3 絶対絶命
俺は殺気を感じた。
その殺気は俺の背後からこちらに向けて放たれている。
俺はその殺気を確認しようとし、後ろを見た。
そして、そこにいたのは…
「なんだこいつは…」
そこにいたのは、体表は黒く、鋭い角と爪が生えており、太い尻尾と大きな翼がある見たこともない化け物がいた。これを例えるなら悪魔だ。
「こいつが姉ちゃんをやったのか!?」
震える体。
俺を見る悪魔の目はとても鋭く、その目を見ると動けなくなってしまった。
その時、悪魔が動いた。
「くはっ…!」
悪魔の放ったパンチで俺は部屋の壁を突き破り、隣の部屋まで吹き飛ばされた。
(俺はここで死ぬのか?)
頭から血が出ており、体の骨が数本折れた状態ではあの悪魔から姉を担ぎ逃げることは出来ない。それどころか自分一人だったとしても逃げ切れないことを圭悟は悟った。
(あぁ、災厄な人生だった。)
圭悟はある日突然両親を失い、その上見たことももない化け物に姉を殺され、自分は瀕死の状態。
ー幸せになってねー
姉の言葉が頭をよぎる。
(無理だよ…姉ちゃん…)
圭悟は生きることを諦めていた。だが、その時、
―諦めないで!―
聞こえるはずのない姉の声が聞こえる。
圭悟はその声を聞き考える。
―こんな所で死んで良いのか?姉の最後の無視してしんでもいいのか?―
と。
(わかったよ、姉ちゃん)
圭悟の瞳に光が宿る。その光は眩しく、美しい金色。
圭悟は立ち上がる。そして、
「うおぉぉぉ!」
圭悟は悪魔めがけて走った。
折れた骨が痛い。
圭悟は痛む体を無理やり動かした。
悪魔は自分めがけて走ってくる人間に蹴りを放つが、圭悟はそれをスライディングで悪魔の股の下を潜り避け、背後から悪魔の頭にパンチを放とうとした。
その時、圭悟の拳は光り、黒と紫の炎が宿っており…