第百話 晴れの日
ダビド亭は、元々人気があったので、雨女の三味線は、大盛り上がりで、更に人が来た。
演奏が終わってからも、瀧吉は、酌をして回るから、夜遅くまで、男達は、飲み続けた。
「タツキチさんのお陰で、忙しくなりました。」
「こちらこそ、大分、いい思いさせて貰ってるよ。」
「売れすぎて、芋酒の在庫が追いつきません。ありがたい事です。」
「そうだね、他に芋酒の代わりになる様な物があればいいんだけど、」
「葡萄で造った酒は、ありますけど、高すぎて王様ぐらいしか飲めません。」
「芋酒だって、造ってるのは、うちだけですしね。」
「いいかい、大事な話だけど、酒は、皆が飲むから、どんどん造った方がいいよ。」
「私の父が、たまたま、出来たガリコ芋酒を、捨てずにこっそり飲んで徐々に広がったのですが、当たって、吐いたりもしてしまって、飲まない人も多いです。」
「大丈夫だよ、ここの芋酒は、安定した味だし、みんな飲む様になるさ、」
「そうなれば、いいですけど、」
「そういえば、最近、兵士さんが多く来るね。」
「なにやら、サッカー領の兵隊が、どこかに出兵するとの事です。」
「ふ~ん。」
「なので、兵としていく人間が、前金で、友と飲みに来たりしますね。」
「んじゃ、一杯飲んで、食べて、元気に行ってもらおうよ。」
「はい、楽しんでもらいたいです。」
夜、
「お兄さん達も、戦いに行くのかい?」
「はい、我らも行きます。」
「そうかい、まぁ呑んで、」
「はい、我ら、サッカー領の兵の力を見せてきますとも、」
「勇ましいねぇ。」
「先程の、シャミセンという楽器は、素晴らしかったです。」
「ありがとう、」
「我らは、サッカー将軍の元、鍛えあげたこの手で、バッタバッタと、」
「そうだ、勇ましくいくぞ、」
「俺の背中は、頼むぞ、」
「おう、任せとけ~」
「はっはっはっはっ」
みんな、いい子だね、。
昔から、こういう事は、見てきたけど、ね。
行かなきゃいいのに、。
ふっ野暮だね、。
「どうせやるなら、派手にやってくるんだよ。」
「おおう。」
「いくぞ、。お前ら、なぁ?」
「おう、」
「タツキチさん、こう見えて、我らもなかなか、やるんですよ。」
「わかったよ、わかった。」
連日、ダビド亭は、大賑わいだった。
そして、噂が噂を呼び、みな、瀧吉の三味線を聞いて、飲んで、食べる事が流行っていた。
「オタツさん、」
「なんだい、マッシュさん、グルテさんじゃないか?」
「プスタ―も今、来ますよ。」
笑顔のグルテ婆さんは、小さな青い水晶が付いたかんざしで、髪を巻き上げている、
「この前は、大変、お世話になったね。」
「いやいや、噂を聞いてびっくりしましたよ。」
「私達も、シャミセンというの聞いてみたいと思いまして。」
「どんどん、混んでくるから、こっちに座りなよ。」
「偉い繫盛してますな、」
「なんか、兵隊さんが、どっかに行くらしくてね。ここで、パァ~とね。」
「それは、それは、」
送れて入って来たプスタ―。
「ああ、プスタ―、来てくれてありがとう。」
「オタツさん、会いたかったです。噂を聞いて来ました。」
「今日は、ゆっくりしていっておくれ、ダビド亭のジノさんに飛び切りの料理を出してもらうから。」
「いやいや、そんな、いいです。いいです。」
「そうは、いかないよ。ほら、こっちだよ。」
瀧吉は、マッシュ達が来てくれた事が嬉しかった。
盛大に料理と芋酒を出して、一番前の席で、三味線を聞いてもらった。
夜、帰ると言ったマッシュ達を、引き留めて宿に泊まってもらう事にした。
次の日の朝、お礼を言ってプスタ―達は、帰って行った。
遂に、兵達が出発する時が来た。
キラ王宮がある所に行き、そこに居る兵と合流するらしい。
「みんな、気張るんだよ~」
店の前で、手を振り声を掛ける瀧吉。
ほとんどの兵士は、顔見知りになったので、手を振り返す。
「みんな~、しっかりとね~。」
「行っちまったね。」
「寂しくなりますが、平和な時です。すぐ帰って来ますよ。」
「そうかい?そうだね。」
「兵達が行ったから、空くのを待っていた近場のお客さんから予約が入ってます。ゆっくりできませんよ。」
「あら、暇なしだね。」
「宜しくお願いします。」
「こちらこそ、雇ってもらえてありがとう。」
「その件ですが、あの、儲けさせて頂いてるので、もう少し貰ってもらいます。」
「いいのかい、まぁ任せるよ。ありがとう。預けるから宜しくね。」
「はい、きちんとしておきますから。」
「ありがとう。」
噂が噂を呼んで、ろくろっ首や、お岩が来てくれりゃいいけど。。
「や―、」
「やー、」
ダビド亭主ジノの子供サリオが、近所の子供と棒を持ってやりあっている。
「サリオ、怪我しないようにね。」
「うん。」
「兵隊さんかい?」
「うん。」
「兵隊さんは、やめて、料理造ったらどうだい。」
「えー、剣がいい。」
「男の子だね。」
「まぁ気を付けてね。」
「うん。」
ふふ、元気だね。
いつの時も、元気をくれるのは、子供達だね。
私も、めげずにやるしかないね。
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