第五十四話 命
遠くに川が、見える。
海岸線の砂浜も、終わりをみせる。
ゆっくりと、川の河口から、馬を歩かせる兵士達。
「父上、どのあたりが、我が陣地でしたか?」
「ダミーよ、あと少し行った所だが、もはや遅かったようだ。」
「サッカー将軍、兵達の、コースト魔法顧問の亡骸を見つけましょう。」
「デコイ、すまぬ。すまぬ。アイスは、もう、」
「なに、我が息子は、生きている様な気がします。さあ、探しましょう。」
遠くにいるケンタウロス達を見ながら、警戒しながらも、ゆっくりと進んでいく。
「何もないではないか、」
「戦った形跡も無い様です。血の跡も無い様ですな。」
「サッカー将軍、あそこに並ぶテントは、我が軍のものです」
対岸の丘の大きな岩山の周りをテントが並んでいる。
「戦った形跡が無いという事は、生きているのか、」
「捕虜となったか」
「父上、ケンタロウス達が、」
じょじょに近づいている小豆洗い達。
「サッカー将軍、お守りします。」
円陣を組む兵達。
「わしの名は、ブラック サッカー」
「キラ王の命を受けケンタウロスを討伐に来たものの、見事に負けた敗軍の将軍だ。」
「この度、見事、殿をした兵達の安否確認にきたが、どうやら、生きている様子だ。」
「この命で、どうか兵達を助けては、いただけないか?」
「この戦いの全ての責任は儂にある。頼み申し上げる」
円陣の真ん中で、頭を下げるサッカー将軍。
ケンタウロスから小豆洗いは、ひょいと降りる。
「ええよー」
「?」
「儂がルー族の長です」
「?」
「じゃからええよー」
「何と、ど、どういう」
「お主の命であの兵達の命を守るぞ」
「あ、ありがたい事です。」
円陣を組んでいた兵は、剣を下ろす。
サッカー将軍は、ペタンと座った。
「長、」
「ルーイン、どうじゃった?」
「この兵達以外、いないようだ。」
「そうかの。終わったようじゃ、勝どきをあげよ」
「おおおおおおおお〜」
「おおおおおおお〜」
物凄い雄叫びだ。
川にいるナマズマン達も声を挙げる。
対岸の牝や子供のケンタウロス達、スライダー、ヘリンや、ポリーも気が付いたのか、手を挙げて声をだしている様だ。一角兎達も跳ねている。
いきなりの声を聴いて、捕虜のテントから、続々と兵達が出てくる。
「デコイ、あそこを見ろ、皆、生きてるぞ」
サッカー将軍は、指を指す。
「サッカー将軍、」
デコイという兵は、腰を落として泣き始める。。
うむ。
手を挙げる小豆洗い。
静かになる。
「サッカー将軍、お主の命、確かに儂がもらった。他の兵にも何もせんから安心してくれ。」
「じゃわしらについて来い。皆、帰るぞよー」
ゆっくりとゆっくりと歩く小豆洗い。
皆も、ゆっくりと歩く。
川を渡ろうとする一行。
時間がゆっくりと流れる。
小豆洗いは、どうやら考えている様だ。
ケンタウロス達は、しゃあなくゆっくり歩く。
兵達も、なんでこんなに遅いのだろう?と、思うが、馬の手綱を持ってゆっくり歩く。
トポトポ歩いて、日も傾いた。
ようやく、帰ってきた。
皆、小豆洗いを、固唾を飲みながらみる。
捕虜達もきちんと整列している。
へリンが並ばせたようだ。
「よし、コースト魔法顧問、いるかの?」
「はい、」
「サッカー将軍の命に換えて、兵達を順に解放する。」
「サッカー将軍の、命とは、あの、」
コースト魔法顧問は、サッカー将軍を見る。
「取り敢えず、今、半分の兵を解放するで、気が変わる前に、ほれ、」
「わっ分かりました。では、先に行きたい者は、行っていいぞ。」
ポロポロと捕虜の列から、サッカー将軍に敬礼して歩いて行く兵達。
「ほれ、もっと行っていいぞ」
「いいとの事だ、行きなさい。」
百人くらいになった。
「やっぱり、もうちょいええよ。」
「良いのですか?」
「ええよー」
「ありがとうございます。」
辺りは、すっかり暗くなってしまった。
五十人ぐらいの捕虜達。
「こんなもんかの。じゃ、後は、明日じゃ、コースト魔法顧問よ。サッカー将軍達をテントに案内してくれ」
「皆、お疲れ様じゃ。今日は、騒ぐ事なく寝る様に。」
「ルーイン、すまないが、」
「うむ、行ってこよう。」
「あの林の所までで、ええから頼む。」
「うむ。」
「じゃ、騒ぐ事なく、静かにの、」
皆、不思議そうな顔をして戻って行く。
静かに、。。
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