第四話 百舌鳥カマキリ 其の一
「申し遅れました。私、百舌鳥カマキリと申します。」
遡る事、三年前。秋。
舳倉島での事。
ああ、お腹すいたわ~。
はぁ、。
寒くなり、バッタやカナブンなど、少なく感じてきた。
体が、他のカマキリより少し大きく、グラマラスな牝のオオカマキリ。
へぐら島の雄カマキリの憧れの的。
後ろには、たくさんの雄カマキリが、ついて回る。
雄カマキリらしく、いどんでいるカマキリもいるが、
よくて、その最中に食べられている。
が、しかし、それでもいいと思ってる雄カマキリが多いようだ。
当の牝カマキリは、罪悪感で一杯だ。
そりゃ私も将来の為、子供は欲しい。嫌いじゃないしむしろ一杯ほしい。
とろけるような恋もしたい。
でも、気が付いたら雄カマキリを食べてるのは、、、、。。、。
せっかく頑張ってくれてるのに、ねぇ、。
はぁ、。
お腹を空かせながらの溜息は、また、一塩だ。
ああぁ、お腹空いた。
秋になり、食べるものが少なくなっていく中、他のカマキリは、果敢に食べれるものを探している。
食べれるものがない。それは、死を意味する。
只でさえ、繁殖の為、腹が減るのだ。
みな限界に達した時にした事は、とても小さな鳥を食べる事だ。
キクイタダキという、極小の鳥。
美しいといえる鳥。
勿論、そんな簡単な事ではない。
が、それでもやれねばいけないのだ。
待ち構え、獲る。
奇跡的に獲れたものだけが、生きる事ができるのだ。
では、当の牝カマキリはどうなのか?
他のカマキリより、一回り大きくグラマラスなカマキリ。
立派な鎌の持ち主だ。
むしろ、獲るのに向いているといえよう。
が、獲ろうとしない。
理由があるようだ。
当の牝カマキリが生まれてトコトコ歩いていた時に、目の前に現れたキクイタダキ。
キクイタダキは、小さなカマキリを食べようとしていた。
小さなカマキリは、逃げもせず、自分を食べようとしている相手をじっと見つめていた。
キクイタダキを見て、美しいと思ってしまった。それに私も、飛んでみたい。、。、。
キクイタダキは、逃げもせず、不動の小さなカマキリが、怖くなり飛び立った。
小さなカマキリは、見逃してくれたと思い優しさに心から、感謝したのだ。
だから、自分を見逃してくれた相手を捕まえて食べる事が出来ないのである。
これは、当の牝カマキリの中では、すじの通った話なのだ。
お腹が空きすぎて、意識朦朧と、ふらふらと徘徊していると、斜め後ろ上空から、鋭い影が迫って来た。
気配を察知し、身体が無意識に、振り向きざまに右の鎌の水平抜き打ち。
「キーィ、ギーィ」
バサッバサッと変な飛び方をする鳥。
羽が当たり、薄の穂からフワフワと種が舞う。
右の鎌が、鳥の右目に刺さっている。
「いきなり何なのよ、食べられる訳にはいかない。」
「いかないのよぉぉぉ。」
ささった右の鎌を軸に、えぐりながら食べられないように素早く鳥の頭にのぼりまたがる。
右の鎌を鳥の目玉ごと抜き取り、左の鎌を、鳥の左目に深く刺した。
一瞬の事だった。
「ギィーイ、ギィーィ ギィーギィーギィーィ」
鳥は、目の前が真っ暗に。
何も見えなくなった。
まさか、大きく旨そうな餌が、牙を剥くなんて。
まさか、、。
再度、右の鎌を右の目玉の抜き去った後に、深く刺した。
途端に、鳥は、ビビビッと痙攣し動かなくなった。
クルリ、クルリ、。
一回転して、薄の枯れ枝に絡まり、のち落ちた。
「はぁはぁはぁ。」
腹が減りすぎている牝カマキリ、そこに来て死線を超えた。
腰が抜けたように、鳥の上に座り込む。
腹が空きすぎて、今度は、自分の寿命が尽きる事となりそうだ。
自分の鎌についた血を少し舐める。
口の中に染み渡る。
美味い。食べないといけない。
だが、やめた。
やっぱり、鳥は、食べない、。
決めた事だから。
バードウォッチングに来ていた、○○氏は、もがき落ちている百舌鳥(雄)を見た時に大きく驚いた。
百舌鳥は、ビビビッと痙攣し動かなくなった。
そぉっと覗いてみると、でかいカマキリが、食べようとしていて、怖くなり後ずさりしてしまった。
ここにいてはいけないと思い、走って逃げたという。
バードウォッチング仲間に伝えたところ、大騒ぎに。
伝説が生まれた。
ゆっくり楽しみながら書いてます。
よろしくお願いいたします。




