第百七話 この河に、はなむけを
ひざまつき、泣き崩れるプスタ―を横で、見守るグルス。
「すまないね、あと少し、あと少し、私が早く着いてれば。」
「すまないね。プスタ―。」
雨女も声を掛け続ける。
戦いが、終わった様なので、皆、集まって来ていた。
「あの、お話させて頂いても宜しいでしょうか?」
「なんだい、?」
「オタツ様は、グルテ叔母さんとマッシュ叔父さんの事を話されていましたが、」
「ああ、あんた、いとこって言ってたね。」
「はい、私の父の妹が、グルテ叔母さんです。」
「そうかい。」
「やはり、マッシュ叔父さんの家の辺りは、みな、その、兵にやられてしまっているのですか?」
「・・・。」
「実は、我らは、プスタ―と一緒で、サッカー領の南部で、作物を造っている者達です。」
「畑にいたら、捕まり、王宮の牢獄に囚われているところを、長様に助けて頂きました。」
「長様?」
「わしが、長じゃよ。」
手を挙げる小豆洗い。
「はぁ?」
へんな顔をして小豆洗いを見る雨女。
「まぁ兎に角、皆殺しと言ってもいいぐらいなんだよ。」
声をきいて周りに居る者も、落胆する。
「じゃ、私の父も母も。、。。」
「実は、プスターを探す為、大分、見て回ったんだよ。」
「オタツさん、ありがとうございます。」
泣きながら、雨女を見るプスタ―。
「それでね、各、家の辺りには、亡骸しかなくてね。」
「ああ、そうですか。」
グルスは、他の皆を見る。
皆、予想は、していたのだが。、。、。
「じゃあ何で、俺たち助かったんだろ?」
泣き止んだプスタ―が、言う。
「金目の物を持ってなかったからじゃないかい?プスタ―。」
「う~ん。」
「まあ、いいじゃないか、あたしゃ、プスタ―にあえて嬉しいよ。」
「そうです。そうです。私もそう思います。」
「まぁ、良かったのう。」
「これも、小豆洗いがつくりえた奇跡です。」
小豆洗いを見て水の神が言う。
「あっそうだ、ダビド亭に居た時に来た兵達は、まともだったと思う。」
「ダビド亭の皆に王命といえ、民が不憫だってね、暴れなければ、切らないって言ってね。」
「匿ってくれたんだよ。」
「だから、ダビド亭のみんなは、生きてるし、多分、あの辺りは、静かだったよ。」
「なんつったっけな。えっと、思い出した、クラブ将軍だ。」
「救える者は救いたいって言ってたよ。」
「で、私、抜けてマッシュの家に向かったんだ。」
「あちゃ~ダビド亭のみんな、心配してるだろうな。」
雨女は、おでこをぺちっとする。
「ああ、我らを捕らえていった兵士もクラブ領の兵士でした。」
「私の家内と娘もクラブ将軍の手の者に捕らえられたと聞いています。」
サッカーが話す。
「私とクラブは、祖父の頃からの仲なのです。」
「きっと大分、我が領地の事を思ってくれたと思います。」
「あんた、偉そうな人だね。」
「私は、小豆洗い殿の配下、ブラック サッカーと申します。」
「サッカー?サッカーの街の?」
「はい、」
「ふ~ん。配下?」
「サッカー将軍は、サッカーの街では、領主をしておられたのです。」
デコイが言う。
「ふ~ん。そりゃ名前がそうだからね、ああ、そうかい。」
「ふぉふぉふぉ、あのクラブの孫じゃろ。」
「はい、ログ様。」
「なんだい、この浮かんでる爺さんは、」
「小豆洗い、あんたら古来からの妖怪は、口を酸っぱくしていつも言ってたじゃないか?」
「わたしら、人外の者は、世の中に関わり過ぎたらいけないって。」
「どうなんだい?ここは、」
梅干しを食べた様な顔をする小豆洗い。
「こんなんじゃ、神様仏様が黙っていないよ。小豆洗い。」
