第六話 百舌鳥カマキリ 其の三
薄がカサカサと風に揺れる。
風が冷たい。
(すみませぬ。)
「へっ」
(すみませぬ。話をさせていただけませぬか?)
お腹の辺りから、伝わってくる。
「えっ話すって、えぇ~どういう事なの~」
(すみませぬ。某、カマキリ殿のお腹に住ませて頂いております、)
「へっど、どういう事?」
(カマキリ殿のお腹に住ませていただいてるのです。)
「私のお腹にすんでるの?」
(はい、お世話になっており申す。挨拶をしたいと思いまして、出て宜しいでしょうか?)
「は、はぁ?まぁいいけど、どうやって?」
(失礼します。)
「んアッ、あ、あアッ」
「アッああ、アアアア〜~」
われらの女王の様子が変わったので、駆けつけるカマキリ達。
牝カマキリが心配そうに見守る。
雄カマキリは、嬉しそうだ。雄はこれだから、、、。
下の穴から、鋼鉄色の紐の様な物が、くねらせながら、出てきた。
牝カマキリが、心配そうに見守る。
雄カマキリ達は、ドキドキしている。
クネクネと這いながらもクルクルととぐろを巻きながら。
「はぁ、はぁ、こんなの~はぁはぁ。」
初めての経験に腰を抜かす。
自分のと同じぐらいの長さ、もしかすると自分より大きく長い事に驚く、、。
こんなのが、私の中に入ってたの?、、、。
(改めまして。針金虫でござる。よろしく願い奉る。)
「はぁ?あのぉ?お腹に住んでたの?私の?」
(はっ、住んで居り申した。)
「・・・。」
「あのぅどういう事。」
(去年の夏、某は、川の底で、生まれ申した。底で、藻にからまっていると幼虫のモンカゲロウ殿が、藻もろとも食べられまして、モンカゲロウ殿のお腹の中で、いましたところ、今年のあれは、確か、梅雨の頃でござる。モンカゲロウ殿が、羽化してすぐ、カマキリ殿に食べられました。)
「はぁ」
(そののちは、ずっとカマキリ殿のお腹におり申した。)
「ずっと居れるものなの?そ、そのずっといて、どうする気だったの?」
他のカマキリも固唾をのんで話を聞いている。
(のっとり申す。のっとった後、川や水辺に行き、溺れたのち這い出て、水の中で、牝の針金虫と出会い申す。)
「ふ~ん、溺れるねぇ、溺れる。」
他のカマキリ達が、ザワザワと話してる。
「それって、私、川で死んじゃわない?」
(残念ながらその通りでござる。)
「?、?。」
「出て行ってくれる?」
(わ、分かり申した。)
どちらが尻で頭なのか、分からないが、針金虫は、周りを見渡しているようだ。
カマキリ達は、
「いやいやいや、」
と、後ずさりする。
(ご迷惑をお掛けし申した。しからばごめん。)
くねらせながら、蛇のように進んでいく針金虫。
少し進むと、針金虫は、振り向いた。
(一つ、話さねばならぬ事があり申した。)
「?」
(一つ、お話させていただきたいのですが、)
「わかりました。何でしょうか?話していいわよ」
(非常に申し訳ない事なのですが、普通ならば、某、針金虫が、のっとった場合)
「うん」
(普通ならばなのですが、。)
「うん」
(繁殖できなくなり申す。)
「?」
「!」
「ええ~どういう?」
(普通ならば繁殖できなくなり申す。すなわち、子供を作る事が出来なくなり申す。)
「ええええええ~私、一杯、卵産もうと思ってたのに~ええええ~」
「え~~~~ん」
ビビビッと空気が張り詰めた中、声が響く。
泣いているようだ、。
ひれ伏すカマキリ達。
牝のカマキリ達は、気の毒に思ったのか、悲しそうだ。
雄のカマキリは、キョトンとしている。
(申し訳ござらぬ。)
頭を垂れ、針金虫は、じっとしていたのだが、しばらくたつと、クネクネと行ってしまった。
カマキリ達も、しばらくして気を遣って散り散りに。
シクシクと泣いているカマキリ。
カマキリ頑張ってます。
よろしくお願いいたします。




