第十五話 小豆色と砂糖と塩
夜が明けてきた。
「どれ、ちと早いが、アキノ達に会いに行くかの」
(お主らは、背後を頼むぞ。何があるか、分からんゆえ。)
(はい、)
桶一杯の小豆を持ち、小豆洗いは、機嫌よく歩く。
「おはようさん」
アキノが、ドアを開け笑顔で、出迎える。
「お爺ちゃんおはよう。」
「おお、おはようございます。昨日は、本当にありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
アキノの両親が、深々と頭を、下げる。
「ええのじゃ、ほれ、小豆」
鍋に、入れる小豆洗い。
「昨日に引き続き、本当にありがとうございます。」
「よう、寝れたかの?」
「はい、不思議と元気になりまして。良く寝れました。」
「そうか、そうか、」
痩せているが、昨日よりは、ましじゃな。
「あのう、昨日は、お聞きしなかったのですが、お名前を、」
「よいぞ。わしの名は、小豆洗いじゃ。」
「アズゥキ、アライさん」
「んっ小豆洗い。この豆は、アズキ。アズキを洗う。小豆洗いじゃ。」
「アズキ アライ。さん」
「ほんじゃもう一度、小豆とってくるでの、」
「それでしたら、アキノも手伝わせて下さい。」
「お爺ちゃんわたしも、手伝う。」
アキノは、可愛くにっこりと笑う。
「まぁええじゃろ。」
小豆洗いは、アキノと滝の辺りに向かう。
「アキノ、お主から貰った桶、大事に使うからのぅ。」
「お爺ちゃん。小豆ありがとう。」
ええ子じゃの~。
「お爺ちゃん、小豆の木どこにはえてるの?」
「小豆はの、木が有るのでは、ないのだよ。」
「お爺ちゃん、小豆は、どこにあるの?」
「小豆はの、どこにもないのじゃよ。」
「お爺ちゃん、、、?」
「着いたぞぃ。」
滝の辺りに着いた。
(百舌鳥カマキリ、ゼンマイ、辺りに誰もおらんか?)
(はい、誰もいません。)
(某も、同じでござる。気配ありませぬ。)
じゃ、いくか。
「小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「は~小豆洗おか、人取って喰おか」
ショキショキ。
ショキショキ。
「小豆洗おか、人取って喰おか~」
ショキショキ。
ショキショキ。
「お、お爺ちゃん。小豆が、」
「ひひひっ」
「お爺ちゃん、小豆が、」
「ひひひっ」
「小豆洗おか、人取って喰おか~」
ショキショキ。
ショキショキ。
「お爺ちゃん、小豆が一杯。人取って喰おか?」
「ひひひっ」
(ドキドキ、わ、私)
(百舌鳥カマキリ殿、様子を見ましょう。)
「お爺ちゃん、私、食べられちゃうの?」
「ひひひっ」
小豆洗いは、アキノの頭を撫でる。
「脅かしただけじゃよ。ひひひっ。よく、逃げんかったの?」
「私、小豆が、少しずつ増えてきて、とても、綺麗で、見てたの。」
な、なんと、。
「アキノは、小豆が綺麗に見えるか?」
「うん。綺麗な色。」
「小豆色と、いうんじゃ。」
「小豆色かぁ。」
「アキノは、素質があるの。村にもどるか。」
「?素質?」
「小豆洗いに将来なるか?」
「なれるの?」
(な、なれるの?)
(なれるのでござるか?)
「ひひひっ頑張り次第じゃの。」
「お爺ちゃん、魔法使い?」
「魔法使い?い~や、小豆洗いじゃよ。」
「でも、お爺ちゃん、魔法使ってたから。」
「まぁの、魔法みたいなもんか」
小豆洗いは、アキノの頭を撫でる。
めんこい子じゃの~。
「ただいまー」
「あら、お帰りなさい。また、こんなに一杯。」
「この鍋でいいかの?」
鍋に小豆を入れる小豆洗い。
「わしゃ、もう一回小豆とってくるで、」
「お母さん、小豆洗いさん、やっぱり魔法使いだったよ。」
アキノは、母親に告げる。
「やっぱり、お父さんと話していたんです。御高名な、魔法使い様では?と」
「お父さん、小豆洗いさんの魔法凄いんだよ。小豆が一杯になるの」
「それは、凄い。お母さんと話していたんです。ここらでは、見た事のない、豆でしたから。力もみなぎりましたし、よほど、凄い魔法使いでは?と。」
「わしゃ魔法使いではないぞよ。小豆洗いじゃ。」
「はははっ、ご謙遜を」
「まぁええ、小豆とってくるで、アキノは、お母さんのお手伝いじゃ。」
すたすたと歩く小豆洗い。
(ゼンマイ、話聞いとったか?)
(は、聞いておりました。)
(どう思う。)
(小豆洗い殿が、魔法使いと思われておりました。)
(じゃな、魔法使いと思われてるな。)
(まっ魔法使い、いるのかな?)
(まぁええ、様子みるか。)
(誰ぞ、ついてきてるか?)
(い、いいえ、)
(百舌鳥カマキリ、良く、周りを見といてくれ)
(はい。)
滝の所で、小豆を洗う小豆洗い。
村に帰る小豆洗い。
(おかしいの、普通、気になって見に来るけどのう。)
(誰も、いませんでした。)
う~ん、。
「もどったぞ、この鍋でええかの?」
「まぁ、また、一杯。ありがとうございます。」
「ゆっくり煮るんじゃぞ。」
「お爺ちゃん、ありがとう。」
「ええぞ、皆で、食べよう。今日は、少し甘い、塩味にするかの?」
「塩味とは、流石です。助かります。」
お父さんは、喜んでいる。
「甘さが引き立って旨いぞ、」
にっこりと笑う小豆洗い。
煮えてきたわよ。
「他の村人にも知らせてやれ、アキノ」
「本当に有難うございます。」
「ええのじゃ、ええのじゃ。どぉれ、、、ぺっ」
「皆が揃いました。」
皆、喜んで、食べている。
「塩味とは、御見それしました。」
「旨いじゃろ。」
「私は、昨日の甘いのが、好きだったな。」
「まぁの、善哉は、旨い。だがの、塩味の小豆煮の方が、腹持ちは、ええぞ。」
「しかし、昨日の甘さといい、塩といい、よほどの事だと思います。」
「おかげさまで、元気が一杯です。」
「そうかそうか。ええのじゃ。ええのじゃ。」
「不浄の塩は、どれくらいお持ちなんですか?」
「へっ塩?持っては、いないのじゃが、」
「お持ちの大事な不浄の塩を、我らの為に使っていただき、ありがとうございました。」
皆、頭を下げる。
「いやいや、そうじゃないんじぁ、最初から、砂糖も塩も、もってないぞえ。」
「では、どうやって、」
「わしの唾じゃよ」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「またまた~」
「はっはっはっ。」
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