農村型地域
地域の中で、他の家族と暮らすようになると、さらにエゴが強くなる。家の対立。同年代での対立が起こる。
家庭環境では、基本的に有用性の判断はされない。あるもののほとんどが必要なものだからだ。害獣たちでさえも、環境の維持には欠かせない存在だった。
昔の農村型地域と、現代の都市型地域では多少構造が異なる。そこでまずは、農村型地域を見ていこう。
農村部では共同作業が必要である。そのため、優位性や上下環境が差別に直結しにくい。集団には共通の価値感が必要だった。そこで集団の利益度合いによって価値を判断した。集団のために貢献したものを優位に、不利益をもたらしたものを劣位に配した。
しかし、ここでの優劣も共同作業の邪魔になるものだ。そこでもやはり、従順性が評価項目になった。
弱くて従順なもの=かわいい=徴用
と変遷していく。
農村型秩序の維持という意味では、地域伝承がある。スズメバチのような目に見える脅威は家庭で教えられる。しかし、川が危険とか山が危険とかいわれても、ピンとこない。原因が目に見えなくても、現象がある。原因を効果的に説明するためには、なんらかの視覚的象徴を作る必要があった。こうして妖怪や神を作り出した。視覚的恐怖は抜群の効果を上げた。
さらに、伝承は平家の落ち集落のような、対外的に自らの優位性を保持するためにも用いられた。