第三十話 ウィグラー王国斥候部隊
昼
太陽が真上にこようとしている。
(スライダー殿が、きた様でござる。)
「お~い、小豆洗い様~」
手を振りながら、スライダーは、戻ってきた。
「待っちょったぞ。仲間は?」
「今きます。私が、先行してきました。皆、まだ、信じてません。」
「そうかの?」
「百舌鳥カマキリと、ゼンマイは、儂と居るのじゃ。」
小豆洗いの両肩にのるゼンマイと、百舌鳥カマキリ。
「す、スライム。」
剣を抜くスライダー。
「まて、ちとまて。」
小豆洗いは、スライダーを止める。
「なんでしょうか?」
「スライダーよ、なぜ、スライムを倒そうとする?」
「なぜって襲われるかもしれないし、魔核があるし。」
「そうか、、じゃったら、このスライムは、見逃してやってくれ。魔核なら、そこらに青色のやつが、落ちとるで、」
「はぁ?わかりました。」
「そこにあるわよ。」
「えっああ、ありました。青い魔核です。」
「スライダー、ちなみにじゃが、スライムに襲われた事あるのか?」
「う~ん、ないような気が、。切ろうとして、ベタベタにされた事はあるかな?」
「魔核がほしいか?」
「は、はい、欲しいです。このサイズでも、売れば銀貨一枚には、なります。一晩お姉ちゃんと飲んで、喰ってできますから。」
「そうじゃな。」
「はい。」
ポーチに青い魔核をしまうスライダー。
「今回だけ、こやつだけでいいからの。」
「分かりました。」
(とおくに、何人か来ましたぞ、)
「来たようじゃぞ。様子を観てるようじゃ。」
「へっ?、俺、呼んできます。」
スライムに、話しかける小豆洗い。
「お主、殺されるかもしれないのじゃぞ。」
「んっ。」
「はぁ?なんじゃかの、」
(生きるも死ぬも、気にしてないようですな。)
「そうじゃの。」
「でも、こないだのスライムさん、可哀想だったから、守ってあげたい。」
「分かっとる。」
「有難う。小豆洗いさん」
「うむ。」
周りを警戒しながらも、ゆっくりと歩いて来るスライダーの同僚達。
スライダーに聞いた事が事実だと認識した様だ。
「ついに暁盗賊団をなくす事ができた。」
「おおっ、良かった。本当に良かった。」
「民たちが、平和に暮らすことが出来る。」
「うん、良かった。損失なく盗賊を減らす事ができた。」
小豆洗いに一人が、近づいてきた。
「私達は、ウィグラー王国の者です。魔法使いの小豆洗い様と聞いております。確認ですが、小豆洗い様が、暁盗賊団を倒した、間違いないですか?」
「間違いない。儂じゃ。」
「肩に居る生き物は、なんですか?」
「ああ、儂が召喚したもんじゃ。」
「なんと、?」
兵たちは、顔を見合わせる。
この汚い爺が、?本当かよ?
「後一つお聞きします。なぜ、そこのスライムを倒さないのですか?」
「ずっとスライムを見ておったのじゃが、こやつ、何もせんぞ。ただ、食えるもん食べてるだけじゃ。」
「食べる物が無くなったら、襲って来るかも知れない。」
「そうじゃの、」
「子供が襲われたら、どうされる。」
「その通りかもしれん。」
「退治しますが、いいですか?」
「駄目じゃ。スライダー?」
小豆洗いは、スライダーを見る。
「あ、倒さないと、約束しました。小豆洗い様との約束を、私は、守りたいです。」
「ウィグラー王国の騎士道を忘れたか?スライダー?」
いきり立つ兵たちは、スライダーを見る。
「そなた達の言い分、最もじゃ。スライムは、確かに自分より弱い、食べれる物を食べるかもしれん。」
「ただ、スライムは、無駄に殺生は、せんぞ。こんな山奥のスライムが、人間の子供が居る所まで、移動すると思えんのじゃよ。」
「じゃから、お前さんらも、早く荷物まとめて山奥から、ウィグラー王国に帰りなさい。」
「なっみんな、早く片付けよう。」
スライダーは、皆を説得する。
隠れ家を見ていた兵が、声をあげる。
「おおっドワジャック金貨が、」
「何?」
皆、走っていく。
「宝箱だ。ドワジャック金貨に銀貨、銅貨。この一箱、全部、金だ。」
「おおおっ」
えっそんなに、あったのかの?
