そす7 悪魔と想術師 ①
ドカーン!
大きな音を立てて直径10メートルほどの大きな木が倒れる。
それを成したのは俺の目の前に立つ黒い人型生き物。
そう、悪魔だ。
はぁ…はぁ…
俺は息を切らして思う。
どうしてこうなった!?
………
……
…
遡る事、数日前
俺は城崎と山に来ていた。
この山は想術師が所属する想術会が保有するものだ。
一般人は誰もこないし、想術を使っても人為的被害は出ない。
たから、ここは想術師の修行場になっている。
ちなみに俺は高校を自主退学している。
これから悪魔と戦うことになるだろうから高校生を続けていても出席できないだろうと判断したからだ。
まぁ、それ以前に悪魔と戦えば傷つく。だから、毎日傷ついたまま学校に行くと、学校側も不審に思うだろう。
まぁ、そういう理由があって俺は高校を自主退学した。
そんなこんなで俺は想術師として闘えるようになるため城崎に修行をつけてもらっている。
「いいか、圭悟。今からお前に悪魔について教えてやる。」
「悪魔ってあれだろ、俺を殺そうとしたやつだろ?」
「あぁそうだ。悪魔ってのは人間を主食にするんだよ。人間の血肉を喰らい力を得る。食った数が多ければ多いほど悪魔は強くなる。そしてもう一つ、悪魔の強さの秘訣は、単に食べた数が多いからという理由だけじゃない。」
「じゃぁ、なんだよ?」
「それは生きた長さだ」
「生きた、長さ?」
「あぁ、そうだ。生きた長さだ。長く生きれば生きるほど想術師や他の悪魔との戦闘回数は多くなる。だから経験が豊富なんだよ。つっても生まれたばかりの悪魔は戦闘経験もないし、人間も食ってねぇから雑魚なんだがな」
「悪魔はどうやって生まれんだよ?」
「それは、悪魔に食われた人間の魂に込められている負の感情が高密度のエネルギーの塊となって悪魔が生まれるんだよ」
なるほどな。
簡単に言うと、食った数と生きた時間が多ければ多いほど悪魔は強いってことだ。そして、悪魔に食われた人間はその食われた人間の魂から悪魔にが生まれると言うことだ。
「あぁ、それとあと一つ。悪魔のランクについて教えておかねぇとな」
「ランク?」
「そうだ。ランクっていうのは要するに危険度のことだ。ランクは想術師にもあるが悪魔にもランクがある。ランクの表し方は想術師も同じで、危険度が高い方から順に、"S級"、"A級"、"B級"、"C級"の四つに分かれる。C級、B級は生まれてから数年しか経っていなく、食った人間の数も数人から数十人の下位、中位の雑魚だ。こいつらには理性がなく、本能のままに生きるから人間を見つけてはすぐ食らうから、食ってる間は隙だらけだな。次にA級だ。A級は上位の悪魔で食った人間の数は数百から数千。生きた年月は数百年以上。しかも理性もある。想術師の中でも一握りの奴にしか倒せねぇ手強い相手だ」
「まじかよ…でもそのA級より上位が存在してんだろ?」
「それがS級だ。S級は食った人間の数は数万。生きた年月は、悪魔が初めて出現したと言われている江戸時代初期からだ。勿論だが理性がある。こいつを倒せるのは恐らく俺を含めてS級の想術師七人だけだな。後ちなみにB級以下の悪魔は存在力が低くて普通の人間には見えねぇが、A級以上の悪魔は存在力がでかすぎて見えるんだよな。だからA級以上の悪魔は基本的に人間を装ってして過ごしてんだよ」
「え!?おっさんS級だったのか!?」
「あぁそうだ、この国にたった七人しかいないS級術師だ。…あと、おっさんおっさんって言うけど、俺25歳だぞ?」
なんとびっくり。
このおじさん、実はめちゃくちゃ強かったみたい。
しかも、おっさんだと思ってたらまさかの25歳。
見た目も、言葉使いもおっさんだからてっきりおっさんだと思ってた。
だか、それよりも今の話を聞いて引っかかったことがあった。
「それは置いといて…一つ聞きたいことがあるんだが?」
「…置いとくなよ。で、なんだよ聞きたいことってのは?」
「俺を殺そうとした悪魔って何級だった?」
「あーと、あいつは確かB級だったかな?理性も無かったしな」
「なら、なんで俺の姉ちゃんは俺が来る前に食われなかったんだ?」
「え?」
「いや、俺が姉ちゃんのとこに駆けつけた時はまだ、悪魔の殺気はあったが姉ちゃんの近くに悪魔は居なかった。むしろ悪魔が姉ちゃんの所に来るより俺の方が姉ちゃんのもとに早く着いた」
「それはいったい…まさか…ッ!」
俺は実は城崎に姉ちゃんが言ったこと伝えていた。
それは、姉ちゃんが言った
―――3年前...お父...さんとお母さん..."も''殺されたのよ...―――
と言う言葉だった。
俺はあの時、姉ちゃんは悪魔に殺されたと思っていた。
だが、城崎に聞いた悪魔の説明を踏まえて再び考えると、おかしな点がある。
俺を殺そうとした悪魔の危険度はB級。と言うことは、悪魔は姉ちゃんを殺した時点で、姉ちゃんを食っていたはずだ。だか、実際には悪魔は俺が来るよりも遅く姉ちゃんの所に来た。
つまり…
「お前の姉ちゃん、いや、お前の家族を殺した犯人は別にいるってことか」
俺の心は再び熱くなる。
この怒りを今すぐにでもぶつけたい。
だが今はその時じゃない。
俺はこの荒れ狂う怒り感情を、いつか来る復讐の時まで抑えることにした。
リアルが忙しくて投稿が遅れました。
すみません(泣)