第六十三話 水の神の涙 其の一
静かな夜である。
小豆洗いは、どうしたもんかと、考える。
「小豆洗いさん、いいのよ、考えなくたって。」
百舌鳥カマキリは、能天気に言う。
(しかしながら、無情でござりますな)
「そうじゃな、ゼンマイ、」
「わしらは、人外のもんじゃて、どうしたもんかの?」
(ただ、この世界は、魔物が多くおり申す。)
「じゃからってのう。特別なもんが、好き放題したら、世の中おかしくなってしまうで。、、。」
(・・・。)
夜が明けて。
「おはようさん。サッカー。」
テントを訪ねる小豆洗い。
「みんな、寝れたかしら~」
百舌鳥カマキリは、心配している様だ。
「これは、お早い。おはようございます。」
サッカーと、ダミーが起きて来る。
「これが、意外と寝れました。」
「そ、そうかの。うむ。」
声が聞こえたのか、皆、起きてきた。
「魂水神像にいこうかの。」
「はい。」
「はい。」
とは、言っても空気は、重いの。
いやしかし、綺麗な像じゃの~。
こんだけ、皆が拝むんじゃ、水の神も喜んでいるじゃろうて。
先の戦いで、手に入れた武具や、防具と共に兵糧も並んでいる。
魂水神像の力なのか、洞窟の中でも、空気がきれいである。
「おお、」
「おおお、」
皆がざわめく。
後ろで、尻をかいていた小豆洗いは、恥ずかしくなる。
自分の事じゃない様で、ほっとする。
「あら~」
「何じゃ百舌鳥カマキリ?」
「魂水神像の水の神様、泣いてる。」
見てみると、確かに泣いている様に見える。
瞳の辺りから、少しであるが涙が出ている。
像の前で、必死に拝みだすサッカー達。
デコイや、ダミーも、泣いている様である。
「ちっ」
呆れた感じで、ゆっくり出ていく小豆洗い。
洞窟から出てみると、ケンタウロス達も、駆けつけてくる。
神様、仏様は、こういうやり方が好きな様じゃて。
良かれと思ってやってるのかもしれんが、裏目裏目に出る事が分らんのかの。
小豆洗いは、イライラしている。
めんどくさい。
(小豆洗い殿、あれは、どういう。?)
(どうせ、見てますとか、悲しいですね、とかじゃろ。)
(え~え~、でも、水の神様、優しいじゃない?)
(じゃったら、最初から、出てきて、民や、可哀そうな奴、助けてやれば、ええじゃろ。)
(・・・。)
(こういう事すると、皆、勘違いするんじゃ。見ててみ~)
「小豆洗いさん、神のお告げです。」
スライダーが、走って来る。
「なんじゃ、言うてみ、」
小豆洗いは、声を荒げる。
ビビるスライダー。
「小豆洗いさん、スライダーさん、可哀そうよ。」
百舌鳥カマキリが、優しくスライダーに話す。
「あ、あの、なんかのお告げが、」
「なんか?」
「だって、泣いて、」
「お告げがあったんかい?」
「い、いえ。」
下を向いて、しぼむスライダー。
今度は、ケンタウロス達が、走って来る。
「時は今だ、サッカー達の家族や、仲間の仇を獲りに行こう~」
「なんで?」
「あの、涙をみて、戦わないのは、誇りあるケンタウロスの先祖に申し訳が立たない。」
「戦えと言っている。」
「おおおおおお~」
「おおおおおお~」
頭を抱える小豆洗い。
「まぁ、考えるで、お主ら、あの森まで、偵察に行ってきてくれるかの?」
「おおおおおお~」
「おおおおおお~」
走り去る五馬のケンタウロス。
ゆっくりと近づいて来たルーインと、ルート。
「長よ、」
「うむ。」
「あれは、どういう、?」
「まぁ、とりあえず、皆の動揺を抑えてくれるか?ルーイン。あれは、サッカー達を思った涙じゃろ。」
「分かった。そうしよう。」
「頼む。どんな時でも、何かに振り回されては、いかんのじゃよ。」
「うむ。」
「ルートも分ったの?」
「はい。」
トコトコと、アイスが歩いてきた。
「あの~?」
「ん?どうした。?」
「あの、兵糧、豆なんですけど、植えたら芽が出ますから、植えませんか?」
「お、主。そうじゃの、そうじゃ。」
「多分、この草原なら、どこでも育ちますよ。虫が、うっとおしいけど。」
「よし、多分、虫は、いけそうじゃよ、一角兎達に声をかけてみるかいの?」
「ああ、そっか、あいつら、虫たべるか。」
「もちろん、豆も食べてええけど、の。」
すこし、元気になった小豆洗いであった。
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