第七十五話 救出劇 其の八 その時、爺が動いた。
夜が明けて来た。
前に兵達が居る事で、ゆっくりと歩く事になっていた。
しかも、前の兵達も、ゆっくりな行進である。
「なんかのぅ~。」
「なんかすっきりせんの~」
「そうですが、襲ってこないのは、いいと思います。」
アイスが、空を見上げる。
「うむ。」
ヘリンが、帰って来た。
「お疲れさん、ヘリン、大丈夫じゃったか?」
「ルーイン達が、大分暴れている様だ。」
「門がもたない噂が出ていて、東門の人々は、非難を始めるようだ。」
「ほほぅ、アイスの言う通りじゃな。」
「はい。」
「姉さん、大丈夫?」
「うん、ルーイン達のお陰で、誰からも相手にされないわ」
暫くすると、荷物を持って逃げて行く人が増えてきた。
「少し休憩するか、」
道端で座り込む。
「スライダー、皆に、穢れ無き水を、」
「はい、」
「皆、聞いてくれ、ここからは、休む事が出来なさそうじゃ、」
「良く休んでくれ」
「ヘリン、」
「ダイを帰してやってくれ。お主の命令以外聞かないそうじゃ。」
「分かりました。」
馬をポリーに預けて歩いて行くヘリン。
「おい、爺さん。」
「なんじゃ、お主もいい加減帰ってくれんかの」
「ケンタウロスが暴れているらしいの、」
「うむ、」
「わしが、退治したろうか?」
「爺さん、何を言っておる。勝てるのか?」
「ふぉふぉふぉ、ケンタウロスの一、二匹ぐらい、いけるじゃろ」
アイスとポリーは、キョトンと小汚い爺さんを見る。
「まて、冗談も休み休み言え、ケンタウロスじゃぞ。」
「そうじゃ。」
「まぁ待て、待ってくれ」
「なぁに、こっちには、水の加護を持ってる方がおるからの、」
「スライダーと言ってたかの、あやつとわしでケンタウロスを倒したるよ。」
なんじゃ、この自信は、
「まぁ分かったが、少し落ち着いてくれんかの。」
「東門から出て行くんじゃろ。」
「そうじゃよ。」
「でも、外にケンタウロスが暴れているんじゃろ??」
「そうじゃ。」
「じゃったら、ケンタウロス倒さんと、此奴ら死んでまうよ?」
「そうじゃけど、」
「じゃからわしが、焼き豚定食のお礼にケンタウロス倒したるよ。」
ふわりと浮かぶ小汚い爺さん。
「待った。待ってくれ」
桶をふわりと浮かばせる小豆洗い。
(爺さん、ケンタウロスは、わしらの仲間じゃよ。)
「何と、何と、」
「これは、出過ぎた真似をしたようじゃ」
(それでどうされる?)
念話で返す小汚い爺さん。
(このまま、東門を出て行きたいのじゃが、怪我も無く、上手くやれんやろか?)
(取り敢えず私が門を切りましょうか?)
「こりゃたまげた。」
(は、話せるのか?)
(うん、)
「わしは、アズキアライ。百舌鳥カマキリとゼンマイじゃ。」
(宜しくお願い致す。)
(宜しく~。)
「お主、名は?」
「わしゃ、ログじゃ。生きていると面白い事があるもんじゃ。」
小豆洗いと小汚い爺さんは、二人で話しているのだが、変だ。
会話が噛み合わない。
呆けてきた老人にしか見えない。
アイスとポリーは、ついていけないので、苦笑いをしている。
遠目で見たスライダーは、笑っている。
「取り敢えずもう少し行ってみるかいの。」
「ふぉふぉふぉ、そうじゃの。」
東門の街並みが見えてきた。
人は、どんどん避難している様だ。
兵達は、東門の上から弓矢を放ってる。
一応、門が突破された事を考えて、丸太で柵を造っている途中だ。
「アイス、皆にケンタウロスは、味方だと、教えてやれ。」
「はい、信じないだろうなぁ。」
「ヘリンとポリーも頼む」
「はい。」
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