第百二十五話 ウィグラー王国に行きたい(ほのぼの) 其の二 お沈香の香り
ルーリと、ルートは、嬉しそうに、恥ずかしそうに、東のアーパ族に向かって出発した。
皆、見送っている。
また、ルー族の村は、長がどこかに行くという噂で持ち切りだった。
ある者は、共に行くと言い、ある者は、ここに居て欲しいと願っている。
小さな何かが、小豆洗いの所に飛んできた。
「小豆洗いさん?大分、ゆっくりしてしまいましたが、しっかり芽が出て根が張りました。」
「おお、終わった様じゃのぅ。山蓮華?」
「もう、あの大山蓮華の木は、この地にしっかり根付く事でしょう。成長も早いです。」
「うむ、それは、良かったのぅ。花が咲くのが楽しみじゃ。」
「さて、私も皆様の役に立つよう働かせて頂きます。」
「そ、そうかのぅ、とは、いっても、はて?なんか、あるかの?」
頭をかく小豆洗い。
「では、あちらに見えます畑を、見に行ってきます。」
「そうか、では、グルスが仕切っているでのう、聞いてみてちょ?」
「グルスさん。わかりました。」
ピィューと飛んで行ってしまった。
真面目な事じゃて、。
雨女が、こちらに向かって来るのが見える。
「ちょいと長様?」
「なんじゃ?瀧吉?まだ、ウィグラー王国には、行けそうにないぞい。」
「いや、そろそろ、あれの匂いを拝もうじゃないか?」
「ん、沈香かの?」
「そそ、もう、陸に上げて渇ききっただろ?」
「うむ、しからば、やってみるかの?」
颯爽と歩いて行く小豆洗いと雨女。
何かを感じたサッカーとデコイが追いかけて行く。
小豆洗いと瀧吉は、水の中で沈んでいた匂いのする木が、何個も横たわる所に行くと、小刀で削り取っていく。
大事そうに持ってテントの方に向かっていく。
「ログさんの火種、落ちてもうとるの、」
小豆洗いは、腰ひもから、火付け石を取り出すとカチカチッと光らせる。
「小豆洗い殿、オタツ殿。」
「なんだい?心配そうに」
雨女は、サッカーとデコイを見る。
「ど、どうされたんですか?」
「おお、お主らも一緒に匂いを嗅ごう、のう?」
「はぁ?」
火がつかないのか、小豆洗いは、カチカチしている。
「これさ、」
雨女は、削った切れ端をサッカーに渡す。
「ああ、コノ河に沈んでいた匂いのする木ですな、」
「デコイは、こういう匂いは、嫌いかい?」
「うっすら甘い様な、よくわかりませんが、」
「まぁ、焚いてみたら、匂いがどうなるかさ、」
取り敢えず、サッカーとデコイは、お互いの顔を見る。
「なんじゃ、集まって、」
ログ爺さんとコーストも戻ってきた様だ。
「おお、ログさん、お茶にしよ、」
カチカチしながら、振り返る小豆洗い。
「うん、小豆洗いさん。」
「ちょいといつまで、火がつかないのさ、長様?」
馬鹿にしたような顔をする瀧吉。
「じゃて、つかんのじゃよ。」
見かねたログ爺さんは、コーストをみる。
「コースト、ほれ、火を頼む。」
「はい、」
「ガチガチガチ、」
多数の火種が飛び散る。
「おお、コーストの火付け石、凄いのぅ。」
「あんた、一発じゃないか?」
「いえ、たまたま、いい火付け石を父から、もらいまして、。」
少し嬉しそうにするコースト。
「それでしたら、私のも負けてませんぞ」
デコイも自信満々で、布袋から多数の火付け石を皆に見せる。
「凄いのぅ、デコイ。」
羨ましそうにする小豆洗い。
「小豆洗い殿に、差し上げます。」
渡そうとするデコイ。
「いやいや、ええよ。ありがとう。わしゃこれを気に入っているで、」
恥ずかしそうに断る小豆洗い。
ふわっと強い甘い香りとともに苦みの様な香りが辺りを包んだ。
「おお、瀧吉、くべたのかの?」
「うん、。」
「いやはや、これは、小豆洗いさん、凄い匂いじゃな。」
「甘い香りだけではないですが、軽い様な、深いような、。」
「あら、サッカー、流石じゃないか、あんたの嫁さんと娘にもあげなよ、。」
削りかすを渡す雨女。。
「これは、ありがとうございます。」
「はぁ~いい匂いだね。いいよ、一杯あるからね。まぁ試しにね。嗅がせてみてよ。」
にこりと笑い空を見る雨女。
すがすがしい笑顔だ。
「小豆洗い、これは、一発当てたね。ヒヒヒッ。」
取って代わっていやらしい顔で小豆洗いを見る雨女。
「そうじゃの~、億万長者じゃよ。ヒヒヒッ。」
小豆洗いも、にっこりと笑う。
「おお、匂いが変わりましたな。」
「そうじゃのぅ、若草の様な、爽快な香りになった様な。」
「いや、面白いね。あたいが持ってるお香とは、格がちがうね。」
「ふぉふぉふぉ、小豆洗いさん、こりゃあ面白い物じゃの~。のう、コースト。」
「はい、私も頂きたいです。」
「流石、沈香、気を静める様な香りともいえるのぅ。」
小豆洗いは、感嘆した顔を見せる。
きりりとした顔をする雨女。
「ん、まずいね。」
「なんじゃ、瀧吉。」
「みんなが、欲しがったら、滅茶苦茶に削られちまう。」
「ええじゃないか、ジッターが、まだまだ沈んでいるというとったじゃろ?」
「甘い、甘いよ、小豆洗い。どれもこれもが、同じ匂いとは、限らないじゃないか?」
「ほほう、小豆洗いさん、その通りじゃ。」
「なんじゃ、ログさんまで、」
「わし、もう知らんぞい。めんどくさい。」
「では、誰かが、管理するしかないですな、」
「デコイ。じゃ、お主がやってちょ。」
「私で、宜しいのですか?」
「ふむ、嫌かの?」
微妙な顔をするデコイ。
「儂、興味あるし、コーストとみようかの?」
コーストの顔を見るログ爺さん。
コーストは、何だかなぁという顔をする。
「そりゃ助かるで、コースト、頼む。」
「は、はい。」
微妙な顔のコーストを見て、フッと笑う雨女。
キセルを取り出し煙草を詰めて、口にくわえた。
マッチを擦り火をつける。
「瀧吉、マッチ、。、。」
「なんだい、。」
ニヤニヤと笑顔を見せ小豆洗いを見る雨女。
美味しそうに煙を吐く。
皆、雨女が、不思議な力を使って火をつけ、煙を吸っているのを見ている。
「瀧吉、儂にも少し、多葉粉をのう、少し、のう?」
もじもじする小豆洗い。
「いいよ、その内ね、わけてあげても。」
「うん、うん。」
満足そうな小豆洗い。
「いや~凄い匂いですね。」
ダミーとアイスが、歩いて来た。
「小豆洗い殿、報告があります。」
「ふむ、ダミー、燻製小屋が出来たか?」
「い、いえ、それは、あの、ルーイン達が、長の家なのに小さいと言って、あの、」
「う~む、まぁ、空気が隙間から出ない様に、のう。頼むで、。」
「はい、それより、コノ河の対岸にダイが馬車に乗って帰って来た様です。」
「おお、帰ってきたか、オフトンさん達が。」
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最近、忙しくて忙しくて、。
せめてこちらの世界では、ゆっくりしたいです。
笑。
宜しくお願いします。




