第百九話 大山蓮華の精
「今回は、私も行きます。」
「はぁ、そうですか?」
「一度、小豆洗いを連れて来ると話をしているので、。」
「まぁそれじゃ、お願いします。」
「では、送りますね。」
水の神様は、両手を向けると淡い水色の大きな光が小豆洗いを包む。
みな、見送ったとはいえ、すぐ帰って来るようなので、座っている。
「暇だね。ルーンといったね。」
「うむ。」
「余興だ、ちょいとやるかい?」
「おお、話がわかるじゃないか?」
「おお、」
ケンタウロス達は、嬉しそうにしている。
「可愛がってあげるよ。」
「むむ。」
少し、むっとするルーン。
「まぁまて。、長が帰ってくるまで待て、。」
ルーインが止めようとする。
(某もそう思い申す。)
百舌鳥カマキリの中からゼンマイが言う。
皆も、どうしてよいのか分からず、ログ爺さんを見る。
「わし、しらんよ。怪我せんかったら、いいと思うがの?」
「じゃ、私は、攻撃しないよ。」
「ほう。それじゃったら、安全じゃな。」
「余興だよ、ほら、おいで、ルーン。」
「ルーイン?」
「うむ。」
「では、後から長に報告しといてくれ。」
「では、参る。」
両手で剣を鞘から抜くルーン。
少し、腹が立っている様だ。
タタッと走り寄り左手の剣を叩き下ろすルーン。
上からの凄い勢いの剣をを受けて流すお瀧。
「うむ。」
今度は、右手の剣を突いてくる。
ちょいと受け流す。
少し、距離が遠かった様だ。
「手数が多いね。良くないよ。」
そう言うとお瀧は、スゥと消える。
今度は、右の方に姿を現す。
すぐさま、右手の剣を振り下ろす。
お瀧は、小太刀で受けるとクルリと回り、振り下ろした右手を引っ張るとルーンは、驚いて左の剣も振り下ろす。
先に居る筈のお瀧は、また、距離をとってにやりと笑い、立っていた。
ルーンは、凄い勢いで剣を投げる。
びっくりした顔のお瀧は、横にずれパッと剣を手で取る。
「なんだい剣を投げるなんて、男のする事じゃないね。」
「まだ、一つある。」
右手の剣を見せ、むすっとするルーン。
それを見て、ルーインは、頭をかく。
強い。
皆がそう思う。
「いいかい?手数が多いんだよ。」
「それに剣、ぼろぼろじゃないか?」
そう言うと、剣を地面に刺す。
その頃、小豆洗いと水の神様。
「ここは?」
「ルー族の村から、ずっと南に行った辺りです。」
「ほう?大きな道ですのぅ。」
「丁度、三叉路の所です。」
「ふむ。よく分らんが、で、どこに?」
「あちらです。」
水の神は、手を向ける。
それほど大きくはないが、少し白い木肌の木が見える。
ポロっポロっと、白い花が咲いている。
「ふむ。」
歩いて近づく。。
「綺麗じゃな、すまんが、儂は、小豆洗い。日本の妖怪じゃ。」
「遅くなりましたが、連れてきましたよ。」
笑顔の水の神が、白いふっくらとした蕾に触ろうとすると、ゆっくりと花弁が開く。
寝ていたのか、手を挙げて背伸びをした、小さな小さな男の子がいた。
「初めましてじゃのぅ。わしゃ、小豆洗いですじゃ。」
「宜しければ、お名前を聞かせて頂けないかの?」
丁寧な態度をする小豆洗い。
「これは、これは、水の神様。」
ゆっくりと頭を下げる。
「初めまして。僕は、大山蓮華の精。」
小豆洗いの方を見て、また、頭を下げる大山蓮華の精。
「大山蓮華じゃ、そうじゃ、山に咲き、良く目を止めたもんじゃ。」
「最近、名が出てこんで。」
恥ずかしそうに、頭をかく小豆洗い。
「大山蓮華と言うたら、奈良の大峰山が有名じゃが、」
「はい、奈良で、一の行者山、大峰山で神変大菩薩様に仕えて居ます。」
大山蓮華の精は、ふわりと、花から飛んで出てきた。
小さい小さいその姿は、白い布を巻き付け、腰で紐を縛っている。
寒そうな服装だ。
フワフワと飛んでいる。
「役 小角様の配下の方じゃったか。」
「はい。」
「で、少し教えて貰えるじゃろか?」
「はい。」
「この木は、そなたが植えたのかの?というか、この世界にきてどうされてた?」
「はい、いつも通りに大峰山の山影で、のんびりしてました。」
「でも、気が付いたら、ここに居て。。、。困りました。」
「必死に前鬼様、後鬼様に念を送ったり、大山蓮華の木になら、念じれば移動できるから、どこかあるかなって思ったけど、木から返事がなくて。、。」
「疲れてきて。、。眠たくなってきて。」
「困って、困って。」
「取り敢えず、力振り絞って、種を生み出して植えて。」
「土地の気が、満ちてるのか、すぐ、芽が出て、良かったと思いました。」
「小さな小さな芽の中に、取り敢えず入って、じっと、じっと、ゆっくりしてました。」
「うむ。」
「で、まぁ、わしと一緒に居た方が、ええと思うんじゃが?」
「はい。水の神様から、そう、言われましたので、宜しくお願いします。」
「うむ。」
ええ子じゃの。
言葉使いもキチンとしておる。
怖かったんじゃろな、前鬼と後鬼とか、。、。
「じゃ、そういう事で、」
水の神の方を見る、小豆洗い。
「あっ私、この木は、送れません。どうしましょう。」
「そうですか、どうすればええんじゃろか?」
困った顔の、小豆洗いは、大山蓮華の精を見る。
「でしたら、このままでもいいでしょうか?」
「はい、それは、大丈夫ですが。」
「この木は、ここが気に入ってるから、きっと大きくなります。」
「きっと種も一杯落ちて、もっと増える事でしょう。」
「ああ、でも、この世界には、無かった筈の木、大山蓮華の木ですけど。」
「この、美しい花を咲かせる木が増えるなんて、いい事です。」
水の神は、木に触れる。
「僕は、また、種を植えればいいです。それに、この世界に居る間は、時々、ここにも見に来ます。」
「そうか、大山蓮華の精じゃから、大山蓮華の木と木を好きな様に行き来できるのか、。」
「はい、僕は、大山蓮華の精ですから、木々が増えれば、嬉しいです。」
は、は~ん。楽じゃの。
儂も飛んだり、瞬間移動出来たりしたら、ええんじゃけどな。
「ふむ、じゃ良かったですの。」
「はい、では、大山蓮華の精、小豆洗い、戻りましょう。」
「水の神様、僕の事は、山蓮華と呼んでください。神変大菩薩様や、前鬼様達もそう呼んでました。」
「はい、では、山蓮華、いきますね。」
水の神様は、両手を向けると淡い水色の大きな光が小豆洗い達を包む。
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