第五十五話 水の神、大人気
真夜中、
小豆洗いは、ウロウロしていた。
(ゼンマイ、捕虜達、逃げると思うか?)
(分かり申さず)
(小豆洗いさん、私、逃げないと思う)
(百舌鳥カマキリなんでじゃ?)
(だってサッカー将軍さん、そんな事、好きじゃないわ。)
(そうかの)
(んっ?)
捕虜のテントの前に立つサッカー将軍。
「寝んのか?」
「長殿、部下を助けて頂き感謝する」
「うん。」
「月が綺麗だ」
「うむ。その様じゃ。」
静かな夜だ。
「なぜじゃ、、なぜ、お主は、今、ここにおる?」
何かを言おうとしたサッカー将軍だが、だまる。
「成り行きと言ったら、死んだ兵に悪いです。」
静かにサッカー将軍は、答えた。
「戦いは、無謀とは言わんが、無理があったような気は、せんのか?」
「川を渡る兵は、見せかけで渡ると見せるだけでした。ケンタウロス達を二手に分けてからが、正念場と考えたのです。川の対岸で、守りに着く雄のケンタロウス達を残した状態で、闘いに、挑もうとする雄のケンタロウス達を、川の上流で、ある程度、退治さえすれば、牝や、子供のケンタロウス達は、逃げると踏んだのですが、、。」
「なかなかの策じゃの。」
「長殿と少し話したら、眠たくなった。寝るとします。」
「良く寝るのじゃよ、おやすみ」
ニコリと笑顔になる小豆洗い。
「長殿、おやすみなさい」
霧が深い朝。
「おはよう。」
「おはよう。」
皆、魂水神像に向かって行く。
走り駆けつけたルーイン。
「戻ったぞ、長。異常は、無かった。」
「ルーイン、お疲れさん、ありがとう。」
サッカー将軍を助ける兵は、来んようだ。
「うむ。」
「取り敢えず、ゆっくりしてくれ。」
「では、水の神に祈りを捧げてから、休むとしよう。」
「わしも一緒に行くとしよう」
大きな岩の洞窟に入ると。戦いで手に入れた剣や鎧が奉納されていた。
兵糧袋が並んでいる。
奥に、眩く青光りする魂水神像。
相変わらず見事じゃ。
「ほんと、綺麗~~」
「うむ、ルーインに似ての~ホッホッホッ」
ルーインは、ばつの悪い顔をしている。
近くにいたルーインの妻は、にこやかに笑う。
祈りを捧げて出て来ると、捕虜達も並んで待っていた。
ヘリンとポリーもいる。
ああ、そうか、儂が命を助けて貰った事を感謝する祈りを捧げる様に、ヘリンに命じたんじゃ。
「おはようさん。」
「小豆洗い、おはよう。」
声をそろえて言うへリンと、ポリー。
コースト魔法顧問が、何やらサッカー将軍達に説明している様だ。
目を丸くするサッカー将軍達。
まっ少し、ほっとこう。
「小豆洗い、」
「シャローラビット、おはようさん」
「ああ、おはよう。今回は、我ら一角兎達を逃がしてくれてありがとう。」
「ええぞ、気にせんで。」
「まさか、人間がせめて来るとは、思わなかった。気が付いていなかったら、我らは、狩られていただろう。」
「うむ。」
「感謝する。それと、我ら一角兎も、水の神に、祈りを捧げる事にしたいのだが、」
「ええよ。そうすればええ。」
「有り難い。では、これよりは、そうする。」
嬉しそうに走り去るシャローラビット。
「おはよう、おはよう、」
皆にお辞儀されながら、スライダーが、歩いてきた。
「あら、おはよう、スライダーさん。」
「あっおはようございます。」
「なんじゃ、偉くなったもんじゃの。」
「そんな、言わないで下さい。私は、水の使徒として、当たり前の事をしただけですから」
「何を偉そうに。」
「小豆洗いさん、心を穏やかにして下さい。」
「こいつ~、」
「小豆洗いさん、俺、捕虜達のテント一つ貰いたいんですけど、いいですか?」
「ああ、そうじゃの、儂も使おうかな。小さいから、ケンタロウス達には、使えんしの。捕虜達を開放したら、一個、スライダー様のにしていいぞい」
「もう、いじめないで下さい。」
「ああ、ジッター見なかったか、」
「川の方に居たと思うけど、」
「そうか、」
歩いていく小豆洗い。
「お~い、ジッター、おるか~」
河から、頭を出す、ジッター。
「今回は、お主らナマズマンの頑張りに感謝してるぞ。」
「私達は、たらふく人間を食べましたし。誰も、死んだりしてませんから、むしろ、得しました。」
「いや、丸太を運んだり、河から武器なども上げてくれた。感謝しちょるよ。」
「まぁ、河が汚れるのは、嫌でしたし。。ああ、そうだ、頼みがあるのですが、」
「なんじゃ、?」
「我らも、水の神に祈りを捧げたいのだが、いいでしょうか?」
「なんじゃ、水の神様、大人気じゃの、さっき一角兎達もそう言ってきたぞ。」
「やはり。いや、私達も、一角兎らも、気が付いたのです。」
「なにに?」
「いや、小豆洗いと出会ってから、全てが変わったと言えます。本来なら、この川の中流から下は、私達の泳ぐ場でなかった。ケンタロウス達も近づいたら怒り、威嚇してきました。」
「そうか、魂水神像に拝みに来るという事は、自由にここの地を出入り出来る訳か?」
「はい、水の神を崇拝する事で、皆、仲間です。種族の垣根を越えて、」
「そうか、水の神様に感謝じゃの。」
色々と変わったというわけじゃの。
「小豆洗い、捕虜達が、話したいそうだが、」
へリンが、伝える。
「なんじゃろ?もうすぐ、解放しようと思っちょったのじゃが。」
「ああ、んじゃ、捕虜達、昨日みたいに並ばせてもらえるかの?他の皆も集めてくれ。」
「分かった。そうしよう。」
へリンは、皆に声をかけながら、歩いていく。
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