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上下関係
集団生活の知恵は、人間関係の構築である。優位性を持たせるために、年長者、本家、男性など色々な点で区別を作った。そして優劣を決めて、秩序の維持を行なおうとした。
こうした優劣は、対物差別とリンクして、対人差別へとつながる。ただ、ここにも強弱=優劣とならない論理が組み込まれた。老人や赤ん坊は弱いが優位にある。ただ、老人は年長=知識というキーワードを持つ。老人が子供たちに昔話を話すのは単に暇だからではない。優位性を示すためでもある。
一方、赤ん坊には何もない。あるとすれば、唯一、かわいいという感情的なものだろう。そこで、必要なものは、弱いものは守られるという価値感だ。しかし、これは弱い=劣位に矛盾する。そこで、従順という項目が付加された。
弱くて従順なものは守られる。
これにより、強弱ではない、上下関係というものが出来上がった。やがてこの2つの価値感が支配者に利用されることになるのだが、それは追って解説しよう。