第五十七話 百舌鳥カマキリ、春を呼ぶ。
がやがやと、皆、くつろいてる。
「ほれ、お前さんらも、食べよ、兎がいいか?魚か?」
「では、魚を頂けるか?デコイもいいな?」
「はい。ありがとうございます。」
サッカーと、デコイに魚を渡す。
敗者の将としても、気後れせず、か。
「小豆洗いは、優しいな、」
へリンが言う。
「姉さん。」
ポリーが、何かを訴える。
スライダーは、ポリーの胸を見ている。
スライダーは、ええのう。
「こりゃ、スライダー、ポリーの胸ばかり見んで、へリンの胸も見たらどうだ。」
下を向くポリー。
「小豆洗いさん、勘弁して下さいよ。」
「すまぬが、ウィグラー王国の方と見られるが、」
申し訳なさそうにデコイが聞く。
「ああ、俺は、スライダー、ウィグラー王国斥候部隊のもんです。」
「なぜ、ここに、おられるのですか?」
「いや~、暁盗賊団を、偵察に来たら小豆洗いさんに会ったんです。話を聞いたら、気に入らないから、暁盗賊団全滅させたって言うし、そんで俺だけ、一緒にいる事になって、一緒にいたら、水の神様が来て、俺、水の使徒になって、そんで、今です。」
「えらい省いたの。」
「な、なんと、生まれ持った力ではなく、水の神様に力を頂いたのですか?」
「はい、こんな事あるんだって思いました。水の神様に会ったんですよ、俺、。」
「そんで、水の神に惚れたんじゃろ。」
「へリンさんや、ポリーさんもお綺麗ですけど、俺は、水の女神様、一筋ですから。」
「お前、さっきまで、ポリーの胸見とったじゃろ?」
「それはそれ、これはこれです。」
あきれるヘリンと下を向くポリー。
「暁盗賊団は、たちの悪い盗賊でした。我らも手を焼いていました。全滅とは。」
デコイは、驚いている。
「キラ王国の民に伝えてやりたいです、あ奴らは、現れては、消え、退治したと思ったら増えますから。」
サッカーが、呟く。
「いや、頭達は、わし等が倒したが全員では、ないぞえ、。あやつら、各地に散ってると思うからのう。」
「それに、盗賊のたぐいは、いなくならんよ、。」
「あ奴らは、なりたくてなるもんでもなし、やりたくてやるもんでもないがのう、やらざる負えないのじゃろ。」
「それで、スライダーさん、なぜ、ここにいる事になったのですか?」
デコイは、更に問う。
「ああ、小豆洗いさんが、ケンタウロスに乗ってみたいって言い始めて、草原に来たら、ケンタウロス達が悪魔に乗っ取られたケンタウロスと、戦ってて、巻き込まれたんです。」
「そ、それで、?」
「戦いは、終わったんですけど、切り取った頭首に悪魔が、まだいて俺の水の力で追い払ったんです。ケンタウロス達は、感謝してくれてご飯ご馳走になってたら、ルーインさんが小豆洗いさんと戦って、小豆洗いさんが、勝って長になって俺は、びっくりしました。」
「何という。」
サッカーとデコイは、顔を見合わせる。
「びっくりしてたら、また、水の神様が御降臨して、お綺麗でした。」
「それでは、スライダー殿は、二回も水の神にお会いになられた訳ですね。」
「神に会う、二回も。」
歪んだ顔で下を向くサッカー。
「ここには、お綺麗なエルフがおられますな。」
デコイは、情報収集に余念が無いようだ。
「そうじゃよ、わしは、ヘリンが可愛いと思うがのう」
顔を赤く染めて話すヘリン。
ポリーは、下を向く。
「わ、我らへリン・シルヴァーバーチとポリー・シルヴァーバーチ。エルフ六弓の中で白樺の木シルヴァーバーチを先祖代々家名とするエルフ一族です。」
「そうでしたか。私は、エルフにお会いするのは、生まれて初めてです。本当にお綺麗な方です。」
「水の神に、水の使徒。エルフ、ですか。」
どんどん元気が無くなったサッカー。
「あの、先程の、ゼンマイ殿は、?」
「ああ、百舌鳥カマキリとゼンマイじゃ」
手を挙げる百舌鳥カマキリ。
「あの私、百舌鳥カマキリ。ずっと見てたけど、あの、良い兵士さん達よね。出会い方が違ってたら良かったのに」
「可愛いらしい、百舌鳥カマキリ殿、その通りです。」
デコイは、一生懸命に、場を取り持とうとする。
