第七十話 救出劇 其の三 コイバ亭
「ダイ、最近は色々と物騒らしいけど、君は大丈夫だったかい?」
アイスが話し掛ける。
「なんか、捕まったりしてますね。でも、俺は、家もないし一人だから、そんな関係ないかな。」
「そうか~、」
「でも、商売してる人は、大変だっていってたなぁ。なんか物が溢れてるって」
「じゃあ安くなっていいじゃろ。」
「爺さん、違うんだな、どんどん値が崩れていってるって。」
「ほほ~う。」
「ご主人様は、何をされるんですか?」
顔が赤くなる、ヘリン。
「う、馬を売ろうと思ってな。」
「ええ、こんなにいい馬、売っちゃうの?」
「なかなか見れないぐらい、いい馬なのに。」
確かに、いい馬じゃ。
「でも、いい商売になる様に手伝います。」
「そ、そうだな。」
(小豆洗いさん、いいこよ、)
(私も話したい。)
(駄目。)
歩いて行く一行。
四、五時間歩いただろうか、。
大きな大きな城が見える。
城の回りに、城下町が見える。
「大分、歩いたの、」
小豆洗いが腰を叩きながら言う。
「腹へったな~」
スライダーが、何かを訴える。
「ダイ、どこか食べたい物は、あるか?ご馳走しよう。」
アイスが気の利いた事を言う。
「ええ、いいんですか、じゃあ、コイバ亭の、焼き豚定食かな、」
「俺の知り合いというか、皿洗いして働いた事あるんですよ。」
「いきましょう。焼き豚定食。」
スライダーは、大きな声をあげる。
「泊まる事も出来ますよ。」
「コイバ亭か、俺も食べた事あるな。美味しかったなぁ。」
アイスが言う。
「それは、いいのぅ」
「じゃあ案内を頼む。」
「えっいいですか?親父さん喜ぶな。」
少し町外れに、ちょうど昼時だからか、一際にぎわう宿が見える。
「あそこです。」
「いい店じゃの~」
「ちょっと待っててください。」
「小豆洗いさん、ご無礼を、なんかすいません。」
ヘリンとポリーが、気を使う。
「ええよ、気にせんで、楽しいぞ。」
「私、暇だわ~」
「百舌鳥カマキリは、隠れておれ。」
「だって~」
「無理じゃて、ダイは、理解できんよ。」
「そうですね、そう思います。」
スライダーは、しれっと意見を言う。
「ポリーは、どうじゃ。」
「あ、ありがとうございます。大丈夫というか、何もしてないというか、」
「お~い、」
ダイが手を振っている。
「席とれました~ 」
「うむ。食べるか、」
(食べたい。)
(駄目じゃ)
(ええ~)
(少し上手くやるで、こらえてくれ。)
(うん。)
(百舌鳥カマキリ殿、)
(きっと堂々と食べれる時が来るで、)
(うん。)
店の前に人が多い。
繁盛しているようだ。
馬をつなぎ、店の中に入ると、奥の席が空いている。
「丁度、大きな席、空きました。」
「ダイ、ありがとう、」
ヘリンが声を掛ける。
「いえ、あと、親父さんが挨拶したいそうです。」
案外、使える子じゃのう。
奥から、身なりのいい爺さんが、歩いてくる。
「いらっしゃい。ダイがお世話になってるようで、」
フードをとり立ち上がるヘリン。
「へリン・シルヴァーバーチである。」
「こ、これはエルフ様でしたか?お口に会えばいいのですが、」
店にいる皆が一斉に見る。
「宜しく頼む。」
「は、はい、ダイ、良かったな、エルフ様にお使いできるなんて、」
「親父さん、ありがとう。頑張るよ、」
「で、何にされますか?」
「ダイ、好きな物を、」
「はい、焼き豚定食を。」
周りを見ると、皆、それぞれに美味しそうな物を食べている。
いい店じゃの。
スライダーもアイスも嬉しそうである。
「お待たせ~」
愛想のいい女の子がまず、二つ持ってきた。
「ダイが、お世話になってます。サービスで、お肉多めです。」
先にエルフの前に置く。
「嬉しいな、久しぶりに食べれる。」
どんどん持って来る女の子。
アイスは、自分の前に置かれた定食を見る。
スライスされた、豚肉が五枚、炭で一気に焼いたいい匂い。
小さなハーブの様な物が、まぶしてある。
その横には、大きな葉っぱ四枚と茹でた豆。煮込んだ芋が付いている。
「アイス、この葉はなんじゃ?」
「豆の葉です。豆植えたら幾らでも取れますよ。」
「この芋は?」
「ガリコ芋です。美味しいですよ。」
「この芋、買って帰って増やそうや。」
「はい。そうしますか、。」
「皆、揃ったようじゃ、食べようや。」
「爺さん、駄目だって、ご主人様に失礼でしょ。」
「ぷ~」
スライダーが、笑う。
「ダイ、アズキアライは、ずっと長い付き合いだから、いいのだ。」
ヘリンが、気を利かす。
「ふ~ん。ほんとにいいご主人様で、良かったね、爺さん。」
「頂こう。」
ヘリンが言う。
まんざらでもない様だ。
食べようとして、フードをとるポリー。
二人並ぶエルフにみな、首ったけである。
しかし、ポリーがヘリンの人気を奪っている様だ。
「美味しい、。」
ポリーが、嬉しそうに言う。
塩味と、乾燥したハーブの様なものが、ほどほどに効いて、案外あっさりしている。
また、親父さんが歩いてくる。
「エルフ様のお口にあいましたでしょうか?」
「うむ。美味しい。ちょうどいい塩加減だ。」
「不浄の塩のお陰です。海の神に。」
そういうと、空を見て拝むような事をする親父さん。
「良かった。他にも、魚や、兎、鶏肉、など、ありますので、今後ともよろしくお願いいたします。」
思い出したかのようにアイスが、
「親父さん、宿泊もしたいのだが、部屋はあいてますか?」
「四部屋のうち、二部屋が、空いてます。ベッドは、二つずつ、ついてます。」
「では、取り敢えず、今日と明日泊まりたいです。」
「これは、有難い。エルフ様が泊まったとあれば、我が宿も箔が付きます。ダイのお陰です。」
「親父さん、まけてよ。」
ダイが甘える。
「よし、朝飯付きで、お一人銅貨五十でいいです。」
「それは、有難い。」
アイスが喜ぶ。
「親父さん、おいらが寝てた裏の小屋、使っていい?、爺さんとおいらそこでいいよ。」
「ダイなら、ただで使っていい。少し掃除しといてくれるか?」
「じゃ、決まりだね。親父さんありがとう。」
「では、さっそく、部屋を用意します。」
「ダイのお陰だね、一日銅貨二枚にしてあげよう。」
銅貨をまた、一枚渡すアイス。。
「有難うございます。頑張ります。」
「こちらこそ、ダイを雇って良かったよ。」
(お肉、お肉)
(待っとれ、今やるから、)
服の中に一切れ隠す小豆洗い。
(お~い~し~い~)
(美味しい~)
(あ~ん、もっと、)
(部屋かりたら、もっと食べれるで、少し我慢じゃ)
読んで頂きありがとうございます。
いいねや、評価いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。




