第百十七話 匂いを嗅ぐスライダー
小さな岩に腰を下ろす水の神様。
相変わらず綺麗な青い髪の女神を、スライダーは、近くから見ている。
「これは、これは、お忙しい様ですな、。」
小豆洗いと、雨女は、近づいて行く。
皆、駆けつけては、ひざまつく。
小豆洗いもひざまつく。
「小豆洗い、立って下さい。」
「はぁ、」
立ち上がる、小豆洗い。
「あの、その、」
もじもじする、水の神。
様子が、変なので皆、固唾を飲んで見守る。
スライダーは、うっとりする。
「あの、実は、その、」
「実は、光の神が日本に行ったのは、一回だけでは、ありませんでした。」
「うぬぬ、」
「その、光の神は、三回ほど行かれてました。」
「三回ですか?」
「はい、。」
「うむ、。それならば、河童がこの世界に来ている可能性が高まったのう。」
「我らが、牛久沼の辺りで、この世界に来た訳じゃからのぅ。」
小豆洗いは、遠くを見る。
「あの、一度と伝えてしまった事、申し訳ありませんでした。」
「いやいや、そんな、気を使わないで下され、」
「それより、もしかしたら、多くの物の怪が、妖怪が来ているやも、知れませぬのぅ。」
「はい、他の神に事実を伝え、探して頂ける様にして頂きました。」
「それは、それは、。」
「他の神から、私が聞き次第、小豆洗い達に言いますから、協力お願いします。」
「こちらこそ、見つけ出すのは、至難の技、宜しく頼みますじゃ。」
「はい、問題が起これば、気が付き易いですが、起きて欲しくは、ありませんし、」
「そうじゃの、誰かみたいに、のぅ、。」
小豆洗いは、ちらりと雨女を見る。
「決してその様な事を言った訳では、無いのです。」
驚いた顔をする水の神。
スライダーは、見ている。
雨女は、ニヤリと笑う。
「はっはっはっ」
小豆洗いは、笑う。
「皆さん、楽にして下さい。お立ちになって。楽に、自由にして下さい。」
小豆洗いが、機嫌よくしているので、水の神は、気が楽になった様だ。
皆も、慣れてきた様で、パラパラと散って行く。
「あっそうだ、小豆洗い達に教えて頂きたいのです。」
「シキというの物は、何でしょう?。」
「シキ?シキ、四季の事かの?」
「暑くなり、寒くなる。まぁ、それを四つに分けて考える訳ですじゃ。」
「春、夏、秋、冬から春、夏、秋、冬から春。とまぁ、繰り返す、この四つの気候が四季ですじゃ。」
「この世界には、無い様じゃが、。」
「ここだけの話ですが、光の神がお創りになると仰ってまして。」
「・・・。」
「・・・。」
「創る?こりゃおったまげたね。あの神さん、本当に全知全能の神だったんだね。」
「ゼンマイ、説明を、上手くのぅ。」
(はっ、季節と言い、春、花が咲き、夏、葉が茂り、秋、実り、冬、枯れるでござる。)
「うむ、お主らしいの。」
「そ、それは、必要な事なのでしょうか?」
真面目な顔をする水の神。
「この世界は、気温が一定の様ですしのぅ。それで、いいと思いますがの。」
「はい、過ごしやすいと思いますが、。、。」
「ふ~ん。四季をつくるか。」
「なんじゃ、瀧吉?」
「いや、何がやりたいんだろうと思ってね。」
「うむ。確かに、四季があるという事は、冬があるからのぅ。」
(冬を乗り越えられず、亡くなる者、これあり、今からでも、備える事大事でござる。)
「あら、ゼンマイ、相変わらず、硬いわね~」
百舌鳥カマキリは、能天気だ。
「ほっほっほっそうじゃな、百舌鳥カマキリ。じゃが、間違ってはおらん。」
盗み聞きをしている面々もざわついている。
「まぁ、全知全能の神が言う訳だから、単純じゃないだろ。」
「雪で白く色を塗りたくなったかの?」
「そんな、粋な神さんじゃなかったけどね。」
「水の神様は、どう思われるのじゃ?」
「はぁ、何故だろう?う~ん。」
「まぁ、生きるに厳しくなることは、間違いないじゃろうから、止めるこった。」
雨女が、耳をほじくりながら言う。
「そうですのぅ、ゼンマイが言った通り、冬に向け、蓄えねばいけませんからのぅ。」
「はい、。その方が良さそうです。」
「でも、まぁ、ここから見える景色が、雪景色なのは、綺麗じゃろう。」
コノ河を見る小豆洗い。
