第百十話 無為夢想
淡い水色の大きな光が現れる。
「戻ったぞい。」
皆、一斉に振り向いて見る。
水の神様、手を挙げる小豆洗いと、小さな小さな何かが飛んでいる。
「水の神様、長。」
ルーインが、駆け寄る。
「小豆洗い殿、」
サッカー達も声を上げる。
「長、ルーンがオタツと、剣を交える事になったのだ。オタツは、攻撃しない約束だが、」
「そうか。良かったの、ルーン、頑張るんじゃぞ。」
一旦、戦うのを止めていたのだが、また、ルーンは、オタツに切りかかる。
オタツが小太刀で防ぐ音が、聞こえる。
ああ、疲れた。もう、勝手にやっとればええ。
「ささ、山蓮華、焙じた豆茶でも、どうじゃろ?」
「はい、それは、いいのですが、あの、異形の者達は、一体なんでしょうか?」
「ああ、そうじゃの、説明せんといかんの。」
「お~い、百舌鳥カマキリ?どこじゃ、。」
(ゼンマイどこじゃ?)
ルールの、肩に乗り見ていた百舌鳥カマキリは、こちらに気が付いた様だ。
「は~い、小豆洗いさん。なぁに?」
飛んでくる百舌鳥カマキリ。
「日の本の妖怪で、オキツヒメ命の使いでもある百舌鳥カマキリじゃ。腹の中に、針金虫妖怪ゼンマイもおる。」
「大山蓮華の精です。初めまして。山蓮華と呼んで下さい。」
「ああっ私より小さい。みんな、気が付いてないんじゃないかな、。」
「初めまして。私は、百舌鳥カマキリ。」
「まぁまぁ、お茶じゃ、のぅ?お茶でもしながらのう。」
(ゼンマイ、悪いが、今までの事、説明してくれるか?)
(分かり申した。)
「どうやら、誰とも会っていなかったようじゃて、この世界に事をのう。」
(はっ)
「じゃ、宜しく頼むで、。」
すっと礼をして、歩いて行く小豆洗い。
「ログさんや、お茶にしよ?」
「お~い、ログさんや。」
ルーンと、オタツの戦いを見ているログ爺さんに話し掛ける。
「小豆洗いさん、今、いいところなんじゃ。」
「なんじゃ、もう。」
ルーンが、力を込めて突こうが、オタツは、ひらりと避ける。
オタツが動き回っているせいか、お香の匂いがする。
いい匂いだ。
ルーンは、何も無い物を切っている様な、そんな顔をしている。
「ルーン、あんたは、強い。だから、雑なんだよ。」
オタツが言う。
ぶすくれた顔で、戦っているルーン。
「ルーン。目を瞑り、戦ってみては、どうでしょうか?」
水の神の優しく大きな声が、こだまする様に聞こえた。
ルーンをみて、にやりとするオタツ。
ルーンは、目を閉じる。
何かを感じようとしている。
敏感に気配を感じ、敵意を感じようとするが、オタツには、敵意がない。
染み出ている気を、必死に、感じている。
「ふふ、そういう事じゃ、ないと思うよ。」
ルーンを見てオタツは、ぼそりと言う。
そういうとゆっくりと音も無く近づいて行く。
そのまま、ルーンの剣先まできてしまった。
何かを感じ、ゆっくりとまぶたを開くルーン。
「おしまい。ここまでにするよ。」
あっけにとられるルーン。
「まて、あと少し。」
「今日はお終い。」
「ぬぬっ。」
「何で、今、目を開けたんだい?」
「ぬぅ。」
「なんとなくかい?」
「う、うむ。」
「それだよ、それ、そこを、頑張るんだよ。」
わかった様な、わかって無い様な顔をするルーン。
「はぁ、楽しかった。たまには、いいねぇ、こういうの?」
オタツは、歩いて行く。
水の神は、オタツを見てにこりと笑顔を見せる。
「小豆洗い、で、誰がいたんだい?」
「うむ。お疲れさん。瀧吉、あっちでゼンマイが、説明しておる。儂は、初めましてじゃった。」
「じゃ私も、挨拶しないとね。」
「うむ。宜しく頼む。まぁ、皆に挨拶は、してもらうがのぅ。」
「ログさん、お茶にしよ?」
「そうしますかの、コーストや、」
「豆茶にしようかの?」
「はい。」
コーストは、走って行く。
「水の神様も、お茶しましょう。」
なぜか、意地でもお茶をする気迫が小豆洗いから、伝わってくる。
「で、では、そうします。」
ケンタウロス達は、ルーンの戦いを見て感化されたのか、目を瞑り、剣を振ったりしている。
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