4 別れ
ドスッ!ゴロゴロ…
そう音を立てながら悪魔は吹っ飛んでいった。
そしてその悪魔はピクリとも動かなくなった。
俺の体は無理に動かしたのでその反動で動かせない。
俺はその場に倒れた。
「はぁ…はぁ…はぁ…早くねぇちゃんを病院に連れて行かないと…」
俺は倒れた体を起こそうとして失敗する。
その時、さっき倒してピクリとも動かなくなったはずの悪魔の指が少し動いた。
そして、悪魔は何事もなかったかのように立ち上がった。
「嘘だろ…」
俺は思わず嘆いた。
俺の体は限界を迎えてすでに満身創痍だ。
指一本動かせない。
(終わった…)
俺の意識はもうろうとしている。
だだ一つ分かるのは、悪魔が木をも簡単切断してしまいそうな爪を俺に突き刺そうとしている事だ。
(ごめん…姉ちゃん。俺生きれそうに無いよ…。)
その時、死を迎える俺の前に、1人の茶髪の人間が割り込んで、俺を殺そうとする悪魔を一瞬で消し去った。
そして、そこで俺の意識は途絶えた…
………
……
…
目が覚めたらそこは病院だった。しかももう夜だ。
俺は横には茶髪のおっさんが座っていた。
このおっさんは確か俺が、死にそうな時に突然現れて…
「お、目が覚めたか少年。」
そう言っておっさんは俺に優しく声をかける。
俺はそこで思い出す。
姉ちゃんとあの悪魔はどうなったのかと。
「おい、おっさん!姉ちゃんとあの悪魔は!ごほごほっ」
「落ち着けよ少年。その事について話してやる。」
俺の体は全身が包帯で巻かれている。
俺の体の完治は数ヶ月かかるそうだ。
おっさんの話を聞いてみると、あの悪魔はおっさんは倒したらしい。
それにしても、あれを傷を負わずに簡単に倒すなんて、このおっさん何もんだ?
そんな疑問が思い浮かんだが、そんな事より大切な事を聞かなければならなかった。
「それで、姉ちゃんは?」
おっさんは笑顔を消して力無く首を振る。
(え?嘘だろ…そんな…)
俺のたった1人の家族で、いつも元気で明るくて…たまに喧嘩もするけど、それでも俺にとってかけがえの無い家族で…
「うぉぉぉぉぉぉぉぉん!」
俺は一晩中泣いた。
俺が泣いている横でおっさんが、「すまない…おれがもう少し早く来ていればお前の姉ちゃんは…。」と言っていた。
そうだよ。なんでもっと早く来てくれなかったんだよ!そうしていれば、姉ちゃんは死んでいなかったのに!
俺は結局、朝には泣き疲れていつのまにか寝ていたのだった。