アキノの父ちゃん、大事なところが、駄目じゃな。
確か、金貨三枚とか何とか言っとったじゃろ?
スライムだけが、変わらず骨をしゃぶってる。
「スライムよ、骨は、うまいかの?」
「んっ。」
「よかったね。。スライムさん」
百舌鳥カマキリは、スライムを気に入った様だ。
なんだかのう。
あさるだけあさったのか、兵達は、小豆洗いの元に集まる。
「どうじゃ一杯あったのかの?」
「防具や、武器も魔核が付いてる物がありました。流石、暁盗賊団です。」
「よほどの、激戦だったのでは、?」
「まあの、」
少し、カッコつける小豆洗い。
「あの、」
「なんじゃ」
「はい、小豆洗い様は、なにも要らないと言っていましたよね。」
スライダーは、聞くように言われているのか、発言を皆、気にしてる様だ。
「そうじゃよ。火付け石とこの布とこの紐は、頂いたがの」
「皆、何故かと私に聞くんです。」
スライダーは、どんくさいというか、ええ奴なんかの。
「もう一度言うが、盗まれた物は、後々災いをまねく事があるのじゃ。盗まれたのは、自分だと皆が言ったりしての、揉めやすいしの。」
「お主らウィグラー王国の騎士が王国に持ち帰った方がええと思うよ。わしも、お主らを信用して渡すのじゃ。」
スライダーは、話が通じてるのか、頷いている。
しかし、他の兵達は、納得がいかないというか、不思議がっている。
確かに、盗めば、一稼ぎじゃからの。
もしや、こいつら、宝持って逃げたりせんよな?
スライダーだけが、まじめに見えるしのぅ。
仕方ない。力を示すしかないかの。
小豆洗いは、桶をふわふわ、クルクルと自分の周りを回しながら、
「百舌鳥カマキリ、ゼンマイ。桶に乗れ。」
百舌鳥カマキリは、ふわっと乗り羽を広げる。
ゼンマイも桶にぶら下がりながら、クネクネする。
小豆洗いは、落ちてる、薪をふわりとあげる。
「切ってみい」
百舌鳥カマキリとゼンマイは、跳び上がり薪を縦に、横に、切る。
そしてふわりと桶に乗る。
これで、大道芸人やれるのぅ。小豆洗いは思った。
「実は、わしゃ、それなりの者での、」
「梵っ」
小豆洗いは、服装を田楽法師姿に変える。
呆気に取られた兵達は、平伏す。
「スライダーから、魔法使い様とお聞きしてましたが、まさか召喚士様でしたか。」
「面倒ゆえ、説明しなんだが、もう一度いうが、わしが暁盗賊団を成敗した。が、そこのスライムは、捨て置く。」
「ははっ」
「わしは、盗人ではないゆえ、金品や物は、いらぬ。じゃが、放っておくのもどうかと思っていたら、スライダーが、現れたのじゃ。聞けばウィグラー王国の騎士との事。ならばウィグラー王国の下で、金品などを盗賊から奪い返した事にすれば良いと思っての。」
「ははっ民も安心する事でしょう。」
「そうじゃそうじゃ。」
「小豆洗い様は、どちらの王国にお使いされてますか??」
「わしゃ自由じゃ」
「では、何故暁盗賊団を」
「気に入らんからじゃ。」
もう、こいつしつこいぞ、。
睨みつける小豆洗い。
「ははっ。必ず王国に持ち帰ります。」
「その死んだ隊長の鎧や剣に、ウィグラー王国の紋章に誓え」
「ははっ」
「わしゃ、ウィグラー王国に確認しに行くでの、もし、その宝が、王国に届いてなかったら、必ず、お主らを見つけ出し、成敗してくれよう。」
「ははぁー。」
「分かったら、行きなさい。」
「ああ、スライダー、お前は、残れ。」
「えっ?」
キョロキョロする、スライダー。
兵たちは、荷物をまとめる。
「一人で、帰れるか?」
「いや、どうかな?」
スライダーは、不安そうだ。
「ウィグラー王国で、落ち合おう。」
「ええっみんな?」
「小豆洗い様の言いつけだ。じゃあな」
「まってよ、みんな?」
「じゃあな、」
「じゃあな、またな。」
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