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6 幼き日の回想
叫び終えた彼の後姿に、昔の彼がだぶつく。
あの暴漢に襲われたショックでふさぎ込んでしまった時。
どうしていいかわからなくなった私は、誰にも何も言わずいきなり家を飛び出してしまった。
どうやってたどり着いたのか、さびれた神社でぽつんと座り込んだ私を、彼は見つけてくれた。もう夕暮れも深く、帰り道もわからない私を心配して探し出してくれたのだ。
その時、人を信じられずに拒絶した私を無理に連れ帰ろうとせず、お稲荷様が鎮座する柱に腰を預ける形で、私に背を向けて待ってくれた。
あの時の後姿を思い出していた。