガタ震えながら、
「で、出るな、」
と、手を振る。
「しー----」
アイスは、そう伝えると歩いて行く。
死体だらけの道であった。
イミンや、スピン、グルス達も体の震えを抑えながら進む。、。
ゆっくりと歩いて行く。
先の東門を見ると、出来た穴の所にサッカーが現れる。
「アイス、」
そう叫ぶサッカー。
「父上、」
そういうと馬から降り走り出すスピン。
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