第百一話 傍若無人
「兵隊さん帰って来た~。」
子供達が、走って来た。
「あら、思ったより早かったね、。」
「瀧吉さん、また、忙しくなりますね。」
「ジノさん、裏から、芋酒樽一つ持ってこようか?」
「そうします。今日の夜は、皆さん飲むでしょうから。」
「お~い、アニベル、手伝ってくれ、」
「は~い。」
今のうちに、休んでおこうかしらね、。
長屋の一部屋を使っていたので、部屋でボーっとしていた。
ガヤガヤとにぎやかになって来たので、様子を見に行ってみると、知った顔で無い兵士達がきちんと立っていた。
「なんだい、お客さんかい?」
「タツキチさん、丁度、今、呼びに行こうとしていたんだ。」
「?」
「全員集まったか?」
「はい、うちの店に居る者は、揃いましたが。」
「少し、このままでいてくれ。」
「はい。」
「失礼する。」
立派な鎧を来た兵士が入って来た。
「私は、クラブ。キラ王国王命によりサッカー領を粛清する為に派遣された者である。」
「?」
「?」
「あのクラブ領のクラブ様ですか?」
「そうだ。」
みな、一斉にひざまつく。
タツキチも、空気を読んでひざまつく。
「主よ、ここを我らが利用したいのだが、」
「はい、協力します。ちょうど、料理や、芋酒を一杯用意してます。どうぞ。」
「うむ。」
「それでだ。」
「それで、だ。」
「王命でな、王命なのだ。」
「取り上げ次第、皆殺しにする事とな、」
「えっっ」
「まあ、まて、まて。待ってくれ、」
「如何に、王命といえ、民が不憫だ、。」
「だが、命に従わなければ、我らも、反逆とみなされる。」
「しかし、救える者は救いたい、。救えないものは、救えないのだ。」
「何を言っているのか、分からないかもしれないが、分かってくれ、」
「あと、頼むから、抵抗はしないでくれ。切らなくてはいけなくなる。」
みな、下を向き、聞いて居る。
「クラブ将軍、サッカー家にサッカー将軍の家族がいたようです。」
「よく見つけた。」
「確保しておいてくれ、略奪をする兵達とかち合ったら、戦ってもいい。」
「ふぅ。」
「我らクラブ家の他にもサッカー領に入って来る兵はいるだろうが、どうなる事か。」
「いいか、決してここから出ない事だ。分かってくれ。」
「わ、分かりました。命を助けて頂きありがとうございます。」
「うむ、すまないが、兵達に食事をお願いしたい。」
「はい、みな、やろう。やるんだ。」
ジノは、立ち上がると厨房に行く。
皆も付いて行く。
「アニベル、必ずサリオと居るんだ。」
「はい、父さん。」
「ジノさん、私、マッシュさん達が、」
「タツキチさん、いいか、ここを出ては、駄目だ。」
「きっとクラブ将軍の言う事は、本当の事だ。なにか大変な事が起きてる。」
「粛清で、皆殺しの王命が、出てるんだ。兵は、好き放題していいって事だ。」
「だったら、尚更、マッシュさん達を連れて来るよ、」
「もう、遅い。無理だ、無理なんだ。」
「ジノさん、私は、大丈夫だよ。」
「タツキチさん、サリオと一緒に居てやってくれ、。あの子を産んで、亡くなった母親の代わりになってくれとは、言わない。」
「ここに居てくれ。」
「ジノさん、ありがとう、すぐ戻るよ、」
「タツキチさん、駄目だ。」
瀧吉は、裏の扉を開けて出て行ってしまう。
「タツキチさん、」
後を追ってドアを開けると、そこには、タツキチの姿は見当たらなかった。
「えっ?」
見渡しても、見渡しても。
姿を消して、雨女は、歩いていた。
かなり遠くの方を兵達が、歩いて居たり、家に押し入ったりしている。
いきなり戦争が始まるとはね、。
こういう時に飛べない自分に腹が立つね。
手前の家から、子供が出て来た。
どこかに走って行く。
家の前で、倒れている男性と女性。
横で、兵も泣いていた。
それを見て見ぬ振りをして、何かをあさる兵達。
平和ぼけしていたと、昔の戦を思い出した。
ここから、もっと酷くなっていくよ。
昔の戦も始めは、理性があった。
その理性が壊れた時、兵は、ただ楽しむ鬼になる。
急がなきゃいけない。
走って、走って、マッシュさん達の家に着いた。
家のドアの前で、グルテさんが倒れていた。
息が、無かった。
マッシュさんは、と思い、家に入る。
元々、そんなにいい暮らしをしていなかったせいか、さほど荒らされてない。
「だ、だれか、」
小さな、か細い声が聞こえた。
「どこだい?」
家の横の積んだ薪の方に行くと、そこにマッシュさんが、血が出た所を手で押さえながら横たわっていた。
辺りには、拾ってきたのか、細い木が散らばっていた。
「しっかりおしよ。」
「オタツさん?」
「そうだよ、オタツさ、」
「何が何だか、もう、目が見えない。」
「大丈夫さ、気をしっかり持つんだ。大丈夫さ。」
「グルテは、グルテは、」
「あっちに居るよ、」
「グルテに伝えて下さい。今まで、世話になったと、」
「そんな事、」
「苦労をかけたと。」
「プスタ―にグルテを頼むと、、。」
そう、言うと、静かに話さなくなった。
「・・・。」
「・・・。」
「ごめんよ、プスタ―を探すから、ね。」
そういうと、雨女は、手でマッシュのまぶたを閉じてあげた。
辺りをウロウロと歩いているが、プスタ―の姿は、なかった。
取り敢えず、グルテさんとマッシュさんを一緒に埋めてあげる事にした。
えんぴ(スコップ)があったので、家の横を掘る。
「ちくしょう。」
「こんちくしょうめ。」
時間は、かかったが、二人を埋めた。
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