第三十九話 一角兎 ナマズマン
膝をつけ、休むケンタウロス達。
スライダーは、他のケンタウロスの傷を、手から溢れた水で、流し癒している。
「スライダーさん、偉いわ~。」
「そうじゃのう。」
「あの弱き者のおかげで、傷も癒えた。水の神の加護を持っているとは。」
「まぁの。」
小豆洗いは、悪魔にとりつかれたケンタウロスの頭首に近づく。
「可哀そうじゃの~」
すると、目が見開き、瞬きをする。
真っ黒の目だ。
再び、剣をとり、切ろうとするルーイン。
「待ってください。もしかしたら、追い出せるかも、」
手を近づけるスライダー。
上から湧いた水を頭首に垂らす。
徐々に目の黒さは無くなり、消え失せた。
「スライダー、良くやったの。」
「俺、人生が変わったかも。」
といいつつ、倒れるスライダー。
力切れの様だ。
「仲間がこんな事になったのは、痛ましいの。」
「悪魔は、隙があれば入り込む。が、実際は、なぜ、あいつが乗っ取られたのか?分らない。」
「あいつも誇り高きケンタウロスだった。」
「そうかの。悪魔か。」
「川をもっと下るとルー族の集落がある。お前達も来るがよい。」
「ええのか?」
「こやつは、乗せていくぞ。」
ルーインは、スライダーを背中に乗せて走っていく。手には、討ち取った頭首が。
その後ろに続く三匹。重たそうに死んだケンタウロスを上手い事運んでいく。
「行ってもうたが、あれ、スライダー落ちそうじゃが?」
(落ちたら、後ろの三匹に轢かれますな。)
「おーい、危ないぞぅ。」
「大丈夫かしら~」
「わしらは、歩きか?」
(ふふっいいではありませんか?)
「スライダー偉くなっちゃったわ~」
「じゃのぅ。ほんに何があるか、分らんもんじゃ。」
ボチボチいくかの。
歩く。
歩く。
「しかし、気持ちのええ草原じゃの。」
「あっ小豆洗いさん。一角兎?かな?」
「おおっ角生えとる兎じゃの。」
「お~おい?すまぬが、ケンタウロスの集落知らんかの?」
「?変な奴。初めて会うな、私は、一角兎。名は、シャローラビット。」
「ああ、そうか、わしは、小豆洗い、こ奴は、百舌鳥カマキリ、とゼンマイじゃ。」
「こんにちは~」
「変な奴?なぜここにいる?」
「ケンタウロスの集落に来いと言われてな、歩いとるんじゃ。」
「ふーん。川を下るとあるぞ、。」
「そうか、では、行くとする。」
「さよなら~」
「待ってくれ?」
「?」
「ケンタウロスに、伝えてくれないか?兎を獲るなと。」
「?まぁええけど、?」
キョロキョロ見渡す。シャローラビット。
「あいつらは、兎を食べるのだが、。自分が食べられている様な気がしてな。」
「まぁ言うだけ言ったるけども、」
「我ら一角兎では、ない兎の気持ち、分ってくれ。」
「難しいの、じゃ、代わりに食べる物を、紹介してやればええじゃろ?」
「川にいる、魚を獲るとか、川を下り、海の物を食べろと伝えてくれ。」
「ほほう。うーん。」
「要は、他にも食べる物があるだろ?」
「分かった、伝えるが、ケンタウロスが聞くか知らんぞ。」
「それでも、いい。必ず伝えて欲しい。」
「じゃあの。」
歩く、
歩く。
「綺麗な川じゃが、これだけ下って来ると流れも強く対岸も遠くなるの。」
「はい、そうですね~。」
「あっ小豆洗いさん、魚?こっち見てるよ?」
水面から、顔を出す魚?
「でかいナマズじゃの。」
「あっきた~。」
「来んでええわ。」
ぬー、ぬーと近づいて来るナマズ?。
「すみません。あの、すみません。あの、」
話しかけてくるナマズ。
うわっ足生えてる。
「なんじゃ、。」
「私、ここらで、平和を守ってます、ナマズマンのジッターといいます。」
「ジッターさん。私は、百舌鳥カマキリ。ゼンマイと、小豆洗いさんです。」
「あなた方は、何で、こんな所を歩いてるのですか?」
「なんでって、ケンタウロスの集落に行くんじゃが、」
「そうですか、ならいいのです。集落なら川を下っていくと、あります。」
「じゃあの。」
「さようなら。」
「あいつらが、憎いです。」
無視。無視。
「小豆洗いさん、ジッターさんなんか言ってますよ。」
「ええじゃろ、もう、無視。」
「ジッターさんどうしたの?」
「もう~。」
「あいつらが、憎い。」
「だぁれ?」
「ケンタウロス達です。あいつら、平和に泳ぐ魚達を無慈悲に、捕まえ、もてあそび、喰うのです。」
泣いているようだ。
「はぁ。」
「あのな、さっき一角兎にも言われたけどな、兎を獲るなと、。そのかわり、川にいる、魚を獲るとか、川を下り、海の物を食べろって言うとったぞ。」
「あの兎野郎、言っていい事と悪い事がある事、教えたろかい。」
「そーせい。じゃあの。」
(小豆洗い殿、収めないと)
「ちっ。」
「お主達の気持ちは、分かるような気がするで、ケンタウロスには、言っとく。」
「じゃから、一角兎と喧嘩はするなよ。のう?」
「分かりました。必ず、伝えて頂きたい。」
「はい、はい。」
すっかり夕方になった。
「あ、あそこ。」
「ほう、ようやく着いたか。大分、歩いたの。」
大きな河から少し先に丘が見える。そこに大きなテントの様な物が、並んでいる。
「おーい、」
スライダーが、走ってくる。
手に何かの肉を持っている。
「遅かったですね。」
「結構、遠かったからの。疲れたぞい。」
「スライダーさん、美味そう。何食べてるんですか?」
「あっこれ、兎の肉っす。ケンタウロス達が、優しくしてくれて、。」
ええっ。ああ。ああ。
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