「大変な事になるよ。」
心配そうにする雨女。
「瀧吉、ここにおるよ、神様。」
にっこり笑う、水の神。
「あっっ、そう、だね、」
「まぁ、雨女よ、落ち着いて少し休むとせんか、」
「のう?」
小豆洗いは、疲れてきた様である。
「あっそれじゃ、サッカー領の兵隊さんとダビド亭で、芋酒のんで、楽しんだのだけど、」
「相変わらず、チャキチャキしとるの、」
「私、これでも、人気者でね。」
「梵っ」
「ダビド亭で、こいつ聞いてもらって、飲んでもらってね。」
「そりゃ、瀧吉の三味線聞けたら、ええじゃろ。」
「そいでね。みんな、気持ちのいい子でね、。ね、プスタ―も覚えてるだろ?」
「はい。父と母と行きましたから、凄い人で、。、。流行ってましたね。」
「でも、出兵するってね、勇ましく歩いて行ってね、私、見送ってあげたんだけど。」
「サッカー領の兵なら、そこのサッカーさんの部下になるんじゃないかね?」
「なんか、どっかで合流するってね、言ってたよ。」
「あの子達は、ここに居るのかい?」
顔を曇らせるサッカー。
頭をかく小豆洗い。
「我が、サッカー領から来た部隊の兵は、この河の対岸と、上流で、見事戦い抜き、散りました。」
「少ないですが、捕虜になった者達は、小豆洗い殿に解放され、帰ったともいえますが、。」
「帰ったとて、殺されているかもしれません。」
「そ、そうかい。小豆洗いに解放された?」
「はい、小豆洗い殿率いるルー族と、戦ったのです。」
「はぁ~ん?」
小豆洗いを見る雨女。
小豆洗いは、また、梅干しを食べた様な顔をする。
「帰った、何人かは生きてますよ。きっと。」
アイスが言う。
「アイスは、ダビド亭に行ったのか?」
デコイが気を使いながら、小さな声で聞く。
「いや~誘われていったら凄い人で、。確かに楽器演奏してましたね。」
「なんだ、芋酒で、一杯やらなかったのか?」
「うん、まぁ、今後を思って貯金しました。」
「お前は、つまらない男だな。」
「ああっ、父さん、僕が、お金貯めてたから、イミン様や、スピン様、グルス達も助けにいけたんじゃないですか?」
「その通りだ、その通り。」
「そうじゃの、その通りじゃよ。」
サッカーと小豆洗いは、大きな声を出しアイスを誉める。
「まぁ、ここらで、飯でも、のう?」
「長、丁度、ご飯の準備をしていた所です。」
ルールが言う。
「瀧吉、皆、疲れておるし、のう?ほれ、プスタ―と、飯でも、」
「分かったよ、分かった。」
雨女が、手を挙げると雲が消え、晴れていく。
「おお、。」
「おお。」
皆、空を見上げている。
「この河で、戦い死んだんだね。」
雨女は、サッカーに確認するように聞く。
「はい。」
「プスタ―、ちょいと、側に居てくれるかい?」
「はい?」
河の方に歩いて行く雨女とプスタ―。
「あんなに張り切って行進していったんだから、やるだけやったんだろうけど。、。」
「梵っ」
鼈甲のバチを手にとる。
「私からのはなむけだよ。聞いてくれるかい?」
河の側に立つ雨女。
「はっっ、」
「デンデンデッテテテテ、ティテテテテテテテ、」
「ティン、タティン、ティティティ、タァン、タァ、タァン、」
「はっっ、」
「デンデンデッ、ドォン、テッテッテトトト・・・・・・・・・・・」
皆、見事な三味線の音色に驚いている。
「お優しい方では、無いですか?」
水の神は、小豆洗いに問いかける。
「優しいのじゃよ。優しいから、優しいからすぐ怒るのう、雨女は。」
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