2 殺気の元凶
家の中に入って俺は姉を探した。3年前に他界した両親が残したこの屋敷が二人暮らしの俺達にはでかくて、姉がなかなか見つからない。
(くそ!どこだよ姉ちゃん)
俺は無我夢中で姉ちゃんを探した。そして一番の奥の部屋が空いているのに気がつき、俺はその部屋に飛び込んだ。
だが、そこにいたのは瀕死の姉だった。
「姉ちゃん、しっかりしろよ!」
「圭悟...よく...聞い...て」
「喋ったらダメだ!」
「3年前...お父...さんとお母さん..."も"殺されたのよ...」
はぁ?なんだよそれ。だって父さんと母さんは事故で死んだはずじゃないのかよ?
「は?何行ってんだよ。父さんと母さんは事故で死んだんだろ?」
「違う...のよ。本当は...事故...なん...かじゃ...ない...のよ」
「なんだよそれ?なんで姉ちゃんは知ってんだよ!?」
「圭悟...あなたは...幸せに...なって...ね」
そうは言うと姉ちゃんの目はだんだん閉じていき、その瞳は黒く濁っていく。
(なんで...なんでだよ、畜生!)
その時、俺は背後に猛烈な殺気を感じた。そこには見たことのない動物、いや動物ですらないおぞましい姿の化け物が立っていた。そしてそれはさっき感じた強烈な殺気の元凶だった。