第百十二話 火の神
「どうしても、気が付けない時があるのよね。腹立つわ。」
火の神は、申し訳なさそうな顔をする。
「悪魔は、火の神が、腹が立つのを喜びます。」
「そうね、ふうぅ~」
落ち着こうとする火の神。
「悪魔を倒すのは、私の役目だから、ごめんなさい。」
「あっそうそう、あなた、やるじゃない。」
もう一度、雨女の顔を見る。
「私は、怒ったりしてないわよ。本当よ。」
「・・・。」
「それより、あなた、いい匂いがするわね。」
着物の間から、小さな袋を取る雨女。
「これの匂いだね。」
「なぁに、それ?」
「お香だよ。」
「お香、お香だって水の神。」
「はい、いい匂いです。」
「なんだい?この世界には、無いのかい?」
「知らないわ、」
「はい、存じません。」
「ふ~ん、じゃあげるよ。」
「えっいいの?じゃ頂くわ。」
差し出す雨女の手から、ゆっくりと取る火の神。
「良かったですね。火の神。」
「何か、お礼をしないと駄目ね。」
「私は、いくらでも持ってるから、いいよ、別に。」
「どういう事?」
「私は、雨女。雨を降らせる事が出来る。天気を操れる。」
「元の世界では、所々、雨のご利益を願って、祀っていたりしてね。」
「奉納された物なら、出せるさ、」
「あなた、それじゃ神じゃない?」
「そんな、お偉いさんじゃないよ。」
少し、考える火の神。
「あなた、火の力を欲しくは、ない?」
「どお?私の力を渡せるかわからないけど、」
「興味ないね。」
「だぁと、思ったけど、こんなに断るの早いものかしら、」
「少し、考えたりしてもいいじゃない。」
「ねぇ~水の神。」
「火の神、そろそろ、」
「じゃあ、このお礼は、どうしましょう。」
「いいよ、別に。」
「いや、きっとこのお礼は、するから。」
「では、行きましょう。火の神。」
「はいはい、解った。」
淡い青い光が、水の神を包む。
濃い赤い炎が、火の神を包む。
消えた。
と、思ったら、淡い青い光がまた、見えた。
水の神が現れる。
「あの、雨女、私もその、欲しいと言いますか、」
「ああ、いいよ、」
「できれば、あの、二つ。」
着物の間から、小さな袋を二つ取る雨女。
「ありがとう。」
差し出す雨女。
嬉しそうに、受け取る水の神。
「あ、そうです、だれか、神話の話を、小豆洗いや、ケンタウロス達に話しておいて下さい。」
「私が言ってもいいのですが、今、忙しいので、宜しくお願いします。」
「では、皆さん。私は、見守っています。」
淡い青い光が、水の神を包む。
消えた。
「ふぅ、雨女。優しいのぅ。」
「別に。」
「それにしても、この世界には、お香の文化は、無いのか?サッカー?」
「はっ私は、存じません。」
「いい匂いですね。オタツさん。」
スライダーは、後ろから、お瀧の首すじの匂いを嗅ごうとする。
「なんだい、このポンコツは?」
「スライダー、。」
「お香と言ってのぅ。いい匂いのする木、香木を削った物じゃて。」
「香木。」
「そうじゃ、なんでか知らんが、木がいい匂いを出すのじゃよ。」
「あたい達がいた、日本でも香木は、無かったからね。海を渡って来てたね。」
「そうじゃの。」
「小豆洗い、話を聞いてもらえますか?」
歩いて来たジッターが、小豆洗いに話し掛ける。
「なんじゃ。ジッター?どうした?」
「私、この匂い嗅いだ事があります。」
「ほう?」
「川の底に転がっている木が、似たような匂いなのです。」
「臭いから、我らは、嫌いです。だから、泥をかぶせるのですが、。」
「それは、本当かい?」
「はい。普通の木は、泥をかぶせれば、腐り無くなりますが、無くならない。」
「結構な数が沈んでいます。」
「沈香じゃないか?それ、。凄い。凄い事だよ。」
興奮するお瀧。
「そうじゃその可能性がある。」
小豆洗いが、目を見開き、龍吉を見る。
みな、興奮する妖怪を見て、不思議そうだ。
「あのな、一つの少し大きめな香木で、日の本では、国宝と言われておったのじゃぞ。」
「まぁ、匂いにもよるがのう。」
「蘭奢待までとは、言わないけど、早く見てみたいね。」
「臭いから、川から無くなるなら、我らは、嬉しいです。」
「しかも、沈んでいて、浮かばないのなら、凄い沈香の可能性があるよ。」
ジッターの肩を興奮して、激しく叩く雨女。
よく解らないが少し、嬉しそうなジッター。
「チンコウ、はははっ、」
「スライダー、。」
「だって、チンコウですよ。はははっ、」
「馬鹿だね、この子。沈むに香りと書いて沈香だよ。」
「はははっ。チンコウ。」
スライダーは、笑い続けるので、あった。
読んで頂きありがとうございます。
いいねや、評価いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。