(某、ゼンマイと申す。)
「ね、念話ですね。先程もびっくりしました。生まれて初めてばかりです。」
「川の筏の戦いは、ゼンマイがやった事じゃよ」
「あの、あの一方的な、あの、」
サッカーは、真っ赤に充血した目で、ゼンマイを見る。。
デコイは、サッカーを抱きしめる。
場がしらける。
「ゼンマイは、強いぞよ。」
「す、すまない、申し訳なく思う。」
サッカーは、笑顔を作り、ゼンマイに手を出す。
ゼンマイは、小豆洗いの肩から、ピョンと手のひらの上に乗りとぐろを巻く。。
(戦場の事でござった。某の働きで多くの命を切り取り申した。)
「いや、見事なお働きでした。見事でした。」
「魚が美味しいのう、食べよう、さぁ」
「はい、ありがとうございます。さぁ将軍も食べましょう。」
「おお、ありがたい。」
「ちとわし、ルーインと話あるで、のう」
スライダーを見ると、スライダーは、頷き、サッカーとデコイの横に動いた。
小豆洗いは、ルーイン達の所へ、歩いていく。
「ルーイン、ルート、皆も、ちと良いかの?」
「長、どうされた。」
「わしにいつも任せてくれて、ありがとうの。」
「長、礼を言いたいのは、私達だ。」
「そうだ。長は、素晴らしいぞ」
頭をかく小豆洗い。
「サッカー将軍の命なんじゃが」
「長に任せる。」
「俺もだ、」
「長に。」
「ああ、でもサッカー将軍は、強そうだ。闘ってみたいな。」
「ルーインは、長と闘ったでないか、今度は、わしの番だ。」
「いや、私だ。」
「いや、そうじゃなくての。」
「長に任せる。」
「長に、」
「うむ、長に」
「分かった。ありがとうの」
楽しそうに笑うケンタウロス達。
ほんに気持ちの良いもんじゃ。
「戻ったぞい。兎も美味そうじゃの、」
「小豆洗いさん、私達、もう少し居てもいい?」
ヘリンが心配そうに話す。
「ええよ、なんじゃ?」
「いや、戦いも終わったし、どうしようかなと、」
「いたらええよ。テントもあるからの。」
「やったぁ。」
ポリーが嬉しそうにする。
スライダーも嬉しそうにする。
「スライダーったら私の事、忘れたのかしら。」
百舌鳥カマキリは、少しだけ、力を使うつもりだった。
「もう、スライダーさん、たまには、こっち向いてよ」
「は、はい。」
ドキドキするスライダー。
「最近、全然じゃない。もう、私、かまってあげないぞ〜」
「百舌鳥カマキリ、力を抑えよ。」
「えっ」
百舌鳥カマキリは、キョトンとする。
びっくりしたサッカーとデコイ。
ドキドキしている。
「アッ、ごめんなさい、」
ヘリンとポリーも、真っ赤な顔してうつむいてる。
ケンタウロスも一角兎もナマズマンも、一気に盛った様で、相手がいるものは、何処かに向かってゆく。
こういうところは、本能むき出しじゃの。
ルーインは、顔に穢れ無き水を流している。
隣で、もじもじしているルーインの奥さん。
ルートや子供のケンタウロス達が居るだけになってしまった、。
「百舌鳥カマキリ、いかんよ」
「だって〜」
「スライダーがポリーの事ばかり見るからじゃ」
「すいません、でも生殺しです。」
「驚きました、誘惑の力ですな。強力な力です。」
「また、生まれて初めてが増えましたぞ。」
「わしらも、若かったらつらかっただろうな、」
笑いデコイの肩を叩くサッカー。
かっこつけているが、今でもかなり辛そうだ。
「我らエルフ六弓の中で、桃の木のペルシアも誘惑に長けているが、この様な力、経験したのは、初めてです。」
赤らめた顔して、話すヘリン。
「百舌鳥カマキリは、こんなもんじゃないぞ、のう?」
「えっへん、今のは、ほんの少しよ〜いつかもっと見せてあげるわ〜」
皆、黙ってしまう。
「ルーイン、行ってええぞ」
「百舌鳥カマキリは、春を呼ぶの。」
「もう、皆、どっか行ったし、余った食べ物をいただいてしまうか。ルートや子供達、こっちにおいで、。」
ルートは、悶々としている様だ。
可哀想に。
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