第百五話 小豆洗い、お迎えにいく。
淡い青い光から小豆洗いが、百舌鳥カマキリを肩に乗せ現れる。
「うう、凄い風と雨じゃの。」
「ゴロゴロゴロ~」
暗い空から聞こえる。
「腹が冷えてまう。」
「ほれ、百舌鳥カマキリ、懐にお入り。」
「小豆洗いさん、こんな雨じゃどこに居たって変わらないわ~」
「それもそうじゃ、急ぐとするかの。」
「ベベン、ベベン。」
「なんじゃ、三味線か?」
遠くから聞こえてくる三味線の音。
ふむぅ。三味長老かの、この世界に来たのは。
いつ以来じゃろ、三味長老と会うのは、。
しかし、はて。
三味長老は、天気まで操れたかの?
「小豆洗いさん、あそこ?」
雨の中、崩れた家?の跡で三味線を弾いている女性。
なんじゃ三味長老じゃないの、。
スゥと姿が消える。
「逃げられる。急ぐかの。」
急いで近づいて行くと三体の黒焦げの遺体があった。
その横には、盛り土したような墓に、野の花が添えてあった。
「すまんがの~わしゃ、小豆洗い。日の本の妖怪じゃよ~。」
「出て来てくれるかの~。」
土砂降りの雨の中、し~んと返事はない。
「仕方ないのぅ。ほっ」
小豆洗いは、妖気を出す。
「なんだい、大妖怪小豆洗いじゃないか?」
「なんじゃ、雨女じゃったか?」
雨女は、姿を現した。
「大妖怪様とあろうお方が、こんな所で何してるんだい?」
「確か、江戸の深川で酒をご馳走してくれた以来じゃったか?瀧吉。」
「あら、懐かしいね。」
「確かに、あの時も三味線を弾いてくれたのぅ」
「そうか、お主じゃったか。この世界に来たのは、」
「瀧吉、取り敢えず、この雨をどうにかしてくれんかの?」
「あたしゃ今、機嫌が悪いんだ。」
「そんな事言わんと、のう?」
「・・・。」
「年寄りには、ちときついのぅ。体冷えてまうよ。」
「・・・。」
「ほれっのう?」
ぶすっとする雨女。
「もう、十分に暴れたようじゃし、のう?」
「あっ、そうじゃ、ご機嫌を直してもらうのなら、」
「今日も、晴れ晴れ、晴れ女」
「干されて、干されて、からからよ」
「明日は、雨、雨、雨女」
「喉を潤す雨女」
「どうか、雨様、おいでませ」
「今日も、晴れ晴れ、晴れ女」
「干されて干されて、からからよ」
「明日は、雨、雨、雨女。」
「どうか、雨様おいでませ。」
「お助け下さい。雨女。」
踊りながら、歌う小豆洗い。
「ぷっ、へたくそだね。」
雨女は、たまらず笑ってしまった。
「今日も、晴れ晴れ、晴れ女」
「干されて、干されて、からからよ」
「明日は、雨、雨、雨女」
「喉を潤す雨女」
「どうか、雨様、おいでませ」
「今日も、晴れ晴れ、晴れ女」
「干されて干されて、からからよ」
「明日は、雨、雨、雨女。」
「どうか、雨様おいでませ。」
「お助け下さい。雨女。」
踊りながら歌う小豆洗い。
「分かった、分かったよ。もうやめておくれよ。恥ずかしいじゃないか。」
雨女が、天を見上げると少しずつ雨が止み、風が弱くなる。
「はぁ、疲れたぞい。一体何があったのじゃ。」
「気分が悪いったらありゃしないよ、小豆洗い。」
雨女は、ここに来てからの事を説明した。
話を終える頃には、雲が無くなり、晴れていた。
「瀧吉よ、着物がはだけておる。髪も乱れ過ぎじゃ。」
「そうかい?じゃ、」
「梵っ」
きちんとした姿になる。
「お綺麗~」
「なんだい?小豆洗い。カマキリを使役でもしてるのかい?」
「百舌鳥カマキリじゃよ。日の本の妖怪じゃ。オキツヒメ命の使いでもある。」
「あら、可愛らしいね。神様の使いかい?」
「百舌鳥カマキリの腹の中にゼンマイもおる。」
(宜しくお頼み申し上げる。)
「あら、お腹の中に?」
「出てきたらええ、ゼンマイ。」
「んっんんっ」
「アッああ、ああ、んっ。」
「あら、百舌鳥カマキリは、中々だね。」
鋼鉄色のゼンマイが出てきた。
「針金虫妖怪ゼンマイじゃ、強いぞ。」
とぐろを巻きうねうねする。
「ふ~ん、硬そうだね。」
「わしの小豆を弾きおったからな。」
「それに、身体に、はいって乗っ取れるのじゃぞ。」
嬉しそうに説明する小豆洗い。
「よし、百舌鳥カマキリの中に入っておれ、ゼンマイ。」
(分かり申した。)
「んっんんっ」
「アッああ、ああ、んっ。」
「はぁ~ん、百舌鳥カマキリと針金虫妖怪ゼンマイか、覚えておくよ。中々だね。」
「まぁおいおい仲良くのぅ。」
「それにしても腹が立つよ。」
「そんな事言ったって、しゃあないじゃろ。」
「あの全知全能の神とやらは、何なんだい?」
「じゃて、この世界からすると異質なわしらを一緒にしておきたかったのじゃろ?」
「そんな事言ってなかったよ、。我が神殿に来いってさ、」
「ええ~なんじゃ、連れ込まれそうになったのか?」
「私に上から偉そうに、助けてやるみたいな感じで、嫌な奴だね。」
「私も、やり過ぎたかもしれないけど、封印でもされたらたまったもんじゃないからね。」
「封印は、せんじゃろ、。ただ、手元に置きたかったのと違うか?」
「ふん、。」
「もてるの、瀧吉、。」
「あたしゃ、いわゆる神様仏様は、好きじゃないね。」
「あいつらがしっかりしてれば、下々の者が困る事なんてないんだから。」
「まぁまぁ、」
「ああ、イライラするよ。」
「まぁまぁ、そろそろ水の神が送ってくれるじゃろ。」
「どこにいくんだい?」
「ゆっくり出来る所じゃよ。おいおい説明するでのうぅ。」
「わしも疲れたぞい。」
「お~い。水の神?」
「?」
「なんじゃ?」
「小豆洗い、ここの家の人にお世話になったって教えたけど、息子のプスタ―が、まだ見つかって無くてね。」
「ふむ。」
「探したいんだけどね。」
「うむ、わしが聞いてるのは、サッカー領の人間は、皆、死んだと聞いたぞ。」
「そうなんだろうけど、。」
「そうか、お主は、ここで、その者を待っておったのか?」
「まぁね。ずっと待ってたんだけどね。」
「まぁ、その内、戻る事になるじゃろから、それまで探そうかの?」
「恩にきるよ。小豆洗い、。」
「大分、時間もたったから、もう無理かもしれないけど、せめて骸だけでもさ、」
「親と一緒に埋めてあげたいんだよ。」
「分かったぞい。」
小豆洗いと雨女は、歩き、歩き、家に入ったり、死体を見ては、探した。
「腹が立つね。」
「気持ちは分かるが、雨女、。そう、いきり立つな。」
「お主も派手にやったのぅ。」
「見れば、見るほど、腹が立つよ。」
「雨女、時間が来たようじゃ、」
「仕方がないか。、。、」
小豆洗いと雨女を淡い青い光が包む。
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