第二十八話 薄小豆色の腰巾着
「ゼンマイ、黒狼が魔物と悪魔といっておったの?」
(はい、)
「悪魔?」
「日の本にも悪魔といわれる存在は、おったんじゃが、どうなんじゃろの」
(会いたいような、会いたくないような気がいたします。)
「うん。そんな気がする。」
「百舌鳥カマキリなら、悪魔もかどわかせるのと違うか?ひひひっ」
「そうかしら~」
(・・・。)
夜が明けて来た。
「もう、ここ飽きてきたのぅ。やっぱり、滝の所が落ち着くの。」
「はい、」
黒狼達が、綺麗に食べたといえ、屍ばかりの地である。
小川があるのが、救いである。
「海老とかおらんかな?る~る~。」
棒で、小川の石をつつく小豆洗い。
「そうじゃ、紐二つと布。」
木にかけてある布を綺麗にたたむ。
(綺麗な小豆色ですな、)
「少し淡い色なのが、いいわ~」
「まぁの、本当は、小豆を食べるために煮んと、色付けだけに煮て、儂の唾で、色揚げすればもっと濃い色になるぞぇ。」
(ほほう、それは、いつか拝見したいものです。)
小豆を洗いは、綺麗にたたんだ布の両端を紐で、縛る。
「ほれ、こうすれば、楽じゃぞ。」
腰ひもに通して、縛る小豆洗い。
「あら、可愛い。」
(巾着ですか?」
「厳密には、違うが、のう。巾着とも言えよう。布をどう折るかで、大きさを変えれるでの。」
腰巾着に、火付け石を入れる小豆洗い。
「ふふ~ん。」
気に入った様だ。
(小豆洗い。殿、)
「ん、」
(遠くに一人。)
「やっぱしそうか?」
(はい。)
「こっち来んの?」
(はい、)
「きりがないの、いくぞえ。」
谷の上の大きな木の影から、コソコソと覗く男。
「何をみよるんじゃ?」
「ひ、ひい。」
いきなり後ろから声をかけられたのにびっくりする。
「なんじゃ?」
「なんだ、おめえ。」
「だから、なんじゃ?」
剣を出し構える男。
その途端、頭の上からアキノの鉄の桶が、
「ごチン。」
倒れる男。
(やりますか?)
「まぁ話を聞いてみるかの」
小豆洗いは、桶に男の頭を入れ、ひっくり返すとともにフワフワと浮かせている。
「んっ?」
男は、気が付いてみると自分が谷の下の、暁盗賊団の隠れ家に居る事にびっくりする。
夕方の様だ。
「きがついたか?」
「まぁな、」
と言ってみたものの、腰の剣がない。
「くっ、」
「まぁ焦んなさんな。お主に聞きたい事がある。」
「な、なんだ。」
「返事は、はいかいいえじゃ。」
「は、はい。」
「お主は、暁の盗賊か?」
「いいえ。」
じゃから、コソコソ覗いとったんか。
「お主、盗賊か?」
「いいえ」
「じゃぁなんじゃ?」
「、、んん?はい?」
こいつ、ポンコツじゃの、
「ええから、話せ、」
「はい。ああ、俺は、ウィグラー王国の騎士だ。」
「嘘こけ。百舌鳥カマキリ。」
ふわっと小豆洗いの肩にのる百舌鳥カマキリ。
「ひぃい。」
後ずさりする男。
足元をうねうねしながら近づいていく、ゼンマイ。
「勘弁して下さい。本当なんです。」
「嘘こけ~」
「本当なんです。剣と鞘に小さいですが、紋章があります。」
ふーん。
(まぁその通りかと、)
「なんで、ここにおる。」
「暁盗賊団は、色んな所に潜んで、悪い事をする。我ら、ウィグラー王国騎士団も手を焼いている。いつか、退治する為に、定期的に監視しているのだ。」
「まんざら、嘘とは思えんの?」
剣を、渡す小豆洗い。
「ひ、ひぃ、あ、有難う。」
剣を腰につけ、立つ。
「名は、?」
「私は、ウィグラー王国騎士団斥候部隊のスライダー。」
「スライダー、儂は、小豆洗い。」
「私は、百舌鳥カマキリ。」
「ま、魔物?」
「違う、儂の使いじゃ」
桶をクルクル、フワフワしながら話す。
「なんと、魔法使いでしたか?」
「そっちは、ゼンマイじゃ」
ゼンマイは、とぐろを巻く。
「凄い、さぞかし御高名な魔法使いと、お見受けします。」
「まぁの。」
「ところで、暁盗賊団は?」
「儂が、倒したぞ。全てとは、言えんが?」
「本当ですか?」
「見てみい、ほれ、」
辺りを見渡して、初めて骨ばかりな事に気が付く。
「え、」
「ええええええー」
古来、風呂敷などを、縛る事で、形を変えて使っていた事が、便利な時代がありました。
読んで頂きありがとうございます。
いいねや、評価いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。