「そこまで、寒くならないで欲しいね。下手したら、凍るよ、コノ河。」
「凍ったら、スケートと言ってのぅ、滑って渡れるぞい。楽しみじゃよ。」
「小豆洗い、この子らは、どうなるんだい?」
雨女は、ナマズマン達を見る。
「そうじゃな、まぁ、寒さは、大丈夫なんじゃろ?のう、ジッター?」
「寒さですか?大丈夫だと思います。」
盗み聞きをしている面々もざわついているが、話に混ざるのは、失礼と思う。
考え込む水の神。
先ほどから、スライダーは、水の神に近づいて匂いを嗅いでいる。
「なんですか、スライダー。」
「いや、オタツさんのお香と一緒の筈なのに、匂いが、違うような?」
「ええっ、そんな筈は、」
「あら、流石だね、スライダー。」
雨女は、珍しくスライダーを誉めた。
「そうじゃな、流石というか、なんというか、。」
「?」
「お香とか、匂いの物は、持ち主の匂いと混ざるから、結構、変わるのさ、。匂いがね。」
「スライダー、良く、気が付きましたね。」
にっこりと笑顔を見せる水の神、。
「はい、」
嬉しそうなスライダー。
「流石、水の使徒様じゃの~」
「へへっ、」
「ああ、水の神様、実は、この世界でも、香木を見つけましてのう?」
「香木ですか?この?」
水の神は、香の袋を取り出す。
「ええ、そうですじゃ。」
「あったんですか?」
「はい、ジッターが見つけてくれたんですじゃ。」
「ジッター、やりましたね。火の神、氷の神も喜んでいますから、凄い事ですよ。」
「・・・。」
「どうした、ジッター。」
「いえ、なんというか、私は、小豆洗いに報告しただけです。」
「ふふ、それでも、凄いではないですか?」
「そういわれると、まぁ。」
ジッターは、照れている。
「ああ、そうだ、あの、皆さん、お願いがあります。」
「?」
「?」
「出来れば、火の神と、氷の神の像を造って、魂水神像の側に立てて頂けないでしょうか?」
ふむ、そうきたか。
「そうすれば、火の神と氷の神もあなた方を見守って頂けますし、あの、」
「香木と言われる物を、奉納して頂ければ、嬉しいと言いますか、喜ぶと思います。」
「私が、創る事は、出来ませんので、その、是非、お願いしたいのです。」
「小豆洗い、私、作りましょうか?」
照れたジッターが、言う。
ほほう。
「長、」
「長、」
ケンタウロス達が見る。
「どうしたもんじゃ、皆?」
「小豆洗いさん、わし、氷の女神像を作ってもらえるなら、ありがたいのぅ。のう、コースト。」
「はい。」
ログ爺さんが後ろから、話し掛ける。
「ルーイン、どうする?」
「長に任せる。」
「じゃ、ルーン、ルーラ、ルーレ、ルーロ、ルーリ、そなたらが決めよ。」
皆、顔を見合わせる。
「長に任せる。」
声をそろえるケンタウロス達。
ルーインや、ルール、ルート、子供のケンタウロス達も笑っている。
「じゃろうと、思った。まぁ、ええけども、。」
うむむ、。
考え込む小豆洗い。
「あの、信仰する事になるわけですな?」
「それは、皆さんに任せます。押し付ける訳には、。」
相変わらず、美味いの。水の神は、。
むむむ。これは、難しいぞい。
上手く、皆が、神に使われても、困る。
むぅう。
考え込む小豆洗いを、皆が、不思議そうに見る。
「そこまで、お困りになるのでしたら、」
「まぁ、まぁ、わしは、皆、皆の意見が聞きたいのですじゃ、。増えましたからのう。」
「小豆洗いさん、皆、任せると言うておるよ。」
「ログさんは、氷の使徒だからじゃろ?」
「まぁのぅ。」
その時だった。
「ジッター、香木を見つけてくれた褒美です。私の息吹を与えます。」
水の神は、淡い青い光を口から手を添えて吹きかける。
「ええ?」
「あああ。」
皆が、驚いてジッターを見る。
「なんと、。」
驚いているジッター。
「これからは、水の使徒として、励むよう。」
「あっ、ありがたい事です。我ら、ナマズマン、更に信仰を務めます。」
ナマズマン達は、小さなものまで喜んでいる様だ。
やりよった。明らかに懐柔しようとしておる。
なんじゃ、何が起きておる?
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