第百三話 異変に気が付いた光の神
光の神は、大きな椅子に座り、ウトウトとしていた。
暇と言ってはいけない。
力を溜めているとの事だ。
「んっ、」
眉毛をピクリとさせる。
「なんだ、この落雷の数は?」
「なにが起きている?」
「どれ、よし、」
何も考えずに行った訳では、無いのである。
心配だから、すぐ、行ってみたのである。
ただ、それだけである。
地上に降り立った、光の神。
「酷い雨だ。」
凄い力が、渦巻いている。
「この力は、」
黒焦げになった三体の骸が、ある。
「ぬぬぅ。」
「べべン~キィーユィ。」
「ベンベン~。」
家の中から、聞こえる。
「うむ。」
光の神は、飛んでスゥと家の壁を通り抜ける。
そこには、楽器の様な物を弾く、不思議な服を着た女がいた。
良いおなごでは、ないか?
「全知全能の神。光の神である。」
「べべン、ベベン。」
「ベン、カカン、ベベン。」
目を瞑り、音を奏でる雨女。
「いい音だな、なんという楽器だ、」
「三味線だよ、」
「シャミセン、そうか、うむ。」
「なんか、ようかい?」
「おぬしは、この世界の者では無いのではないか?」
「そうだよ、あんた、全知全能の神だろ、分かるだろ、そのぐらい。」
「ま、そうだが、」
「この雨、落雷は、お主の力か?」
「そうだよ、今、わたしゃ、機嫌が悪いんだ。」
「そ、そうか、」
「あのな、実は、私が日本という所に行った際に、お主の様な方々を巻き込んでしまったようでな。」
「ふ~ん、」
「時空の歪にな、入り込まない様に慎重に、慎重を重ねていたのだが、」
「?。」
「するって言うと、たまたま、全知全能の神さんの、気まぐれに巻き込まれただけかい?」
「そ、そうなのだ、申し訳ないな、。」
「ふ~ん、。」
雨女は、不思議そうな顔をする。
「じゃ、あの時、一緒にいたろくろっ首や、お岩に会いたいんだけど、神さん知ってるかい?」
「そうか、あと、二人いるんだな、よし、探してしんぜよう。」
「で、いたかい?」
「んっ、そんなすぐは無理だ。」
疑う様な目で見る雨女。
「全知全能の神さんなんだろ?」
「うむ、」
「じゃ、分かるだろ、早くしておくれよ。」
頭もいいし、この力、そしてこの美貌だ。
小豆洗いの様な存在になり得るな。
「我ら神は、全てを見れるが、な、。」
「全てを見れるが故に、それぞれが小さいのだ。」
「これだけの落雷の様な、目立つ事をしたら直ぐ、気が付くのだが、」
「ふ~ん、じゃ、全知全能の神なんて名を語るのは、やめな。すっとこどっこい。」
啖呵を切る雨女。
「それにね、あんたら、神さんがしっかりして〇△~◇〇れば~」
「だから、〇△◇、〇□〇△、~。」
大きな声で不満を言っている雨女。
光の神は、頷き、聞いた振りをしているが聞いてない。
気に入った。
わしは、歯に衣着せぬこのような者を必要としていたのだ。
近くにおいておけば、きっと役に立つし他の神達も、私を尊敬するに違いない。
これだけの、気品と、美貌を持っていれば、うむ。
それに、水の神の様に、きっといい事が起こるだろう。
「よし、取り敢えず、お主を我が神殿に招く事にする。」
「そこで、しっかり話をしようではないか?」
「ふ~ん。招くねぇ。」
なんだい?急に。
元々の世界に送り返すのなら兎も角。
ん、ん~ん。、。、あたいの事、封印しようとしてるのかい?
ちと、やり過ぎたのかね。
無くは、ないね。
「やだね。あたしゃ、ここの家の人に世話になってね。」
「仇はとったんだけど、墓前を弔いたいからね。」
「それに、まだ、ここの家の息子の方が見つかって無くてね。」
「だから、ろくろっ首や、お岩が見つかったら知らせてくれるかい?」
「わ、私は、全知全能の神、光の神だぞ。」
「その私が、神殿に招こうというに、断るなんて、なんという。」
怒りだす光の神。
「本性が出たね、言わんこっちゃない。」
こりゃやられるね。やられる訳にはいかないよ。
「ド~ン。ゴロゴロゴロ。」
落雷が、マッシュの家ごと落ちる。
雨女は、姿を透明にして、スゥと逃げていく。
「ド~ン。」「ゴロゴロ~」
「ド~ン。」「ゴロゴロ~」
連発してマッシュの家に落雷を落としながら、
兎に角、逃げる。
逃げるだけ、無駄かもしれないけど。
一方で光の神は、
いきなり落雷を喰らった事に怒り心頭していた。
燃える家の中で、ふと、思う。
視線を感じる?
えっ、、誰か、見ている?
怒りは、神としての冷や汗として変わっていた。
光の神は、何をやっているんだ。
そんな声が聞こえたような。
「か、帰る。」
一筋の光が、天に飛んでいく。
雨女は、何発も落雷を落としている辺りの気配が変わったのを感じ、打ち込むのをやめた。
それでも、あちらこちらに、動き回る。
徒労に終わったとて、動く。
回りに回り、また、マッシュの家に帰って来た。
豪雨が、燃えていたのを消したといえ、もう、残骸しか見えなかった。
「プスタ―に会ったら謝らないと。」
「マッシュさん、グルテさん。ごめんなさい。」
横殴りの雨の中、お墓に手を合わせる雨女。
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